「カレー(物理)」






※7月12日追記:一部の文章を修正しました。

――事務所の談話室――
喜多見柚「第1回、からからカレー選手権っ! 実況は『今日も来るといいな柚ブーム!』喜多見柚がお送りするよ! 解説は――」
高森藍子「解説の高森藍子です。おふたりとも、がんばってくださいね♪」
北条加蓮「…………何これ?」
工藤忍「柚ちゃん、また変なこと思いついたんだね……」
柚「さてさてー、事務所に置いてあったカレーに、この激辛の素をふぁっさー!」
藍子「これ、どれくらい辛いんですか?」
柚「味見してみたあずきチャンが半泣きで逃げてった」
藍子「そ、それはすごそうですね……」
柚「ではではっ、加蓮サン選手、忍チャン選手、どうぞっ」
加蓮「どうぞって言われてもさ……」
藍子「スプーン三杯で食べられる量を用意しました」
柚「わんこそばならぬわんこカレーっ」
藍子「クリアできたら、次の辛さを同じ量で用意しますね」
柚「サバイバルだ!」
藍子「ちなみに勝った人には、それぞれ自分のプロデューサーさんになんでも言うことを聞いてもらえるチケットをお渡しします♪」

加蓮「……!」忍「……!」

柚「ふたりとも目の色がすごい変わった!」
加蓮「それ、許可とってる?」
柚「もっちろん! 藍子サンと加蓮サンのプロデューサーさんには藍子サンがお願いしたよ!」
藍子「説得するの、ちょっぴり苦労しちゃいました。でも、加蓮ちゃんの為ですから」
柚「おおっとこれは加蓮サンにプレッシャーかな?」
加蓮「……なんか、実況が板についてるね」
忍「柚ちゃんっていろんなことができるんだよね……」
加蓮「で、忍。なんかプロデューサーにお願いしたいことでもあるの?」
忍「それは……まあ、あるような、ないような。でも勝負なら別だよ!」
柚「ここで忍チャンの勝利宣言だー!」
加蓮「ふうん……」
柚「藍子サン藍子サン。あの加蓮サンをどう見ますかっ?」
藍子「あれは……一見するとなんでもないように見えるけど実は心の中でメラメラ燃えているみたいです!」
加蓮「細かく解説すなっ。もう、やるならさっさとやろ」
柚「では早速〜、1杯目、お願いしますっ!」
加蓮「ん(パクっ)」
忍「えいっ(パク)」
加蓮「……」
忍「……」
柚「2人とも黙ったままだ! これはやりすぎちゃいましたカナ?」
加蓮「ん……こんな物? 拍子抜けだな」
忍「確かに辛いけど、これくらいなら普通に食べられるよね?」
柚「あれぇ? おっかしーなー。柚ちょっと味見してみるーっ! ぱくーっ」
忍「あっ」
柚「……ごえええええええええええええ!!?」バタバタバタ

<ナニコレ辛いー!? み、水、お水ぅーっ!
<柚ちゃんが大変だ! よーしっ、お水を探そう大作戦ねっ!

加蓮「…………」
忍「…………馬鹿」ハァ
藍子「……じゃ、加蓮ちゃん、忍ちゃん。次のお皿に行ってみましょう♪」
加蓮「続けるの!?」
藍子「次のお皿は……これですっ。激辛の素2杯分!」
忍「うわぁ……赤いのがモクモクしてる」
加蓮「藍子、ちょっと味見してみてよ」
藍子「わ、私はむりですよ?」
加蓮「ジャッジが食べられないカレーって……」
安部菜々「うっさみーん♪ あれ、珍しい組み合わせですね」
忍「!」
菜々「……って、うわっ、なんですかその見るからにヤバそうなカレー」
藍子「うっさみーん♪ 菜々さん、ちょっとこれ味見してみませんか?」
菜々「え゛?」
加蓮「ちょうどね、辛いカレーの勝負してて」
菜々「いやそれ明らかにヤバ」
加蓮「いいから。ね? お願いっ菜々ちゃん!」
菜々「……し、しょうがないですねえ、そんな目で見られると断れないじゃないですか、もう」パクッ
菜々「……」

<水〜〜〜〜〜! ごくごくごくあっこれお酒だぷはーっいや違うんです卯月ちゃんこれは!

加蓮「うわぁ」
忍「菜々さん……!」ホロリ
藍子「……。では加蓮ちゃん、忍ちゃん、どうぞっ」
加蓮「あれを見て食べさせる!?」
忍「えいっ(もぐ)」
加蓮「食べてるし!」
忍「……うん、いけるいける。加蓮。食べないの? 食べないならアタシの勝ちになるけど」
加蓮「〜〜〜っ! 食べればいいんでしょ、食べれば!(ぱくっ)」
藍子「加蓮ちゃん、どうですか?」
加蓮「余裕! 次!」
藍子「はいっ♪ 次は、一気に激辛の素を4杯まで入れちゃいますねっ」
加蓮「どこから用意したんだろ、あれ」
忍「そういえばうちのPさんが、食品メーカーから何かもらってたような……」
加蓮「それを柚が見て、ってところか。ったく、あのトラブルメーカーは」
忍「柚ちゃんもPさんも変なことばっかり思いつくんだよね……」ハァ
藍子「できましたっ!」
加蓮「で、次は誰が味見するの?」ジーッ
忍「基準みたいな物がないと難しいよね」ジーッ
藍子「…………だから私は無理ですよ?」
加蓮「しょうがない、私達だけで食べ――あっ、Pさん」
忍「お」
加蓮「ねえねえPさん。ちょっとこのカレー食べてみてよ。……ヤバそうに見える? ふーん……心を込めて作ったカレーなんだけどな。Pさんは食べてくれないんだ。そっか……」
藍子「あー……」
忍「うわあ」

<ぐわああああああなんだこれ舌ごああああああ!!

加蓮「犠牲者がどんどん増えていく」
藍子「加蓮ちゃんが増やしていますよね……?」
加蓮「カレーを作った人は心を込めただろうし」
忍「加蓮のプロデューサーさんでも絶叫する辛さ……ごくっ」
加蓮「ん? どしたの、怖気づいた? じゃあ今度は私からいこっかな(はむ)」
忍「ど、どう?」
加蓮「うっわ、ここまで来るとキツイね……ふぅ。はい、藍子。確かに完食したよ」
藍子「はいっ。お疲れ様です、加蓮ちゃん」
忍「……むーっ!(がぶっ)うん、まだまだいけるよ!」
藍子「じゃあ次は、激辛の素を6杯入れますね。……あの、おふたりとも、あんまり無茶はしないでくださいね?」
加蓮「ここまで来てその相談は受け付けないよ」
忍「アタシは負けない……!」

増えていく激辛の素に、彼女らは苦しそうな顔を見せつつも完食し続けた。
なお、激辛8杯を味見させられた通りすがりの本田未央はアイドルとして断じて映像に残せない惨劇を起こし、激辛12杯を味見させられた通りすがりの日野茜はその後、町中で炎を吐きながら大爆走する姿を目撃された。
そして。

――15杯目――
<…………………………(バタッ)
<卯月ちゃんが無言で倒れた!?

加蓮「ぜぇ、ぜぇ……忍? そろそろ、限界、じゃない?」
忍「ふーっ、ふーっ、加蓮こそ、汗すごいよ?」
藍子「あ、あの、おふたりとも……」
加蓮「ふぅ、はぁ、よし、これで、完食……(バタッ)」
忍「あ、あはは、加蓮が倒れたってことは、アタシの勝ちかな……(バタッ)」
藍子「わ、わっ、おふたりとも!?」
柚「ただいまーっ。いやあアレはヤバイね。柚はやっぱり甘いのがいいな♪」
藍子「柚ちゃん! あの、大変なんです、加蓮ちゃんと忍ちゃんが!」
柚「え? わーっ!? 帰ってきたら会場が殺人現場になってる!?」
藍子「いや死んでませんよ!? それより医務室に、」
柚「ってことは……藍子サンが犯人だ!」
藍子「へ?」
柚「藍子サン、もう逃げられないぞーっ! 大人しく柚にカツ丼を奢るのだー!」
藍子「カツ丼を食べるのはやっちゃった方ですよね!? いやそれより加蓮ちゃんと忍ちゃんを!」
柚「そうだった! えいっ、えいっ、……ぐ、ぐぬぬ、忍チャン地味に重いっ」
藍子「誰か助け――(ガチャ)キャーッ!!?」
柚「藍子隊長どうしたっ!」
藍子「み、みんなが、みんなが……っ!?」
柚「あちゃー、みんな味見しちゃいましたかー。よしっ、柚は逃げるっ!」
藍子「あっ、ちょっ、待ってください柚ちゃ」

5時間後、機能回復した事務所にて柚はおしりぺんぺんの刑に処された。



掲載日:2015年7月8日

 

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