〜ツイッターのただしい使い方〜
2013年4月上旬に、ネットでこういうニュースが出まわっていました。
神戸大生がUSJで迷惑行為、処分検討 身を乗り出し運行休止、ボート転覆させ謝罪要求… : J-CASTニュース
http://www.j-cast.com/2013/04/05172554.html?p=all
ジェットコースターから身を乗り出し運行を止めたり、ボートをわざと転覆させて謝罪を求めたり――。神戸大学文学部2年の男子学生(19)らがUSJでの迷惑行為をブログなどで自慢し、ネット上で騒ぎになっている。神戸大では、事実関係を認めて、今後処分を検討すると言っている。
(中略)
ネット上で、騒ぎが広がったのは、この男子学生が、後ろ向き走行をするUSJの新ジェットコースターでのトラブルを2013年3月21日にツイッターで明かしてかららしい。
(中略)
その後は、男子学生のプロフィールが次々に暴かれ、過去に未成年で喫煙や飲酒をしていた疑いも指摘されるようになっている。
(以上、リンク先より抜粋)
いわゆる「ツイッターでの炎上」です。
このニュースの大元は、ツイッター云々よりもユニバーサル・スタジオ・ジャパンにおける迷惑行為に関する話ですが、今回は語り筋の都合上、「ツイッターによる炎上」に焦点を当ててください。
いわゆる、迷惑行為=犯罪行為をツイッター上で暴露した結果、ネットの方々がこぞって個人情報や所属先などを暴き出し、所属先へ連絡した結果、本人は除名処分を受けた……というのは、もはや一連の流れとなっています。
過去にもこういう事件は多く発生しています。まとめサイトなどでニュースを確認される方はご存知かもしれませんね。
【Twitter】140文字が狂わした人生~犯罪自慢・炎上まとめ~【バカ発見器】 - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2132708118341913001
【バカ発見器】【バカッター】ツイッターの主な暴露・炎上騒動のまとめ
http://uguisu.skr.jp/recollection/twitter2.html
これらを見るに、よくある事件としては「未成年による飲酒・喫煙の曝露」・「飲酒運転の暴露」・「黙秘すべき個人情報の暴露」などでしょうか。
当たり前ですがこれらは犯罪ですし、これらの行為は「自分は犯罪行為をしましたよ〜」と吹聴しているようなものです。
個人的に、未成年の飲酒喫煙を始めとした犯罪行為はもちろん許せませんが、やるならせめて誰も見ていないところでやれと思います。
極端な話、高校生などが誰にも話さず、身内だけで酒盛りをする……といったことに関しては、もう私は何も言いません。
それは勝手にすればいいだけだと思います。
しかし、最近ではツイッターでこうして吹聴している人がいる。
なぜこのようなことが発生するのでしょうか?
そして、吹聴した結果、どうして個人情報などが晒されることとなるのでしょうか?
その分析を始める前に、1つ、皆様へ質問します。
特にツイッターやブログをやっている人にお尋ねします。
あなた自身、もしくは、あなたの周りに、ぼかしを入れていない顔写真を掲載している人はいませんか?
……はい。
もしあなた自身が該当するなら、今すぐにそれは取りやめましょう。
ましてやあなたが若い女性などであれば、自ら身を売っているようなものですから。
え? なんでかって?
それをこれから説明致します。
まず大前提としては、ツイッターというものは、ネット環境さえあれば誰でも閲覧できるものだということです。
え? そんなの当たり前?
そうかもしれませんね。理屈では分かっているかもしれません。でもよく考えてみてください。
例えばあなたが何か呟いたとします。そうですね、じゃあ内容は「梅田なう」とでもしておきましょうか。
さて。
その時点で、あなたが梅田にいることを、一体どれほどの人が知ったと思いますか?
「フォロワーさんは50人くらいだけど、まぁ全員が見ているワケないし、10人くらい?」
ええ。現実にはそうかもしれません。
しかしシステム上、その呟きは全世界の人が見ることができます。
全世界の人が、呟いた日時に、あなたが梅田にいたことを知ることができるのです。
これが盲点となりやすい。
ツイッターの呟きというのは、基本的に自分がフォローしている人の分しか見ません。しかし検索をかければ、フォローしていようとどうだろうと見ることができます。
例えば梅田の居酒屋を探している人なんかが、ツイッターで「梅田」と検索すれば、あなたの「梅田なう」という呟きを見ることができるのです。
え? だから何かって?
はい、そうですね。この時点では「だから何?」です。
だって例え見知らぬ人が「梅田なう」と呟いていようと知ったこっちゃありません。というよりも、誰が呟いているかなんて分かりっこありません。
だってそうでしょう。ツイッターはフェイスブックと異なり、ハンドルネームを用いることができます。
私もつっきーという名でツイッターに登録していますが、ではこの「つっきー」さんがどこの誰で本名は何でどんな顔の人か、ということが分かりますか?
分かりませんね。
だからまぁ、私が買い物か何かで梅田に行って「梅田なう」と呟いても、何も起きないでしょう。
さて。ではここで、先ほどの質問をもう一度行います。
あなた自身、もしくは、あなたの周りに、ぼかしを入れていない顔写真を掲載している人はいませんか?
……察しのいい方は気づいたかもしれませんね。
顔写真をネットで晒している人が「梅田なう」と呟いた場合、「呟いた人が梅田にいる」から、「呟いた、こんな顔の人が梅田にいる」というところまで情報が広がります。
もしあなたの知らないところで、あなたを知っている人がいたとしたら。
近所付き合いのない隣の家(部屋)の人が、もしあなたの顔を知っていたとしたら。
そして、その人がもし、ストーカーだとか、あなたに興味を持っていたとしたら。
……そういうことです。だから特に“女性の方”と限定しました。
やや極論じみたことを言っていますが、大げさだと言える要素はどこにもないと思います。
そしてもう1つ、ツイッターの厄介なところ。
顔写真の例で言うと、じゃあ顔写真の掲載をやめる、あるいは最初から掲載しなければ、あなたがどこの誰かなんて分からない――と思い込んでしまうでしょうが、それがそうとも限りません。
例えばです。
ツイッター上に、リアルの知り合いがいるとしますね。クラスメイトとかバイト仲間とか、なんでもいいです。
その人とはツイッター上でもそれなりにやり取りをしていたとします。
ではその中に、あなたの個人情報に繋がるものが1つもないと言い切れますか?
答えは否。
これはツイッターに限った話ではありません。例えば私のブログ。2月8日「制作展1日目:様子見からフリーダムへ」と、2月9日「制作展2日目:それでも動ける範囲は」という記事があります。
これ、見る人が見れば、私がどこの学校のなんの学科に所属しているかが分かってしまうんですよ。
私はバレるものという前提で、バレても問題ない内容で書きました。全てを把握しきれているかは微妙なところですが……。
これと同じことです。特定の日付での行事、学校や仕事場からの帰宅時間と寄り道した場所の照合、学校特有の行事の呟き……個人情報、特に所属に関しては、特定する手段がいくらでもあります。
つまりのところ、ツイッターやブログといった「不特定多数が見れるもの」へと参加している人は、必然的に個人情報がある程度、拡散されているものだと考えましょう。
かといって、だからツイッターをやめろなどとは言いません。なぜなら個人情報が拡散されていようと、それに価値がなければ大して問題はないのですから。
あなたがどこに所属していようと、どの道を登下校に使用していようと、あなたが芸能人か何かでもない限り、そして顔写真を掲載していない=顔がわからない以上はなんの問題もありません。
(もっとも、ネット上で性別を示している場合はほんの少しだけご注意ください。男の中には、『近くを歩いている・近くにいる女性』というだけで反応する輩がいるのです)
さて。ようやく元の話に戻ります。
繰り返しますが、あなたがどこに所属していようと、そしてそれが拡散される恐れがあろうと、その情報自身に価値がなければ大して問題はありません。
しかし、最初に話した「犯罪行為が絡む」と話は別です。
人間というのは美しい一方で醜いもので、自分より充実した生活を送っている人を見ると妬ましくなるものです。
あなたにとってごく普通の日常である、友人との飲み会、学校での生活、出来事の呟き……これらのものさえ、枯れた青春を送った人にとっては妬みの対象です。いわゆる「リア充爆発しろ」というアレです。
妬ましく思った後は、その人のあら探しを始めます。
つまり、そういう人たちにとっては、犯罪行為の暴露なんてものは格好の餌。
見つけ次第、ボコボコにするチャンスだ! と群がってきます。
その結果が、炎上騒動です。
この時に恐ろしいのが、ネットの住人たちは短時間でユーザーの個人情報を暴いていくところ。
例えばこの炎上事件。
東京電機大学 理工学部の石川慶和君がツイッターで無免許運転を告白:ハムスター速報
http://hamusoku.com/archives/6524859.html
最初にツイッターで無免許であることを呟いてから、その画像が2chにアップされるまでおそらく12時間。
最初のレスが12月25日の11時30分ですが、その13分後、11時43分にはもう名前と所属、およその住所まで暴かれています(mixiに個人情報を晒していたようです)。
そして、(2chのレスですから完全に信用するのも考え物ですが)12時52分時点では学校へと通報されています。
その間、わずか1時間22分。
もっとも、ツイッターで犯罪行為を暴露する人は、得てしてmixiに個人情報を晒しているという共通点があるため、そっちから足がつく場合が多いようですが。
そうでなくとも、先ほど話に出した「思わぬところで拡散されている個人情報」から暴かれる可能性だってあります。
当の本人は、そんなこと露にも思わず、自分の呟きは身内(フォロワー)にしか見えない、と思って呟いたのでしょうね。
恐ろしいものです。
では、そろそろまとめに入りましょうか。
・ツイッターというものは、予期せぬところで個人情報が流出するようになっている
・ネット上で顔写真を晒すのはとにかくやめておけ
・呟きは身内だけではなく、その気になれば誰だって見ることができる
・世の中には人のあら探しをこぞって行う輩がたくさんいる
こんなところでしょうか。
もっと簡潔にいえば、一番重要なのは2番目。とにかく顔写真を晒すことはやめておきましょう。
ネット上に住所を記してはならない、というのは誰でも知っていることでしょうが、顔写真にまで配慮がいっていない人間はたくさんいます。しかしその結果、あなたがどこの誰なのか、あなたが全く知らない人にまで知られてしまう恐れがあります。
それは同時に、犯罪やトラブルに巻き込まれる確率を上げることとなります。特に女性の方。
なのでまずはそこから。
自分からトラブルに巻き込んでくださいって言って回ることもないでしょう。
あとは、日頃の呟きやネット上に掲載する文章には気を遣うこと。
意識すれば、「もしかしたらこの呟き(文章)は、知られてはならない・知られたくない個人情報を拡散させてしまうかもしれない」と気づくことは不可能ではありません。
完全には不可能でも、心がけるのとそうでないのでは、だいぶ異なります。
ツイッター、ひいてはネット上の文章は、ネットを使う人なら誰でも見られるもの。
それを今一度、考えなおしてみましょう。
文章作成日:2013年4月10日