「高速道路」

生徒会波乱物語:生徒会の5人




俺達が進級して2年生に、同じく神里さんが3年生になってから、ほぼすぐ。
神里さんが、免許を取った。

そして5月のゴールデンウイークの頭。俺達は神里さんが運転する車に乗り、西のある観光地を目指していた。

神里さんが買ったやや古ぼけた軽自動車は、今は高速を走っている。
俺が助手席に座り、あとの3人は後部座席に並んでいる形だ。
それぞれが思い思いの格好で、さほど広くない車内でくつろいでいる。

「和樹君、そろそろジャンクションに着くみたいですが、次はどちらの道を走ればいいんですか?」
「あ、ちょっと待ってください」

俺は家のパソコンで出してもらった、行き先までのナビゲートがされてある紙へと目を落とす。
もっぱら、ナビは俺がしているのだ。

「えー、今ここですから、次は神戸ジャンクションですよね。だったら、そこから山陽道に入ってください」
「山陽道ですね。だったら・・・・・・ああ、こっちみたいです」

高速道路に慣れていないのか、神里さんがやや危なげにハンドルを切る。

「・・・・・・そういえば和樹君。そろそろ、休憩にしませんか?」

ジャンクションから山陽道に入ってから、神里さんはそう言った。

「俺はいいっすけど・・・・・・どっちかって言ったら、神里さんの方が疲れてるんじゃ」
「ええ、私も少し疲れました。でもそれより、乗っているだけの和樹君も、結構疲れているでしょう」
「まあぶっちゃければ」
「それに」

神里さんは、目線でバックミラーを示す。
後ろを振り向くと・・・・・・あーあ、紅葉と桜が寝ちゃってる。間に挟まれた有希がすげー困った顔してるよ。
とか思っていたら、有希がそのままの顔で言った。

「えっと、奈々さん・・・・・・その、次のサービスエリアに行ってもらってもいいですか?」
「気分が悪くなりました?」
「そうじゃなくて・・・・・・お、おトイレ」

・・・・・・ああ、もう車が出てからノンストップでかなり走ってるしなあ。言われてみれば俺も行きたいぞ、トイレ。

「ふふっ、分かりました。和樹君、近くにサービスエリアってあります?」
「それはちょっと分からな・・・・・・あ、いや、あと少し先にあるみたいです」
「ではそこに寄りましょう」

長旅には休憩が必須です、と神里さん。

「あ、そうだ。ついでになんか食う物買っていいすか? さっきから小腹が空いて」
「私もっ! 和樹、一緒に行かない?」
「じゃあ私も気分転換について行きますね。あ、どうせですし、お昼ご飯にでもしますか」
「いいっすね」

かくして、少し早めの昼飯が決定した。
ひとまず俺が次にサポートするべき事は、眠り姫、いや眠り双子を出来る限り穏便に起こす事、かな?



執筆年月:2010/03/30

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