〜常識のボーダーライン〜

 

※本コラムは旧ブログ時代、2011年10月21日に掲載した記事を大幅に書きなおしたものです。



◆常識は人によって異なる

よく人は常識とか一般論とかを述べますが、じゃあ常識って何だろうと考えた時に、“Aさんの言う常識”は“Aさんにとっての常識”であり“Bさんにとっての常識”とは違うんですよね。認識の違いというものです。
これはいわゆる「価値観の多様化」にも繋がる話でしょう。

私はこの「常識」に基づいて話をすることがたまにありますが、ぶっちゃけそういう会話の仕方はあまり好きではありません。
というのも、自分の考えていることと他人の考えていることって必ずしも正しいとは限らない……というより正しいことの方が稀です。
ですから私の場合、他人の言動を見て「あれ、これはおかしいんじゃないか?」と思った時には、“こうであるべきだ”という言い方ではなく“こうじゃないかなと私は思う”と、少しストッパーを噛ませたような言い方をするようにしています。

この辺り、「否定よりも肯定する方が好き」「批判より好評する方が好き」という考えの素になっているような気もします。
最近はよくブログにてライトノベル・小説の感想で批判することもありますが、これはあくまで“私の考えを述べているだけ”って感じなのでちょっと例外かと。例え私があまり好きではないシリーズだとしても、誰かが「これいいよ〜」と勧めてきたら、どういう部分がいいのか、どこが気に入ったのか、ちゃんと聞くようにしています。

ただし、あくまでお互いの考えは違うのだから何が正しいかなんて断言できないものです。
「精神論において絶対は存在しない」。私の好きな持論です。

◆でも、「人によって異なるから」で済まされないこともある

これは2011年10月21日に掲載されたニュースサイトの記事です。

NEWSポストセブン|人事担当者「6+5×3=33」と答える就活生続出で不安になる

「目立つのが誤字脱字。携帯やパソコンに慣れてしまっているせいか、漢字を書けない
学生が多い。しかも、そうした誤字に気づかずメールを送ってくる。学力に加えて
注意力も足りない」

食品メーカーの人事担当者も呆れを隠さない。
「四則計算もできないのには参りました。6+5×3というような簡単な計算でも、33と書く
学生が多くいて“ウソだろ?”と我が目を疑いました(正解は21)。あまりにも多いから、
自分の方が間違っているのかと不安になったくらいですよ」

(一部抜粋)

最初に見た時に、「6+5×3=33ってどうやったらそうなるんだ?」と悩み、「あぁ、先に6+5をやって3をかければ33ってことね……」と気づくまで2分ほどかかりました。ホント、私には柔軟さが足りないようです。
色々な発想をしてみるのも重要でしょうにね。物を書くには。

それはともかく。
先ほどまで「常識は人によって異なる」「だから一方的な批判は好きになれない(ストッパーを噛ませて発言している)」と述べましたが、さすがにこれには溜息をつかざるを得ません。

気持ちは分かります。私もパソコンで物を書くことが生活の主となってからは、簡単な計算に戸惑うこともありますし、漢字をど忘れすることだってあります。
しかし四則演算を堂々と間違えるって……。就職活動(以下「就活」)する人なら、それくらいわかっておけ、とどうしても思ってしまいます。

よく「社会に出るなら最低限これくらいは〜」という話は就活で出てくる気がしますが、どこら辺がボーダーラインなんでしょうね。
私的にはとりあえず、中卒レベルはぬかりなく把握しておいても損はないと思います。
もっとも、就活時における必要能力は学力よりもコミュニケーション能力で、「知識」よりも「知識を習得できる能力」だと私は思っているので、正直知識を持っていようが否だろうがあまり関係はないでしょうが……。私としては、中卒レベルの計算や漢字の書き読み、英語の翻訳くらいはできて当たり前、って思います。

それにもっと恐ろしいのが、こういった記事を見た学生が、「こんな馬鹿な奴がいるなら、自分は大丈夫だな」と思い、努力を怠ってしまう可能性があることです。
人間というのは弱い生物で、自分より下の存在を見つけてしまうと安心し、今の場所に停滞してしまいます。
そして自分より上の存在と対峙した時、コミュニケーション能力があればいい、他に秀でた場所がある、と言い訳を始めてしまうものです。

自己弁護をするのは個人の勝手ですが、そんな滑稽たる姿を、周囲はどのように見るか。
少しは考えてみるのも良いでしょう。『コミュニケーション能力に優れているなら、それくらい簡単に分かりますよね?』

……勉強しない人のほとんどは、結局、言い訳を重ねているに過ぎないんです。

学生の方々。やっぱりどんな理由があっても、勉強はしておいて損はないと思いますよ。
知識もですが、勉強ができるという能力は将来、必要となる筈です。

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