「水着ブームの事務所?」





――事務所の談話室――
喜多見柚「菜々サンが水着を着たと聞いて!」
高森藍子「わっ」
柚「柚もまた水着が着たいな!」
藍子「菜々さんが水着のお仕事を受けたこと、そんなに有名になっていたんですね……」
柚「だってあの菜々サンがだよ! 水着どころか半袖もレアい菜々サンだよ! なんでかは知らないけど!」
藍子「……それは…………」アハハ
柚「だから柚もまた水着が着たいって思ったんだ。そしたら菜々サンと一緒にプールもいけるカナ?」
藍子「誘ってみたらいいですよ。きっと菜々さんも、喜びます」
藍子「……あれ? でも柚ちゃん、前に水着のお仕事をやっていませんでした?」
柚「やったよっ。うふふ、柚のオトナっぽいグラビアをご覧〜あれ〜♪」
藍子「写真集、買いましたよ。部屋に大切に置いています」
柚「わー藍子サンありがと! でも柚、もっと別の水着も着たいんだよねっ」
藍子「別の水着、ですか……? それなら、確かカタログがあったような」
柚「藍子サンのオススメ!」
藍子「……へ? 私の?」
柚「なんかない? その、これが柚に似合いそうだーって思うようなの! 柚がもっと可愛くなれるようなのっ」
藍子「うーん、何かいいのあったかなぁ……」
柚「藍子サンのお手並み拝見だっ」
藍子「あははっ、そんなこと言われたらプレッシャーになっちゃいますよっ」
柚「だって藍子サン、いっつもおしゃれな加蓮サンとか美嘉サンとか一緒にいるから、きっと藍子サンもおしゃれかなって思うんだ」
藍子「そんなことないですよ。私はいつも、皆さんについていくのがせいいっぱいで」
藍子「それに柚ちゃんだって。私は柚ちゃんの楽しさ、いつも見習わせてもらってますっ」
柚「や、やだな〜、照れちゃうな〜。てへてへ」
藍子「それで、水着……ですよね? あっ、そういえば前にPさんが言ってたような……」
藍子「確か、事務所で水着になって――」
柚「わーっ! わーっ! そ、それはそのっ、加蓮サンが悪いんだよ!」
藍子「加蓮ちゃんからも聞きましたけど、巻き込まれたって言っていましたよ?」
柚「ぐ、ぐぬぬ、なら忍チャンが!」
藍子「さすがに忍ちゃんからは聞いてないです……あの、その時の水着は?」
柚「飽きた!」
藍子「そ、そうですか」
柚「買いに行く時間があるといいんだけどナー。Pサンがアタシにいっぱい仕事を入れちゃって。柚ってば人気者っ♪」
藍子「よくテレビでも見ますね、柚ちゃんも、フリルドスクエアも」
柚「この前はあずきちゃんがセクシーな水着になってたんだっ」
藍子「見ました見ました。……あ、あれはすごかったですね」
柚「すごいよねー。アタシと同い年とは思えないなっ」
柚「……ホントに」
藍子「……?」
柚「だから柚は可愛い系を目指してみることにした!」
藍子「あはっ……でも、買いに行く時間は、難しいんですよね?」
柚「うんうん。だから藍子サンが何かオススメを教えてくれるといいんだけどな〜、ちらっちらっ」
藍子「分かりました。今度、探しておきます」
柚「ああっ! でもそれだと藍子サンも忙しいから邪魔しちゃう! えっと、ゴメンネ?」
藍子「いいですよ。それにPさんが気を遣ってくれて、私がゆっくりできる時間も作ってくれていますから」
柚「あ、そっか! だからよく加蓮サンとか菜々サンと一緒にいるんだっ」
柚「いいなーいいなー。アタシももっとみんなと遊びたいーっ!」
藍子「ふふっ」
柚「……そういえば今日は藍子サン、加蓮サンと一緒じゃないんだねっ」
藍子「今日は、加蓮ちゃんが午前のお仕事で、私が夕方のお仕事ですから」
柚「じゃあ加蓮サンが戻ってくるの待ってるんだ!」
藍子「はいっ。きっとまたお疲れになっているから、お仕事の時間まで、膝枕でもしてあげよっかなって」
柚「ひざまくら! 柚……は、いいや」
藍子「うう、思い出したら顎が痛くなってきちゃった……」スリスリ
柚「アタシはそれよりぐるぐる回ってる方がいいんだっ。ぐるぐる〜、ぐるぐる〜」
藍子「もう、目を回しちゃいますよ」
柚「しゅたっ! へへっ、もう慣れた♪」
柚「LIVEしてる時も、こう、ぐるぐるー、ぐるぐるー、ってやってるから、なんだったっけ、さんはんきかん? が鍛えられたカモってPサン言ってた!」
藍子「すごいですね、柚ちゃん」
柚「そんなことないってばー」
柚「あ、そうだ! 水着も着たいけど浴衣も着たい!」
藍子「浴衣、ですか?」
柚「うん! 柚、浴衣って着たことなくて! ちょっぴりしっとりオトナ系でっ」
藍子「うーん……柚ちゃんはやっぱり、可愛い浴衣の方が似合っていると思いますっ」
柚「ホントホント!? 柚、可愛い!?」
藍子「とっても♪」
柚「やたっ、藍子サンに褒められたっ♪ ……わ、わわっ、ダメだよ藍子サンっ、いくら柚が可愛いっていってもじーって見ちゃだめ! だめ!」
藍子「ふふっ、ごめんなさいっ」
柚「藍子サンが言うなら可愛い柚にしよっと。やっぱり柚子の浴衣が似合っちゃうカナ?」
藍子「……? 柚ちゃんの浴衣?」
柚「あれ?」
藍子「え?」
柚「あ、エート、アタシの浴衣ってことじゃなくて、柚子の浴衣ってことっ」
藍子「ええと……えっと…………あっ、果物の柚子の柄ってことですねっ」
柚「そうそう! でもPサンに、それじゃそのままだって笑われそうっ」
藍子「くすっ、そうかもっ」
柚「やっぱり柚はいろいろ着てみたいな! 赤色でパッションぽくでしょー、青色でクールっぽくでしょー、桃色でキュートっぽくでしょー、あと紫でオトナっぽく! 黒とかどうカナ! あだるてぃーな柚を見せちゃうっ」
藍子「あはっ、そんなこと言われたら、柚ちゃんの浴衣を見たくなっちゃいましたっ」
柚「ホントホント!? やったー! Pサンに話してみるっ。浴衣の柚のLIVE、楽しみにしててねっ」
藍子「はいっ♪」
柚「……あ、でも、あんまりじいって見たらだめだよ? 柚照れちゃってトチっちゃうから」
藍子「そうなんですか? じゃあ……気づかれないようにじっくり見ちゃいますね」
柚「だめーっ! それもだめーっ!」
藍子「あはは……」

柚「じゃあね藍子サン!」バタン
藍子「はいっ」
藍子「…………」ジー
藍子「…………」オチャヲススル
藍子「ん〜〜〜」ノビ
藍子「帰ってくるまでは、まだ結構あるかな……?」チラ
工藤忍「おはようございますっ♪ あれ、藍子ちゃん」
藍子「おはようございます、忍ちゃん」
忍「さっきそこをすごいテンションの柚ちゃんが通っていったけど、何か知ってる?」
藍子「知っていると言えば知っているような……柚ちゃん、水着や浴衣が着たいんだって、柚ちゃんのプロデューサーさんにお話してくるそうですよ」
忍「またいきなりだなー。水着ならもう着たのに」
藍子「新しい水着が着たいんだー! って」
忍「そっか」
藍子「ほら、菜々さんが水着を着ていたから、それにつられたみたいです」
忍「それでか柚ちゃん……」
藍子「忍ちゃんは、水着のお仕事、やらないんですか?」
忍「…………前にここで馬鹿騒ぎしてたらPさんに仕事を入れられた」
藍子「ああ、加蓮ちゃんが言ってた……」
忍「もう……。菜々さんの後でって余計にプレッシャーだよ。どれだけ気合を入れたらいいのかな……」
藍子「が、頑張ってくださいね……?」
忍「今日は加蓮は?」
藍子「まだお仕事みたいです。加蓮ちゃんにご用ですか?」
忍「ううんっ。藍子ちゃんっていっつも加蓮と一緒にいるイメージがあるから」
藍子「そ、そうでしょうか……?」
忍「じゃ、アタシはレッスン行ってくるね!」
藍子「はいっ。頑張ってきてください」

<バタン

藍子「…………そんなに私、加蓮ちゃんといっつも一緒にいるかなぁ……?」ズズ


掲載日:2015年8月2日

 

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