「漫画」

生徒会波乱物語:神野和樹・親和有希




「和樹って、どんな漫画が好き?」
「漫画?」

ある、とても寒い日の事。
テーブルの位置に置いたストーブを囲っていると、ふと有希に聞かれた。

「うん。和樹は漫画が好きって事は知ってるけど、どんな漫画が好きかなって」
「そうだな・・・・・・俺は戦闘物が好きだな。これでも毎週月曜日はジャ○プを立ち読みするぜ」
「そうなんだ、ちょっと意外」
「そか?」
「和樹は、雑誌とかは買う派かなって思ってたから」

ううむ、必要な雑誌なら買うが・・・・・・毎週となるとやはり立ち読みで済ませたいよなあ。

「俺だって立ち読みくらいするよ。有希だってするたろ?」
「たまにするかな。えっと・・・・・・」

有希はいくつかの雑誌名わ挙げたが、俺はどれも聞いた事がなかった。
多分、女の子向けの雑誌なのだろう。

「えっと、それでね。和樹は結局、どんな漫画が好きなのかなあって」

そして最後に、有希はもう一度そう言った。

「まあ、やっぱ熱血系かな。ジャ○プに限らず色々と」
「恋愛系とかは読まないの?」
「それは・・・・・・ちょっとな。なんつうかむず痒くなるっていうか、まあそんなところだ」
「そっか」
「何かオススメとかあるのか?」

途端、有希は待ってました! とばかりに笑顔になり、いそいそと鞄から一冊の本を取り出す。
表紙からして、なんかふわふわとした物だな、とわかる漫画だった。

「これがオススメなんだよ」
「・・・・・・有希、とりあえず学校に漫画を持って来ている事に関して話し合おうか」
「生徒会だからいいんだよ、きっと」

むしろ生徒会だから余計マズイ気がするが。

「それより和樹、これ読んでよ。とっても楽しいよ」
「まあ、暇があったら読んでみるが・・・・・・」
「うん! 是非感想も聞かせてね」

はいっ、と本を渡される。とりあえずそれを鞄に仕舞い、これで俺も共犯だなあ、なんて思うのだった。

翌日。

「あ、おはよう和樹。ねねっ、昨日のアレ、読んだ? どうだった?」
「・・・・・・俺には無理」
「そ、そうなんだ・・・・・・どの辺が?」
「多分、全部」

今回の教訓。
・・・・・・俺には、恋愛物語は無理みたいです・・・・・・



執筆年月:2010/03/23

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