「田舎道」

生徒会波乱物語:神野和樹と・・・・・・


俺は田舎というものに、縁が薄い。

住んでいる場所は都市郊外で、確かに閑静な住宅地ではあるものの、田舎という程でもない。
以前に有希や俺の実家に行った時くらいしか、田舎に来た事はない気がする。
だからこそ、意味もなく行きたくなってみたりする。
・・・・・・まあ、これだけじゃ意味は分からんだろうから、もう少し説明してみるか。

要するに、家に居ても退屈なだけ―――しかも何か波乱事を起こすアホが今日に限って大人しいのだ。
しかも微妙に不機嫌だったし。いわく「女子ってのはこうなんだから仕方ないでしょ」との事。
正直訳が分からないが、詮索するのもどうかと思い、聞くのもやめにした。

って事で、暇プラスアホの不機嫌オーラに巻き込まれる前に、俺は家を飛び出した。

とりあえず有希の所にでも行くか、と思い電話をかけたが、返って来たのは「今日は忙しい」というつれない言葉。
神里さんに至っては電話に出ない(そして未だに、俺は彼女の家を知らない)のでボツ。
悩んだ末、いいやどっかその辺ぶらぶらしよう、という結論になり、電車に乗った。

で、行くあてもなく時間を潰していると、気がついたら景色が田舎に変わっていたのだった。

「・・・・・・降りてみっかなあ」

呟いたが、返事は返って来ない。

「・・・・・・ま、いいか。こういうのはアレだ、遠くから眺めてるだけってのがいいんだ。ところで」

そこで俺は一旦切り、隣からの訳が分かっていない視線を受け止めた。

「その辺、桜はどう思う?」
「えっと・・・・・・ごめんなさい、和樹さんの言ってる事、ぜんぜん分からないかも・・・・・・」
「・・・・・・そーかい」



執筆年月:2010/03/16

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