「[深緑の魔女]道明寺歌鈴?」

(※ハロウィン記念短編)





――表通り――
道明寺歌鈴「――こ、こんにぢっ! ……は! 今日はええっとハロウィンということで、いろんな人が仮装して、してますね〜! あはは、その、インタビューなんてしちゃったりして! 今日は私、」

歌鈴「……"高森藍子"がお送りしまずっ! じゃなくて、しますっ!」

歌鈴(…………ごっ、ごめんなさい藍子ちゃああああああああん!)

――回想――
歌鈴(ハロウィンで盛り上がってるし、藍子ちゃんからお借りした魔女の格好で歩いてみたりっ)※[深緑の魔女]高森藍子+を参照のこと

テクテク...

「すみませーん! インタビューいいですか?」
歌鈴『は、はいっ!?』
「仮装している人に聞いて回っているんですよ……って、あれ? あなたもしかして――」
歌鈴『ち、違いますよっ、私はただの市民です! アイドルじゃなくて――』
「ゆるふわアイドルの藍子ちゃん……?」
歌鈴『えっ』
「やっぱりそうだ! それ前の仮装の衣装ですよね! 実は私たちスタッフみんなファンで!」
歌鈴『あ、あはは、えーっとぉ……』
「そうだ! 今、ローカルで仮装している人の特集やっているんですけど、藍子ちゃんにも参加してもらえませんか!?」
「簡単なインタビューをやってもらうだけでいいですから!」
歌鈴『えっ』
「お願いします! きっとみんな喜びますから! ちょっとだけですから!」ガシ
歌鈴『あわわわわわ……』
歌鈴『…………』
歌鈴『は、はぃ……お役に立てるなら……』
――回想終了――

歌鈴(なんであそこで頷いちゃったの私……!?)
歌鈴(……落ち着いて、落ち着くのよ歌鈴! こうなったら仕方のないこと! 今の私は藍子ちゃん、今の私は藍子ちゃん、今の私は藍子ちゃん……!)
歌鈴(声はもうちょっと低めで、ゆっくりと喋って。顔つきは、こんな感じ……)
「あのー、そろそろインタビューの方をお願いできますか?」
歌鈴「は、はい! じゃあ、この藍子ちゃ……藍子が、インタビューに出ちゃいますねっ♪」ニコッ
歌鈴「スタッフさーん、ついてきてくださーい!」テクテク

…………。

歌鈴(あ、藍子ちゃんってこんな感じでよかったっけ……??)

テクテク...

歌鈴「わっ!」ズテッ
歌鈴「イタタ……はっ!」

スタッフ一同「…………」ジー

歌鈴「ごごごめんなさい! あ、あははっ、……そうだ! その、あんまり着ない衣装なので、つい転んじゃいましたっ」
歌鈴「もー、あんまりこういうところは撮らないでくださいよー?」
歌鈴「じゃあ、今度こそ出発です!」

テクテク...

歌鈴(ヨシっ、なんとかごまかせた!)

テクテク...

スタッフ「なあ、なんか今日の藍子ちゃんちょっとおかしくないか?」
スタッフ「そうよね……いつもはこう、もうちょっとビシっと……」
スタッフ「今日はなんというか……いつもより、可愛い?」
スタッフ「でもほら、ハロウィンだから少し浮かれてるって考えれば……」

テクテク...

歌鈴「こんにちはっ!」
若い女子2人組「!」「はいっ! え、カメラ!?」
歌鈴「あっ、突然すみません! 今日はハロウィンだから、仮装している人にお話じっ!」
女子2人「……」「…………」
歌鈴「あうぅ…………」
女子「えっと……あ、もしかしてインタビュー?」
女子「が、頑張って!」
歌鈴「ご、ごほんっ。おふたりはそれは、何の仮装をっ」
女子2人「「ゾンビで〜す♪」」
歌鈴「ゾンビ!? たたた退治しなきゃっ!」
女子2人「……」「……」ミアワセ
歌鈴「じゃなかった! ええっと、ぞ、ゾンビなんですか! …………ええっとぉ……」
歌鈴「す、すてきですねっ」
女子「あ、あはは、ありがとう?」
女子「せっかくハロウィンだから、ついやっちゃいました〜♪」
女子「えー、ついって前々から準備してたじゃん?」
歌鈴「前々から準備してたんですかっ」
女子「きひひっ、いやあ波には乗らないとね!」
歌鈴「波に乗っちゃうんですかっ」
女子「この子いつもそうなのよー。なのにすぐに飽きて」
女子「なにおう! よし今決めた。来年もゾンビやるぞー!」
歌鈴「はわわっ。た、楽しみにしてますね!」
女子「おうともよっ」
歌鈴「えっとっ、ありがとうございましたーっ」スタタタ
女子「あ、あれー? もっと撮ってもいいんだよー? おーい?」

スタッフ「もうちょっと話を聞いてみても大丈夫ですよ?」
歌鈴「あはは、勢いがありすぎてついっ……つ、次はもっと上手くやってみせますね!」
歌鈴(そう、今の私は藍子ちゃん! 藍子ちゃんならきっと、もっとこう、じっくりとお話を聞いて……!)


――10分後――
女子1「テキトーに済ませよーとかやってたんですけどぉ、彼がガチのメイクリストとか呼んじゃってぇ」
男子1「SNSで冗談で呟いたらやりたいってのがいっぱいいて、そんならコンテストにも参加しようってなったんすよ」
女子2「えー、マジ! 参加すんの!」
男子1「お前知らなかったのかよー」
女子2「マジー? うわー、マジー?」
男子2「とりまそんな感じっすねー。あ、衣装もっと撮ってくださいよ。これ俺の力作なんっすよ」
男子1「こいつ裁縫とかすげー得意なんだよなー」
女子1「わっ、すごーい! さっすがー!」
男子2「とりまやっとこ的な?」

歌鈴「はわわわわわ……」


――15分後――
歌鈴「ぜぇ、ぜぇ…………」ヘトヘト
歌鈴「あ、あはは、ごめんなさいスタッフさん……いいとこで切り上げようとしたらつい勢いに、あはは……」
スタッフ「「「いえっ、お気になさらず!!」」」
歌鈴「はわ!?」

スタッフ「勢いに押されてる藍子ちゃんマジ可愛い」
スタッフ「いい絵が撮れてるわね……ねえこれ放送するのやめにしない? 私達のお宝ってことで」
スタッフ「いやいやこれで数字を取って次の番組にも是非……」

――それから――
歌鈴「はいっ! それ、ゲームのモンスターですよねっ。上手くできてます……ふぇっ? いいいえっ私なんて!」

歌鈴「す、すごい本格的……! あの、これ、どれくらい作るのにかかって……い、いちねんかん!?」

歌鈴「ゴミ拾い、お疲れ様です! 私も手伝いますね……ええっ!? アイドルにそんなことさせられない!? す、スタッフさ〜ん!?」


――2時間くらいして――
スタッフ「うんっ。あと1組くらいにしておきましょうか! 藍子ちゃん、ありがとう! すごくいい絵が撮れてるわ!」
歌鈴「ホントですか!? じ、じゃああとは……」

<ワアアアアア

歌鈴「ふぇっ」

<アイドルの生歌披露!?
<ゲリラライブ!?
<仮装LIVEだ!

スタッフ「あっち、なんか騒がしいですね……藍子ちゃん、行ってみます?」
歌鈴「あ、はいっ。じゃあ移動しましょう! わ……私についてきてくださいっ!」
スタッフ「「「はい!!」」」

テクテク...

歌鈴(……あれっ?)
歌鈴(「アイドルの生歌披露」「ゲリラライブ」…………)
歌鈴(…………もしかして)アセタラリ


――商店街入り口――
相葉夕美「みんな、ありがと〜〜〜っ!」
北条加蓮「私達のLIVE、楽しんでくれた? 急なゲリラライブでごめんねっ♪」

歌鈴「」

加蓮「もうっ。夕美がいきなりやろうって言い出すから……」
夕美「あははっ。でもほら、みんな楽しそうだからいいでしょ♪ ねー! みんな、楽しんでくれた〜〜〜っ!?」

<ワアアアアアアアア――ッ!
<小悪魔夕美ちゃんかわいーっ!
<加蓮ちゃんのナース姿やべーっ

夕美「ねっ♪」
加蓮「……ふふっ。結果よければ、だね」
夕美「うんうんっ。おっと、ゲリラライブはちゃんと終わり際も考えなきゃ♪ みんなっ、今日はこれでおしまい!」

<えー!?

加蓮「また私のLIVEも来てね。次は確か、◯日に◯◯県、×日に××県で――」
夕美「あっ加蓮ちゃんずるい! 私、私も! 次の土曜日に◯◯って番組に出るからみんな見てね!」
加蓮「夕美だって」
夕美「アイドルですから♪ ……あれっ?」
歌鈴「!」ビクッ
夕美「ねえねえ加蓮ちゃん。あれ、藍子ちゃんじゃない? ……やっぱりそうだっ。あの衣装、藍子ちゃんだよ! おーい、藍子ちゃーん♪」ブンブン
歌鈴「!!」ハワワ
加蓮「あ、ホントだ。魔女の衣装…………、…………ん? ねえ夕美、あれって」
夕美「何してんのー! こっちおいでよーっ!」
歌鈴「!!?」

<ザワザワ
<ザワザワ
<藍子って、あのゆるふわアイドルの?
<えっ、この中にいるの!?
<仮装が多すぎて分かんねえ

スタッフ「あー、これどうしましょ」
スタッフ「何言ってんの! いい絵が撮れるチャンスじゃない! あっ、藍子ちゃん! 私達のことは気にせず行ってきて! インタビューは後からでいいから!」
歌鈴「ええっ!?」
スタッフ「ほらほらっ」ドンッ
歌鈴「きゃっ」
歌鈴「よっとっと」ヨロヨロ
歌鈴「はわっ」ビターン!
スタッフ「あ」
スタッフ「「「あ」」」

スタッフ一同
「お前藍子ちゃんになんてことを!」「どんな力で押してんだよっ」「傷でもついたらお前この場の全員に×されるぞ!?」「よし、藍子ちゃんを触ったその手を斬り落とす」「ヒャッハー!」「ハロウィンだし血染めの仮装があっていいよな? いいよな?」

<ギャー!

夕美「こっちこっちっ」グイグイ
歌鈴「ひゃあっ。あ、あのっ、私はっ」
加蓮「あれ……? 藍子? いやでも……」
夕美「今ね、ゲリラライブしてたとこなんだ。私と加蓮ちゃんでっ。藍子ちゃんも一緒にどう?」
夕美「みんなも、藍子ちゃんの歌を聴いてみたいよねーっ!」

<イエエエエエエエエエエエエーーーーーーイ!!

夕美「ふふっ♪」
歌鈴「あわわわわわわわ……」ガクガク
夕美「曲は何にしよっか。前に『Flowery』で歌ったのでいい? 音源あったっけ……」ガサゴソ
歌鈴「」アワワワワワ
加蓮「…………?」
加蓮「ねえ、ちょっと」クイ
歌鈴「ひゃうっ。ななななんですかかれっ、加蓮ちゃん!」
加蓮「ああ、やっぱりだ……ねえ、アンタ」

加蓮「藍子じゃなくて歌鈴でしょ」

歌鈴「はわぁ!?」
加蓮「うん、やっぱり歌鈴だ。アンタここで何して――」
歌鈴「ち、違いますよっ! 私は……えと、私は藍子ちゃんですっ」
加蓮「…………」ジトー
歌鈴「あ……藍子、ですよ?」
加蓮「うわっ声真似上手っ!」
歌鈴「だ、だから私藍子ですっ」
加蓮「……もし藍子なら答えられるよね? 昨日、紅葉を見に行った時に菜々さんが最初に食べたサンドイッチは何――」
歌鈴「藍子ちゃんと紅葉を見に行ったんですか!? 加蓮ちゃんばっかりずるいっ、私も誘ってくださいよ!」
加蓮「おい」
歌鈴「…………あ」
加蓮「…………」
歌鈴「…………」

<ザワザワ
<ザワザワ
<まだ始まらないのかなー
<おーい、まだかー
<ワクワク
<ワクワク

夕美「ごめーん、藍子ちゃん。前に歌った歌、音源なかった! 私の歌で――ん? どうしたの加蓮ちゃん、藍子ちゃん」
歌鈴「あ、あはは、あの、私――」
加蓮「ん、いや、何なら歌えるかなって確認してたとこ」
歌鈴「!?」
加蓮「えっとさ夕美、あの歌ある? 前に夕美と歌鈴とゲリラライブした時の、ほら、夕美の歌」
夕美「あるある! ちょうど今、その歌ならどうかなって聞こうと思ってたとこなんだっ。藍子ちゃんも大丈夫?」
歌鈴「あの――」
加蓮「夕美が歌える歌なんだから藍子だって大丈夫でしょ。……ね?」メクバセ
歌鈴「あの…………」
歌鈴「(小声)! で、でも加蓮ちゃんっ」
加蓮「(小声)ゲリラライブは前にやったことあるでしょ? それにほら、せっかくのハロウィンじゃん? バレたらそういう仮装だったってことにしちゃえばいいじゃんっ」
歌鈴「…………」
歌鈴「(小声)……は、はいっ。大丈夫です。今日の私は、藍子ちゃんです!」
歌鈴「(小声)それにアイドルですから! 演じるのなんて、お茶の子さいさいですっ!」
加蓮「(小声)うんっ」
加蓮「夕美、準備は?」
夕美「オッケー! みんな、お待たせーっ! ゲリラライブ第2弾! 今度は藍子ちゃんも混ぜて、行くよーっ!!」

<ワアアアアアアア――っ!!
<待ってましたー!
<待ってたぞー!
<藍子ちゃんハロウィン仕様だ!
<まじょさんだー
<カメラ、カメラぜんぶ回して! いいやありったけの機材を準備! 余すところなく撮るわよ!

<ワアアアアアアアアアアア――――――っ!!!


――後日――

歌鈴『はわっ』ステッ
テロップ『ハロウィンだからか、はしゃいで転んじゃう藍子ちゃん……』

高森藍子「……………………!!???」

歌鈴『み、みなさんっ、楽しんでますか――っ!!』
テロップ『突然のゲリラライブ』
歌鈴『いい感じですっ! も、もう1曲行きましょう!』
夕美『うんうん乗ってるね! 今日の藍子ちゃんすごい楽しそうっ!』
加蓮『あ、あははは……』
テロップ『藍子ちゃん、今日はやる気満々』

藍子「……………………!!!!????」
P「いい感じに映ってるじゃないか、藍子。俺も見てみたかったな、ゲリラライブ」
藍子「…………!?!?」
P「あ、電話だ。もしもし、こちら――はい、高森はうちの所属で――はい、はい、分かりました是非とも検討をさせてください! はい……藍子! LIVEのオファーだ! 是非ともストリートLIVEのイベントにゲスト枠で出てほしいって!」
藍子「…………!!!???」

<え!? あれ、藍子ちゃんじゃなくて歌鈴ちゃんだったの!? うっそぉ!
<私ぜんぜん気づかなかったんだけど!? 加蓮ちゃん嘘ついてないよね!?
<そ、そっかぁ。びっくりしたぁ……言ってくれればよかったのにっ
<あっ、ごめんねわざわざ電話させちゃって! ツアー頑張ってね加蓮ちゃん!

歌鈴(ご、ごめんなさい、藍子ちゃん〜〜〜〜〜!)


掲載日:2015年10月31日

 

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