「何の接点もないところ」





注釈 男性Pは柚担当ではありません(加蓮・藍子・菜々・歌鈴の担当です)。
柚の担当は女性です。

――事務所――
喜多見柚「プロデューサーサン、今日はすっごく忙しそう!」
男性P(以下「P」)「ああ、柚ちゃん」
柚「柚でいーよ!」
P「また歌鈴がLIVEをやりたいって言ったから、会場の確保とスケジュールの確認をな」
柚「へーっ」
P「歌鈴はじっくり練習するタイプだから、長めにとっておかないと。それと菜々の写真集の件がまだ片付いてなくてな」
柚「菜々サンすごいよねっ。アタシの友達も噂してた♪」
P「柚ちゃんの友達にまでか……顧客層をちょっと見直す必要があるかな」
柚「最近さ、みんな菜々サンの話ばっかりするんだ。柚だって水着グラビアしたのにーっ!」
P「はは……。次回作はまだかとかこういう水着を着せろとか、もう反応が凄くて凄くて」
柚「こっちでもすごい話題なんだね! あれっ、そういうのってぜんぶ返事してたら時間かからない?」
P「せっかくもらったファンの声だ、俺は大切にできる限りはしていきたいな」
柚「おー、真面目サンだ!」
P「アイツ――柚ちゃんのプロデューサーは違うのか?」
柚「うんっ。アタシのPさんは、こう、どーん! ばーん! ってやっちゃうタイプっ」
P「ああ、そういや事務仕事とかけっこう雑なんだよな……。入社したばかりの頃は何度手伝わされたか」
柚「アタシのPサンとプロデューサーサンって、幼なじみ?」
P「違う違う、入社以来の仲だよ。アイツは昔から大胆というか、突っ走るタイプというか」
柚「アタシに仕事を持ってくる時もすぐに決めちゃうんだ」
P「へー」
柚「あとでリストを見せてもらってびっくりしたよ! たくさんお仕事の候補があったのに、Pサンすぐに決めちゃったからっ」
P「なるほど」
柚「それってアタシが人気ってことだよね! 人気アイドル……へへっ♪」
P「アイツからもよく話は聞くよ。自慢のアイドルだって」
柚「自慢のアイドル! うへへ、へへっ……あっ! だ、だめっ」バッ
柚「今アタシのこと見ないで! たぶん顔真っ赤だから!」
P「……みたいだな」
柚「きゃー! 恥ずかしい! きゃー!」
P「じゃあ、俺はちょっと電話をかけるから、終わるまでに落ち着いてくれ」
柚「了解しましたっ♪」

P「はい、ではそれで。失礼します。…………ふー」
柚「おおっ、プロデューサーサンはお疲れですカナ?」
P「偉い人と話す時には、いつでも緊張するよ……。柚ちゃんはそんなことは」
柚「ないっ」
P「だよな」
柚「それより仲良くなっちゃいたいって! Pサンもそれでいいって言ってるもん♪」
P「仲良く」
柚「ふれんどりーふれんどりー。LIVEの時も、ファンの皆と友達になりたいなって」
柚「女の子のファン、もっと増えるといいなっ」
P「ファンはみんな友達、か」
柚「友達!」ヘヘッ
P「菜々はともかく、加蓮や歌鈴のプロデュースをやってるとたまに忘れそうになるな」
柚「そなの?」
P「柚ちゃんは知ってると思うけど、加蓮はいかにもアイドルらしいアイドルだろ?」
柚「うんっ。カッコイイよね、加蓮サン!」
P「ファン、特に同年代からカッコイイとか憧れるとかよく言われるけど、そうするとファンとの距離が遠いような気がしてな」
柚「それじゃ寂しいよ! 加蓮サンもPサンも!」
P「……っ、くくっ、はははっ」
柚「?」
P「い、いや。寂しいって発想はなかったというか……ははっ、さすが柚ちゃんだ」
柚「え、えと、よく分かんないけどアタシ褒められた? きゃー! Pサンに自慢しよっと♪」
P「ま、加蓮はちょっとアイドルすぎるし、歌鈴は自己評価が低すぎるから低姿勢になりすぎるし」
P「柚ちゃんを見習って、来てくれる人をみんな友達にするって思ったら、また違う風に見えるのかもな」
柚「うーん、でも友達がいっぱいいてにこにこーってしてる加蓮サンは、ちょっと想像できないかもっ」
柚「……あ! これ加蓮サンには内緒にしてて! またイジワルされちゃうっ」
P「まーたあいつはちょっかいばっかり……了解了解っと」
P「よし、とりあえず片付けないといけない書類はこれで全部か」
柚「お疲れ様! アタシのPさんより真面目サンって感じがする!」
P「そりゃアイツと比べたら誰だってそうなるだろ……」
柚「だねっ」
P「ん〜〜〜……っと。ああ、痛ぇ、体が凝りまくってるぞ……」
柚「今、ベキベキって音がしたっ」
P「たまには体もほぐさないとな……」
柚「アタシのPさん、たまにジムに通ってるって。あと、アタシ達のレッスンにちょっとだけ参加したりしてるよっ」
P「……前に加蓮と藍子と菜々のレッスンに混ぜてもらってな」
柚「うんうん」
P「死んだ」
柚「あちゃー」
P「まあ、ジムなら……たまにはアイツに付き合ってみるかな」
柚「Pサンに言っとく? 予定、合わせちゃう?」
P「いいよ。アイツも忙しいだろうし、俺もちょっと手を離せないし」
柚「アタシのPサンはちゃんとお休み取ってるよ? 忍チャンからたまにはゆっくりしろって呆れられてるけど」
柚「プロデューサーサンは柚が来た時もいつもいるよねっ。お休みしてる?」
P「仕事が恋人」
柚「藍子サンが心配しちゃうよ!」
P「……あと、加蓮から嫌味も言われるな。自分にはいつも言うのに、とか」
柚「プロデューサーサンが倒れちゃったら、みんな大変だよっ」
P「加蓮にトドメを刺されかねない……よし、たまには休むか」
柚「うんうんっ。ゆるーくやっていこっ、ゆるーく」
P「次の休日……あれは歌鈴のアニメ収録についていく日か。次の日……はLIVEの打ち合わせにレッスンスケジュールの打ち合わせがあるし」
P「確か藍子が日程を空けてくれって言ってたな。その次の日は――」
柚「プロデューサーサン仕事魔人だ!」
P「仕事が恋人」
柚「そのままずっと独りぼっちなんだっ。……あ、でもそうなったら菜々サン達と結婚したりするのかな?」
柚「けっこん!? きゃー! プロデューサーサンのえっち!」
P「なんでだ。それとあいつらは担当アイドルだ、そういうんじゃない」
柚「ほんとに?」
P「……ホントに」
柚「アタシのPサン言ってたよ。あいつはいつ暴走するか分からないからな」フッ
柚「って!」
P「そういうキャラじゃねえだろ……。柚ちゃんのプロデューサーは、ほら、女性だからさ、距離が近いのかもしれないけど」
P「俺は男だから、そういう訳にはいかないんだ」
柚「ふーん。加蓮サンも大変だねっ」
P「なんでそこで加蓮の名前――いやいい、言うな」
柚「はーい」
P「柚ちゃんはいつも元気だな。見てて癒されるよ」
柚「きゃっ、き、急に何? そんなこと言われたら照れちゃうっ」
P「はは」
柚「それに、癒やし担当はアタシじゃないよー! アタシは賑やかせ担当! みんなで楽しくやるんだっ」
P「へぇ。じゃあ、癒やし担当は誰なんだ?」
柚「え? それは…………誰だろ?」
柚「あずきチャン? 穂乃香チャン? ……忍チャンだけはないカナ」
P「そういえば、よく加蓮がレッスンを見てるって言ってたな……」
柚「アタシも見てもらってるよ! 加蓮サン、厳しいけど先生って感じ!」
P「あー……それ、あんまり言ってやらないでくれ」
柚「へ?」
P「アイツ、先生って物にあんまりいい思い出がないから」
柚「そっかー。じゃあ師匠って呼ぶ!」
P「たぶん、プロデューサーって呼ばれたいと思っているかな」
柚「加蓮プロデューサー!」
P「ああ、またそう呼んでやってくれ」
柚「了解しましたっ!」ビシッ


掲載日:2015年8月4日

 

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