「IF:それがあの時に見せた姿」






前回のあらすじ!
加蓮と藍子が2年ぶりに再会したよ!


――公園――
「あ、かれんちゃんだー!」
「かれんちゃんだ!」
「ねーねー、あそぼー!」
「いっしょにあそぼうぜー!」
北条加蓮「はいはい、ちょっと待ってって。こらこら、引っ張らないの」ニコッ


――公園のベンチ――
安部菜々「今日も加蓮ちゃんは元気そうですねぇ」
高森藍子「……え? あの、あれ、加蓮ちゃん……です、よね?」
菜々「藍子ちゃんの気持ちは分かりますけど、あれは加蓮ちゃんですよ」
藍子「はえー……」


――公園――
加蓮「あんまり長くはいられないから、ちょっとだけだよ」
「やったー!」
「おれ、オニごっこやりたい!」
「あたしもー!」
「もー!」
加蓮「鬼ごっこかー。たまにはいいかもね」
「じゃあ、かれんちゃんがオニ!」
「わー、オニだー!」
「かれんちゃん、オニだー!」
加蓮「こらー、誰が鬼だー!」
「おこったー!」
「にげろー!」
加蓮「ふふふ、逃がさないわよ……! 待ちなさいっ!」

菜々「うっわあ、目がマジですねえ」
藍子「……加蓮ちゃんは、いつもここで遊んでいるんですか?」
菜々「ナナが聞いた限りでは1度や2度じゃないみたいですよ」

「うわー、くるなー!」
加蓮「はいたっち。次は君が鬼ね」
「すごーい!」
「かっこいー!」
「ちぇー」
「おとなげないぞー」
加蓮「だって私、まだ子供だし」
「ぶーぶー」
加蓮「じゃ、次は私が逃げる番だね。ほら、いっしょにがんばろ?」
「はーい」
「かれんちゃんといっしょだ!」
加蓮「オニさんこちら、手のなるほうへー♪」
「ほうへー♪」
「へー♪」
「まてー!」
「にげるなー!」

藍子「……いい笑顔ですね……♪」パシャパシャ
菜々「あっ、その写真、後でナナにも渡してください!」

加蓮「うわ、速っ! あ、ちょっと待って、たんまたんま!」
「やだねー!」
「タッチ! つぎはそっちがオニだ!」
加蓮「しょうがないなぁ」
「あたしもタッチされちゃった……」
「かれんちゃんもオニ?」
加蓮「うん。よーし、やるよ!」ウデマクリ

菜々「1stアニバーサリー、一緒にLIVEをしたんですっけ?」
藍子「はい。それ以来、お話することもなくて。気にはなっていたんですけど」
菜々「あー、タイミングを逃すと難しいですよねえ。ナナも周りにも気がつけば飲み仲間が1人減って2人減って」
藍子「……のみなかま……?」
菜々「おわっと今のはナシですよ、ナシ!」
藍子「はあ……。だから久しぶりに会った加蓮ちゃんが、なんだか、ぜんぜん違う人に見えて」
菜々「ほぇー」
藍子「今も、こうして見ていると……そっか、これが今の加蓮ちゃんなんだ、って思います」

加蓮「ぜぇ、ぜぇ……ちょ、ちょっと休憩させてー!」
「えー」
「もっとオニごっこやりたいー!」
加蓮「ご、ごめんね、ちょっとだけ、ね?」
「よわーい」
「なさけないぞー!」
加蓮「しょうがないじゃん、体力ないんだからー」
「ばばあだ!」
「たいりょくないってことは、ばばあだ!」
加蓮「」ブチッ

菜々「」グサッ
藍子「な、菜々さん? どうして白目をむいているんですか!?」

加蓮「ふぅ」テヲパンパン
「」チーン
「」イヌガミケ
加蓮「いーい? もし10年後くらいにババアなんて言われたら、今のおねーちゃんみたいにシメちゃっていいからね」
「はーい!」
「かっこいー!」
加蓮「ふふっ」
「かれんちゃんはおばちゃんじゃないもん!」
「おとなみたいでかっこいいけど、おかあさんじゃないよ?」
加蓮「ありがと。っと、いけない、ちょっと疲れちゃった……」

藍子「あ……」
菜々「大丈夫ですよ藍子ちゃん。加蓮ちゃんだって、ちゃんとセーブできてますって」
藍子「……ですよね……そこだけは、変わらないんですね」
菜々「変わらない?」
藍子「私と……みんなとLIVEをした時も、加蓮ちゃん、ずっとキツそうだったから。心配していたんですよ」
菜々「あ、それ今もですよ、今も!」
藍子「やっぱり?」
菜々「もういつ倒れるかとハラハラしっぱなしで」

加蓮「よし、回復完了っ」
「ひどいめにあった……」パンパン
加蓮「あっちも回復したみたいだね。女の子にババアなんて言っちゃ駄目だよー?」
「ごめんなさい」パンパン
「もうしません」
加蓮「ふふっ。素直でよろしい」
「ねーかれんちゃん、おうたうたってー!」
「うたってー!」
加蓮「歌?」
「おれもききたい!」
「おれもおれも!」
加蓮「もー、しょーがないなー。1曲だけだよ?」
「やった!」
「わーい!」

藍子「あのアニバーサリーの時、私、あんまり加蓮ちゃんとお話していないんです」
菜々「あれ、そうでしたか。てっきりガッツリしていたかと」
藍子「なんだか……こう言ったら加蓮ちゃんに失礼かもしれませんけど、少し、話しかけづらかったんです」
菜々「ほうほう」
藍子「LIVEの前に、ずっと台本を読んでいたり……あと、集中しているみたいでした。こう、目を瞑って、それがすごく綺麗で」
菜々「LIVE前の加蓮ちゃんは、ナナでもちょっと話しかけづらいですねぇ」

加蓮「おーねがいー、しんでれらー♪ ゆめはゆーめでおーわれっないっ♪」
「わああ……!」
「じょうずー!」
「やっぱすげー!」
加蓮「かなーえるよっ、ほーしーにーねーがーいをっ、かけたなら♪」

藍子「菜々さんは、よく加蓮ちゃんとお話するんですか?」
菜々「一応、ユニットでLIVEに出たこともありますからね! 話しててすごく楽しいですよ。……ちょっと意地悪ですけど」
藍子「そうなんですか」
菜々「ナナ達もユニット組むことですし、どうせだからいっぱい喋ってみましょう!」
藍子「はいっ」
菜々「……それと」
藍子「?」
菜々「加蓮ちゃんが難しい子だっていうのは……きっと、藍子ちゃんのイメージの通りだと思います。加蓮ちゃんもそれが分かってて、よく無理をしちゃってるんですよねぇ」
藍子「……」
菜々「ちょっと理由があって、ナナにはできないことがあるんです。だから加蓮ちゃんのことを、藍子ちゃんにお願いできたら……ほ、ほらこういう時Pさんってアテになりませんし凛ちゃんとか奈緒ちゃんには相談しづらいこととかあるでしょうしですからそのー」

加蓮「なーに言ってんだか、菜々ちゃん」

菜々「ぎゅい!? って、え!?」
藍子「あ……加蓮ちゃん。あれ、子どものみなさんは」
加蓮「解散。そろそろ時間だって。私もそろそろ帰らないとPさんに何を言われることか」
藍子「は、はいっ。……え、えっと」
加蓮「ん?」
藍子「あ、いえ……なんでも」
加蓮「変なの。で? 菜々ちゃん?」
菜々「ミミン!」
加蓮「アンタは世話やきなお母さんかっての」
菜々「いやあこの歳になるとつい世話を焼きたくなんてなりませんけどねナナは17歳ですからね!」
加蓮「…………せっかく気を遣ってんのに」
菜々「そ、そんなことより! ほら、加蓮ちゃんも冷えていますし、早く帰ってストーブであったまりましょう!」ニギッ
藍子「わ、ホントだ。加蓮ちゃんの手、すっごく冷たい……」ニギッ
加蓮「心も冷たいけどね」
菜々「お子さん相手にニコニコしていた子が何を言いますか」
加蓮「うるさいな」
藍子「加蓮ちゃんの笑顔、本当にすてきでしたっ!」
加蓮「そういうのはいちいち言わなくていいと思うよ……」
菜々「またまた〜、素直じゃないんですから」
加蓮「……もう、先に帰ってるよ」フリホドキ
藍子「あっ、待ってください加蓮ちゃんっ! わわ、歩くの速い……!」
菜々「っとと。やーれやれ、加蓮ちゃんは相変わらずですねぇ」
加蓮「おーい、何してんの菜々ちゃん。置いていくよ?」
菜々「はいはい今いきますっ! ……藍子ちゃんから良い影響を受けられると、いいんですけどね」



掲載日:2015年6月7日

 

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