――LIVE会場――
喜多見柚「あれっ？　加蓮サンだ！」
北条加蓮「柚。やほ。お疲れ」
柚「おつかれーっ。なんでここに？　えっ、えっ、もしかしてアタシ達のLIVE見てた？」
加蓮「うん、見てた。忍がキレッキレだったね」
柚「…………そうなんだっ。忍チャンはたくさん練習してましたからなー」
加蓮「柚は？」
柚「……柚は頑張り過ぎないで頑張る主義だから！」ﾃﾍﾍﾟﾛ
加蓮「…………」ｸﾞﾆｸﾞﾆ
柚「いひゃいいひゃい」
加蓮「今日の主役は忍だったの？」
柚「そうなんだよ！　アタシ達の定例LIVEはねっ、いつも主役を変えてるんだっ。柚は前々回が主役だったから、次はセンターかもっ」
加蓮「……え？　フリルドスクエアって４人だったよね？　前々回でセンターだったんなら、次々回になるんじゃ……？」
柚「(・ω<)」
加蓮「分かった。じゃあ次のLIVEは最前列のチケットをなんとか買って見に行くね」
柚「わーっ！？　わわわ、そしたら加蓮サンの目の前で踊らないといけなくなるってコト！？　やだよそんなの！　むり！　むり！」
加蓮「アイドルなんだから、アイドルの１人や２人や３人くらい」
柚「しかも藍子サンと菜々サンまで連れてくるつもりだ！」
加蓮「え？　ついでに凛と奈緒も誘って合計５人で」
柚「やめてーっ！　柚のLIVEが乗っ取られるー！」
加蓮「ふふっ。今日のLIVEはもう終わり？」
柚「まだだよ！　今、出番待ち！　あとでもっかい歌って終わりなんだ！」
加蓮「そっか」
柚「いろんなユニットが参加してるんだっ。柚、目立ってるカナ？　目立っちゃってるカナ？」
加蓮「目立つ目立つ。他のみんなと一緒じゃなくていいの？」
柚「やだなー、柚だってたまには１人になりたい系女子っ」
加蓮「じゃあ私はいっつも１人でいたい系女子」
柚「とかいって、いっつも藍子サンと一緒じゃないですかー、うりうりっ」
加蓮「私は１人になりたいのに、藍子がひっついてくるんだよ。困ったね」
柚「LIVEの合間にはこーしてクールダウンしてるんだっ。いっつもじゃないケド」
加蓮「みんなといたらついはしゃいじゃうから？」
柚「そそ！　さっすが加蓮サン！　柚のことよく分かってる！」
加蓮「単純だから分かりやすいよ」
柚「へへっ♪」
加蓮「……遠回しに……いや、なんでもない」
柚「ね、ね、今日の柚どうだった？　加蓮サン的には何点？」
加蓮「１００点」
柚「あまあま採点だったっ」
加蓮「減点式ならね。ああ、えっと、最初に１００点があって、ミスったら減るみたいなの。あれなら１００点」
柚「じゃあ、最初に０点があって増やしてく感じだったら？」
加蓮「さあ？　１００点じゃない？」
柚「やっぱりあまあま採点だ！　え、どしたの加蓮サン？　なんで今日はまろやかなのっ？　いつもはこうっ、えっと、ズバズバ言ってるのに！」
加蓮「そう……？」
柚「そうだよ！　こう、」
柚『相変わらず駄目なのね』ﾌｯ
柚「とか！」
柚『この程度のこともできないの？』ﾌｯ
柚「とか言ってる！」
加蓮「待って待って、なんか私の記憶にないこと言われてるんだけど」
柚「加蓮サン、この前ドラマでこんな役やってなかった？」
加蓮「……それか……。あれはね、ほら、色んな面を見せるからてＰさんが持ってきたオーディションにたまたま受かったっていうか」
柚「加蓮サンのプロデューサーサン言ってた。ちょっと演技するだけで拍手だったって」
加蓮「あんにゃろ……」
柚「いいなー。柚もドラマ出たいなー。ねねっ、どうやったら演技ってできるようになる？」
加蓮「んー。まずは台本を読みます」
柚「うんっ」
加蓮「表情を作ります」
柚「う、うんっ」
加蓮「演じます。終わり」
柚「……加蓮サンは天才だ！」
加蓮「冗談はやめてよ」
柚「じゃあ才能があるんだ！」
加蓮「冗談はやめて」
柚「うーん、柚はやっぱりLIVEがいいなっ。それか、ドラマならみんなで撮りたいっ」
加蓮「ふふっ、楽しそうなドラマになりそうだね」
柚「なるなる！　なんでも楽しくやるんだ。それが柚だから！」
柚「……ところでアタシのＰサン知らない？　ややっ、べ、別に用はないんだけどねー、そのー、あのー」
加蓮「……？　柚のプロデューサーさんなら……どこかで見たような気はするけど、ごめんっ、覚えてない」
柚「そっかー。あは、残念だなー、あはあは」
加蓮「……？？」
柚「じゃあ加蓮サンでいいや！　えっとね……えっと…………」
加蓮「ん……？」
柚「……やっぱなしーっ。そんなことされたらアタシ後半だめだめになっちゃう。終わってからＰサンに頼もーっ」
加蓮「はぁ……？」
柚「今日は打ち上げがないんだっ。だからＰサンに甘え放――あわわっ、えっと、えっと、Ｐサンといっぱい遊べる、カナ？」
加蓮「柚は元気だね。LIVEが終わった後もまだ遊ぶんだ」
柚「遊ぶ！」
加蓮「柚といい忍といい、フリルドスクエアはみんな元気だねー」
柚「加蓮サンは…………あっ、え、えっと、やや、たいりょくがすべてじゃないとおもうよ？」
加蓮「気を遣わなくていーです。っていうか、打ち上げないんだ。定例だから？」
柚「ううんっ、いっつもはやってるよ。ご飯食べたりー、スイーツ食べたりー、ご飯食べたりー」
加蓮「食べてばっかりじゃん」
柚「この前は焼肉屋に行ってみた！　穂乃香チャンが興味しんしんって感じだったからっ」
加蓮「焼肉屋……どんなところなんだろ」
柚「もくもくしてて匂いがすごくて、つい食べ過ぎちゃったよ。そしたらＰサンが、体重維持もできんのかー！　ってツノ生やしちゃって」
加蓮「あはは、匂いはしょうがないよね」
柚「だよねー！」
加蓮「ねー」
柚「今日は打ち上げはお休みっ。あずきチャンが空いてないっていうんだ。せっかくならみんなで行きたいしっ」
加蓮「予定か何か？」
柚「ううんっ、えっとね、……えと…………」
加蓮「？」
柚「……お、お父さんと、お母さんが来てるみたい。今日はみんなで外食だ、って言ってた」
加蓮「そ。残念だね、柚。次は柚から誘いなよ」
柚「！　うんっそうするそうする！　あ！　やばいっそろそろ時間だっ。加蓮サン、後半も見てく？」
加蓮「近くで仕事があったから立ち寄っただけだけど、せっかくだから見て行こっかな」
柚「やたっ。ね、ね、後で紹介しちゃう？」
加蓮「だめ。今日はファンの前に出るモードじゃないし」
柚「残念っ」
加蓮「さて、柚の活躍をじーっと見てみよっかな」
柚「わー！　ストップストップ、今日の主役は忍チャンだよ！　忍チャンを見てあげてっ」
加蓮「そうしないとミスるから？」
柚「そう！」
加蓮「でも柚って、ミスしてもすぐ笑って復帰するから大丈夫でしょ」
柚「ぅゆ……それは柚ソロの時だよ。みんなとの時は……ちょっとヤダ……」
加蓮「……そう。じゃ、ほどほどに見ることにするから、プレッシャーは感じなくていいよ」
柚「ありがとっ。加蓮サンは優しいっ」
加蓮「意地悪じゃなくて？」
柚「意地悪だけど優しい！」
加蓮「ふふっ、変なの。じゃ、頑張ってね柚。じいっと見てなくても、応援はしてるから」
柚「加蓮サンの応援があれば、えと、……な、何人だっけ？」
加蓮「…………百人力のこと？」
柚「そうそうそれだっ。柚は回るよ！　くるくる回るよ！　くるくる〜、くるくる〜」ﾀｯﾀｯﾀ
加蓮「回りながら行っちゃった……。……ん？　藍子から通知？　……『ごめん、ちょっと帰るの遅れそう』っと」

加蓮「にしても……」ﾁﾗｯ

＜柚は大丈夫だよー！
＜よーし、LIVEを大成功させちゃおう大作戦パートツー、行くよっ
＜おー
＜お、おー！

加蓮「…………気のせい、かな」ﾌｲｯ