「少女3人が集まればまずはタックルだ」
――遊園地――
安部菜々「ウサミンタックル!」ドーン 北条加蓮「ぎゅえっ」 男1「!?」男2「!?」 菜々「おおっと加蓮ちゃん大丈夫ですかねーいやーすみませんなんか体を崩しちゃったみたいでほらっ暑いですし医療所に連れてかないと!」 男1「え、いや……」男2「今あんたが……」 高森藍子「お待たせしました、加蓮ちゃん、菜々さ――」 菜々「いきますよ藍子ちゃんほら早く早くっ」ガシッ 藍子「ぇ?」 加蓮「」ズルズル 菜々「では失礼しますね!」 男1「」ポカーン男2「」ポカーン 菜々「ぜー、ぜー、あー、急にダッシュしたからお腹が……お昼ごはん少なくしとけばよかった……」 加蓮「」 藍子「あの、いったい何が……?」 菜々「不届きにも加蓮ちゃんをナンパしていたんですよ今の2人! なのでちょっと手荒な真似を」 加蓮「て、手荒な真似なら男の方にしなさいよ……」ゼェゼェ 藍子「加蓮ちゃん、大丈夫ですか……?」 加蓮「大丈夫に見える……?」 菜々「ごめんなさい加蓮ちゃん。咄嗟のことでナナついパニックにっ」 加蓮「ハァ……。ま、疲れてベンチにぐたっとしてるところにウザかったから、ちょうど良かったよ。ありがと、菜々さん」 菜々「ほっ」 藍子「でもこれじゃ、加蓮ちゃんはもう少し休憩した方が……?」 菜々「メリーゴーランドのような物ならどうですか? ほら、馬車の方なら!」 加蓮「この歳になって乗るものじゃないでしょ……いいから、2人で乗ってきなよ。気を遣われると逆に嫌だよ」 藍子「でも、そうしたらまた同じことになるんじゃ……」 菜々「じゃあ今度は藍子ちゃんが加蓮ちゃんについててください! ナナはその間に……アレに挑戦を……!」 絶叫ジェットコースター < ヤァ 藍子「あ、あれに……!?」 菜々「時にはスリリングなのもね! 藍子ちゃんはああいうの苦手でしょうし、ナナだけで挑戦してきますから!」 藍子「そっ、そんなことないです。これでもパッショングループですから、ジェットコースターなんてへっちゃらですっ」 菜々「え」 加蓮「……無自覚に煽るなんて、さすが菜々さんだね」 菜々「ああいえ藍子ちゃんこれはそういうことではなくて」 藍子「さあ行きましょう菜々さん! 加蓮ちゃん、そこで私たちを見ててくださいねっ」ズルズル 菜々「ちょっとぉ! これじゃ同じことがおきるってさっき藍子ちゃんがああぁすみません加蓮ちゃん行ってきますね!」 加蓮「行ってらっしゃーい」 <ギャアアアア <キャアアアアア 藍子「」チーン 菜々「」チーン 加蓮「はいお疲れー」 加蓮「ん、っと。気分もだいぶ良くなったかな……。……お水でも買ってこようか?」 藍子「お、お気にならさず……」 菜々「ぐ、ぐるぐる回ってる、お腹の中がぐるぐる……」 加蓮「……まぁ、運動がてら行ってくるね」スタスタ 加蓮「ただい――」 菜々「でーすーかーらー! ナナ達は!」 男4「まあまあ」男5「ちょっとくらいよくね?」男6「そうそう、せっかくこんなに可愛いんだからさァ」 藍子「あうぅ……」(菜々の影に隠れる) 加蓮「……」 <えい ボキ <ウワアアアアア 男4「」チーン 菜々「」 加蓮「わー大変だねー熱中症になったんじゃないのーほらほら早く連れていかないとー」 男5「て、テメエ!?」男6「マジふざけんなよ!」 加蓮「ふふん、私相手にやる気? これでも最低限の護身術は、」 菜々「逃げますよ加蓮ちゃん!」ガシ 加蓮「え」 菜々「藍子ちゃんも!」ガシ 藍子「ひゃっ」 男5「……」ポツーン男6「……」ポツーン <テメエマジフザケンナヨオ! 加蓮「……いや、どうせシメるならこういう方が」 菜々「普段から藍子ちゃんが危なっかしいとか言う人のセリフですかねそれ! ホント恐ろしいんですからねああいう人は!」 加蓮「はーい」 藍子「ハァ、ハァ……でも、ありがとうございます、菜々さん。加蓮ちゃんも……私、何もできなくて」 菜々「いえいえ、藍子ちゃんはいいんですよ! ……できれば後で遭遇しないことを願いましょうか」 加蓮「大声で叫べば助けてくれる人もいるって。女の子3人だけなんだし」 藍子「うぅ……」ギュ 加蓮「……恐くなった?」 菜々「加蓮ちゃんが変なことするから」 加蓮「ん、ごめん。次からは藍子がいない時にや――」 菜々「ナナは加蓮ちゃんも心配してるんですけど!」 加蓮「ごめん」 ――観覧車―― 藍子「夕陽が綺麗……。すごく高いところまで行くんですね、この観覧車」 加蓮「だね……」 藍子「写真では、きっと写しきれない景色ですね」 菜々「見るだけで疲れも吹っ飛んじゃいますね! 加蓮ちゃん、藍子ちゃん、今日はありがとうございました!」 加蓮「こっちこそ。久しぶりに思いっきりはしゃげたよ」 藍子「私がもうちょっと頑張れたら、もっとアトラクションで遊べたのに……」 菜々「気にしなくていいんですよ! 藍子ちゃんとは藍子ちゃんとの楽しみ方がありますし!」 加蓮「あんまりハイペースだと、私もついていけないしさ」 藍子「……はいっ」 加蓮「ふふっ。忙しいのも好きだけど、こうして遊びに行くのもいいよね……」 菜々「そうですね。ナナも遊んでばっかりだった学生の頃を――」 加蓮「……今日は面倒だから突っ込まないよ」 菜々「ハッ! うぐぐ、お気遣い感謝……」 藍子「あはっ。でも、私の中では、菜々さんは17歳なんです」 菜々「え?」 加蓮「あー、なんか分かる。2X歳とかはあくまでネタでさ、」 菜々「ネタって言うなー!」 加蓮「ごめんごめん。でもやっぱり、心のどこかでさ、同い年ってイメージあるよね」 藍子「つい、宿題のお話とかしちゃいそうですっ」 菜々「おふたりとも……! ううっ、ナナは、ナナは……!」 加蓮「もう。年を取ったら涙もろくなるの?」 菜々「そんなことありませんよ! ……ナナは、17歳ですからね!」 藍子「はいっ」 加蓮「だね」 菜々「……真面目なこと言うと」 菜々「たまに、ホントに学生だった時に2人に出会っていたら……って思いますけど」 菜々「今日は、今のナナとして2人に出会えてよかったって!」 菜々「いつ出会っても、なんてことないですね! "今の"ナナで出会えてよかったです!」 加蓮「……うん」 藍子「はいっ」 ――観覧車から出て―― 加蓮「もう遅くなっちゃったし、そろそろ帰ろっか」 菜々「藍子ちゃんは加蓮ちゃんの家に泊まるんでしたっけ。ナナも行っていいですか?」 加蓮「どーぞどーぞ。…………ん?」 <ワアアアアアア 藍子「歓声……?」 菜々「何かイベントをやってるみたいですねぇ。パレード?」 加蓮「じゃ、ないみたい……。何か……バンド? そういうことできるんだ」 <では、インディーズバンド「ストロンガー」さんに聞いてみましょう! 加蓮「…………」テクテウ 菜々「…………」テクテク 藍子「あ、あの、おふたりとも……?」 <実は私たち、アイドル目指しててぇ <ま、私たちなら余裕? みたいな? <スカウトお待ちしてまーす的な <オーディションとか出ちゃえば? チョー楽勝だって 加蓮「…………へえ」 菜々「…………ほお」 藍子「あの……も、もしかして、その……」 加蓮「藍子。ごめん、先にPさんに謝っといて」 菜々「アイドルになりたいんですって加蓮ちゃん。これは先輩として教えないといけないですねぇ」 加蓮「だね……ああやって舐め腐ってるの見ると、昔の自分を思い出してムカつくんだ」 菜々「加蓮ちゃんが気に病むことはないですよ――加蓮ちゃんの方がずっとマシだったでしょうから」 加蓮「じゃ」 菜々「ちょっと行きましょうか」 <ゴゴゴゴゴ..... 藍子「も、もうっ! ……あ、もしもしPさんですか!? 加蓮ちゃんと菜々さんがー!」 |
掲載日:2015年8月9日