「キュート? シック? やっぱり可愛くっ」
――事務所の仕事部屋――
喜多見柚「やっぱかわいくいこう! こう、ほわ〜って感じの!」 北条加蓮「えー、私もうちょっと落ち着いたのがいいんだけど。せっかくだからシャビーシックとか挑戦してみたいなぁ」 柚「しゃびーしっく? って?」 加蓮「ちょっと待ってね……ああもうスマホだと動作が遅いなー、もー。出た出た。はい、こんなの」 柚「えー、こんなのただボロボロになってるだけじゃん。つまんなーい」 加蓮「それがいいの。柚はまだ子供だから分かんないかなぁ?」 柚「むむっ。子供でいいからかわいいのがいい!」 加蓮「えー、もー。可愛い系のかー……」ポチポチ 加蓮「むぅ、スマホってこういう時にわずわらしいなぁ……」ポチポチ 女性P(フリルドスクエア担当)「ただいまー。お、柚に加蓮ちゃん。ソファでくっつきあって何してんの?」 柚「おかえりPサン! 今ね、加蓮サンとインテリアの相談してたんだ!」 女性P「インテリア? ……あそっか、一緒に住んでるんだっけ。柚が迷惑かけてないかしら?」 柚「みんなそれ言うー。そんなことないよ。ね、加蓮サン!」 加蓮「ふふっ。ご心配なく」 女性P「そっか。通販サイトを見るならパソコンを使った方が楽じゃない? 私、しばらく手書きの書類作業だから使ってていいわよ」 柚「ホントっ!? やったっ」 加蓮「じゃ、ちょっと借りるね。プロデューサーさん」 女性P「どうぞー。あ、加蓮ちゃん」 加蓮「ん?」 女性P「なんというか……その、この前はごめんなさい。ほら、酔って暴れた時の……」アハハ 加蓮「…………ああ、うん……忘れよう」 柚「加蓮サンっ、何やってんの? 早く早くっ。柚パソコンとか苦手だから加蓮サンにお任せっ」 加蓮「はいはい。私もそんな得意じゃないよ?」スタスタ 柚「このミニテーブルいい感じ! あと本棚! 本とかDVDとか入れるんだっ」 加蓮「柚が思いつきで買った漫画とか、部屋の隅に積み上げたまんまだもんね。大きめの買わないと」 柚「それとカーペット! ふかふかなヤツっ。ゴロゴロってしたらきっと気持ちいいよ」 加蓮「あ、カーペットだったらお母さんが持ってるかも。前に使ってたのしまったまんまって言ってたし」 柚「ママのお下がり! アタシそーいうのやってみたかったっ♪」 加蓮「憧れる場所がおかしいでしょアンタ……。他には、そうそうドレッサードレッサー。いい加減、下まで降りるの面倒くさいんだって」 柚「ね、ね、加蓮サン。見て見て! ドレッサーの周りにいろんなの置いてる写真! アタシもこういうのやってみたい!」 加蓮「そういうのは後。まずは大きい家具を揃えないと」 柚「そっかー。でもアタシ、ちょっぴりオトナっぽいのもいいかも。ほんのちょっとだけおしとやかー、みたいにっ」 加蓮「可愛い系じゃなかったの?」 柚「カワイイのがいいけど、オトナっぽいのもいいの! どしたらオシャレになるかな?」 加蓮「うーん……この辺? シャンデリア風のペンダントライトだって」 柚「すっごくオトナって感じがする!」 加蓮「ドレッサーはこの辺かなぁ」 柚「えー、もうちょい可愛くしようよ。こっちのピンクのヤツとか!」 加蓮「いいねいいね」 加蓮「あと何がいるっけ。テレビと、そうそうクローゼット。いい加減に冬物も仕入れないといけないし」 柚「冬物…………」 加蓮「……ん? どしたの?」 柚「あ、ううんっ。……アタシ今まで加蓮サンの服とかママが買ってくれた服とかだったけど、エト……」 加蓮「??」 柚「その、ね。あの……アタシの、前にいた場所……アタシの部屋、だった場所、いろいろ置いてきちゃってるから……服とか、ファッショングッズとか……えと、えと……」 加蓮「…………」 柚「……ううんっ、いいや! ずっと前のことくよくよしてても楽しくないもんね。お別れもしてきたし。ぜんぶ新しく買っちゃお!」 加蓮「いいの?」 柚「うん。それで新しく買ってきたクローゼットにぜんぶ入れちゃう!」 加蓮「…………」 加蓮「いや、私とアンタのは分けてよ?」 柚「あれぇ!?」 加蓮「アンタ前に私の服を勝手に着た挙句、なんかのタレをべったりつけてたでしょ。あれ洗濯しても取れなかったんだけど」 柚「バレてたっ」 加蓮「当たり前でしょうが! もうやめてよああいうの!」 柚「はーいっ。じゃあ、クローゼット2つ?」 加蓮「うーん。まあ小さめの2つ買って、後は下に置いておけばいっか」 柚「あんまりたくさん置くとぎゅうぎゅうになっちゃうよね」 加蓮「そういえば柚さ、うちに来たばっかりの頃にお母さんに部屋もらってなかった? 物置だった場所を掃除してから」 柚「やだ! アタシ加蓮サンと一緒の部屋がいいっ」 加蓮「そ。じゃあせめて服だけはあっちに置きなさい。その分、部屋を広く使えるでしょ?」 柚「そっかー。加蓮サン、頭いいナー」 加蓮「それでいい?」 柚「うんっ、そうしよそうしよ」 加蓮「にしてもインテリアかぁ……改めて組み直すのって難しいよね。どっか見本とかないのかな」 柚「他の誰かに聞いてみる?」 加蓮「いちいちその人の家に行かないといけないし……ねープロデューサーさん。そういうサイトとかってある?」 女性P「……え? ああ、インテリアのまとめとかを検索してみたら見つかるんじゃないかしら」 加蓮「インテリア、まとめ、っと」 柚「ホントだ! いっぱい写真が載ってる! あっこれいいカモ。お姫様系だって!」 柚「お姫様の柚……ふふふー、ふふふふー」 加蓮「…………。へー、クッションを変えるだけでも部屋の雰囲気ってだいぶ変わるんだ」 柚「柚の話聞いてぇ!?」 加蓮「ゴッテゴテの姫様系とか絶対に暮らしにくくなるだけでしょ……それにメルヘンすぎるのは恥ずかしくて人呼べないよ」 柚「そっかなー。あっ、ソファもいい感じっ。まったりするのに絶対いるよソファ!」 加蓮「下にあるでしょ?」 柚「下にあるけど上にも欲しいのっ」 加蓮「そっか。後は……わ、すごい。カフェ風インテリアとかもあるんだ」 柚「加蓮サン加蓮サン今の前の画面に戻って! ……これ! キラキラってしててテーマパークみたい♪ よくない?」 加蓮「ドレッサー周りだけならいいかもね。あ、見て見てこれ! アロマキャンドルだって。しっとり系ならこういうのもいいんじゃないの?」 柚「うん、いい感じっ。柚の理想に近いかも♪ 他にはー、こっちのデザインラックもアタシ欲しい! いろんなのいっぱい入れよう!」 加蓮「いいね。お土産とかいっぱい入れようよ! ……お、ソファならこっちの1人がけっていうのは? そのまま寝ちゃえそうだよ」 柚「アタシ座ったら立てなくなっちゃうっ。それに、このお布団すっごく暖かそう! あ、カーテンもいいかも! オレンジのカーテン、きっと明るくなるっ」 加蓮「カーテンかぁ。他にもライトを変えるだけでもだいぶ効果があるんだ。いい機会だしいじってみよっかなぁ」 柚「あ、加蓮サン、こっちこっち! アタシこっちの――」 加蓮「私はこっちのもいいなぁ、それかこっち――」 女性P「…………」カキカキ 女性P(…………あっれぇ、気のせいかな。なんか今急にあの子達がとんでもなく若く見えたっていうか自分の年齢が恐ろしくなったというか) 女性P(気のせい気のせい、うん) 女性P(…………) 加蓮「ね、柚。こっちもいい感じじゃない?」キラキラ 柚「アタシこーいうの大好きだ! あっ、それとこっちもこっちも!」キラキラ 女性P(……独り身なんて寂しくないし、寂しくなんてないし……)ドヨーン |
掲載日:2015年10月27日
第164話「エンジョイ+あるふぁ!」へ 第166話「ほかほかの肉じゃが」へ
二次創作ページトップへ戻る
サイトトップに戻る