「エスカレーター」 生徒会波乱物語:神野和樹・西山紅葉 「知ってるか紅葉。エスカレーターってな、どっちかを空けないといけないんだぞ」 「そなの?」 デパートの買い物中、エスカレーターに乗った時、紅葉が俺の隣に並んだ。 そこまで混んではいないが、一応注意してみる。 「ほらあれだ、急いでる人が通りやすいように、って事らしい」 「へぇ。あたし全然考えたことなかったよ」 「今はそんなに混んでないけどな」 紅葉は一応って感じで、俺の前に移動する。 それと同時、何かを思い出したのか、あ、とこっちを見た。 「でもさ、前になんかのテレビで、エスカレーターは歩いちゃ駄目って聞いた事があるけど」 「え、そうなのか?」 それは初耳だった。 前に1歩進み、さらに上へ向かうエスカレーターへ乗る。 「なんでか覚えてるか?」 「確か、危ないから・・・・・・だったかなあ」 「危ない?」 「普通に階段を歩いてる時より段差が大きいんだって」 「そうなのか・・・・・・?」 改めて、そろそろ次の階層に辿り着きそうな足元を見る。 俺もよく歩いたりするが、危ないと思ったことはないぞ。 「ま、テレビで言うならそうかもな。けど紅葉、それでも歩く奴はいるんだから、ちゃんと片方は開けとけよ」 「ん、大丈夫、分かってるから」 って事で4階に到着。 豆知識を得た俺は、今度誰かに教えてみようかな、なんて思っていた。 |