「人間関係百朝百夕」





――小会議室――
P「次のLIVEについてはこんなところだな。質問は? ……よし、じゃあこの話は終わりだ!」
北条加蓮「うん。お疲れPさん。2人も」
安部菜々「キャハッ☆ この3人でのLIVEはホントに久々ですからね! ナナも年甲斐なくはりきっちゃいますよ〜!」
加蓮「……年甲斐もなく?」
菜々「ハッ! と、とと、年……年……年甲斐もなくやり過ぎたら腰に悪いですよってPさんに言いたかったんです〜!」
P「俺かよ」
加蓮「腰に悪いと具体的に言える17歳」
菜々「うぐっ…………」
高森藍子「ま、まあまあ……」
P「しっかしお前らとLIVEのミーティングしたらホントにすぐ終わるよなぁ……。ポンポン決まっていくし」
加蓮「そう? 手っ取り早く終わるならいいことじゃん」
P「それはそうなんだが、張り合いがないというかな。ほら、他のユニットじゃ誰をセンターにするかで揉めるってよく聞くぞ?」
菜々「加蓮ちゃんも藍子ちゃんもあっさり譲っちゃいますからね。アイドルとしてそれでいいんですか!」
藍子「ひゃっ、ごめんなさいっ」
加蓮「って言っても3曲でしょ? 結局、1人ずつセンターを交代していくしかなくない?」
菜々「むぅ。ナナとしては全部の歌でセンターをさせろーって言うくらいがいいと思うんですがねえ」
加蓮「菜々さんだったらそれできる?」
菜々「う……ナナは、その、体力面で」
加蓮「じゃー私も同じだ」
P「そういえばさ菜々。お前、2X歳モードが直ってなくないか?」
菜々「なんですと!?」
加蓮「それ私も思った」ハイ 藍子「あ、私もですっ」ハイ
菜々「2人とも!? ぐ、ぐぬぬ……ナナは17歳、ナナは17歳……キャハッ☆ 現役JKアイドル安部菜々、今日も学校帰りに華麗に参上ですよ!」
加蓮「ウサミン星の学校から? はるばるお疲れ〜」
菜々「もーっ! そこは突っ込まないでくださいよ!」
藍子「こらっ、加蓮ちゃんっ」
加蓮「ふふっ。ねえPさん、他に何か話し合っとくことあるの? ついでにやっちゃおうよ」
P「ん、そうだな……どうせならそれぞれ個別の仕事の話もしとくか。加蓮ソロの仕事でも、藍子や菜々が何かアドバイスできるかもしれないし」
藍子「そうですね。上手いことが言えるか自信はないですけれど、ついでにやっちゃいましょう♪」
藍子「あっ、その前にお茶にしませんか? 私、少し喉が乾いちゃって」
加蓮「私もー。ここ、ちょっと空気が乾燥してない?」
P「え、マジか。じゃあ小さい加湿器もついでに持ってくるわ」ガタッ
藍子「じゃあ私、飲み物を持ってきます」ガタッ
菜々「ナナも行きましょうか?」
P「大丈夫だよ、俺1人で運べる大きさだし。ちょっとそこで待っててくれ」
加蓮「はーい」

加蓮「ふぅ…………」
菜々「…………」チラッ
加蓮「…………」チラッ
加蓮「!」
菜々「!」
加蓮「…………な……なんか気まずいね、あはは……」
菜々「そ、そおですね……あー、えー、ご、ごほんっ! そういえば加蓮ちゃん、ここのところどうですか? 元気にやってますか?」
加蓮「う、うん。菜々さんは?」
菜々「ぼちぼちですね!」
加蓮「そ、っかー……」
菜々「…………」
加蓮「…………」
菜々「…………」
加蓮「……あ、藍子たち遅いね? 私たちも手伝った方がよかったのかな?」
菜々「Pさんが大丈夫って言いますし、時には待つのも大切ですよ!」
加蓮「そ、そうだよね。待つのも大切だよね、うん……」
菜々「え、ええ! 大切です!」
加蓮「…………」
菜々「…………」

P「ただいま。ついでに資料も持ってきたから――ん? どうしたんだ2人とも。やけに大人しいじゃないか」
P「またてっきり加蓮が菜々で遊んでるかと思って、2人を残したのミスったかなーとか藍子と笑い合ってたんだぞ?」ハハハ
加蓮「あ、お帰りPさん……まあ、その、ええと」
菜々「あー、……アハハー…………」
P「……?」
藍子「ただいま戻りました、加蓮ちゃん。菜々さん。はいっ、缶ジュースです!」
加蓮「ありがと藍子」
菜々「ど、どうもですよ〜……」
藍子「……??」
加蓮「そっ、それよりもほら! アイドル、アイドルの話! まずは私の仕事から話しあおうよ!」
P「え? あ、ああ」
加蓮「ねっ! えっと、菜々さんも藍子も! なんかこう、いいアイディアあったらじゃんじゃん出してよ!? そのー、ほら、……ね!」
菜々「そ、そうですね! ここはナナが人肌脱ぐことにしましょうか!」
藍子「加蓮ちゃん、菜々さん……?」
P「よく分からんけど、そう言うならまず加蓮のから行こうか。直近のだと、3日後のオーディションと4日後の収録が――」


――会議終了後 事務所の廊下――
P「じゃあ俺は営業に行ってくる。今日は解散ってことで、何かあったら連絡してくれ。……さて、次の書類はどこにやったかな」タッタッタ
菜々「行ってらっしゃいませっご主人様♪ なんちゃって!」
藍子「ふふっ。では、これから……どうしますか?」
菜々「いい時間ですしお昼ごはんにします? お望みならナナが振る舞っちゃいますよ!」
加蓮「…………」
藍子「……加蓮ちゃん?」
加蓮「あっ、ごめん……何? お昼ごはん?」
藍子「そうですよ。菜々さんが手料理をって言うので、その……もし、よろしかったら……」
加蓮「……よろしかったら?」
藍子「あ、いえっ! ええと……その……な、菜々さん、私も手伝っていいですか? 簡単なことしかできないけれど……」
菜々「もちろんオッケーですよ! なんなら加蓮ちゃんも一緒にやりますか?」
藍子「!」
加蓮「え、いや私……」
菜々「料理が苦手でも大丈夫ですよ! ナナ、こう見えてもメイドカフェ時代では新人教育もやってましたからね!」
菜々「黒焦げの料理を作ってた子が、見事なオムライスを仕上げた時の感動……ううっ、まだ忘れられません!」
藍子「な、菜々さん? ええと、17歳……ですよね?」
菜々「ハッ! え、えええっとお…………そ、そういう店長の話を聞いたことがありまして! やー大人は武勇伝を語りたがりますからねー大変ですよ大人って!」
藍子「そう、ですね……? あの、17歳……」
菜々「ギャー! ナナは17歳ナナは17歳ナナは17歳!!」
藍子「あはは……」ニガワライ
藍子「……あれ、加蓮ちゃん? ぼうっとして、どうしたんですか?」ヒョコ
加蓮「わっ」
藍子「……? あの、お昼ごはんのお話なんですけれど。加蓮ちゃんは大丈夫ですか? もしかして、ご予定とか……」
加蓮「あ……予定、そう、予定。ごめん今思い出した。今日、家族でお昼食べに行くことになってたんだ」
菜々「あれっ、そうでしたか」
加蓮「うん。柚がお昼から事務所に来て入れ違いになるから、どうせだから一緒にご飯食べようって……その、柚もすごく楽しそうにしててさ……だから、えっと、ごめんね? もっと早く言っとけばよかったけど言い出しにくくて」
菜々「いえいえ。じゃあ今日は藍子ちゃんと2人で――」
菜々「……あー…………」
菜々「と、とりあえず部屋に戻りましょうか! 誰かいたらみんなで手料理パーティーができるでしょうし!」
藍子「はい、そうしちゃいましょうっ♪ 加蓮ちゃんも、その、……つ、次は是非参加してくださいね!」
加蓮「うん。ホントにごめんね?」
藍子「いえいえっ♪」
菜々「そっ、そうと決まればメイドのナナが一番乗りですよ! 台所を仕切るのはナナだ〜!」タタッ
藍子「あっ、菜々さん! 待ってください、私もすぐ行きますから〜!」タタッ
加蓮「行ってらっしゃーい」フリフリ
加蓮「…………」

加蓮(…………なんかやり辛いなぁ、もう……!)


掲載日:2015年10月11日

 

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