「フラワーガールの宣戦布告」





――事務所――
相葉夕美「おはようございまーすっ!」
高森藍子「あ、夕美さん! おはようございますっ」
北条加蓮「……ん?」ザッシカラメヲアゲ
夕美「藍子ちゃん! なんだか久しぶりだねっ。最近すっごく暑いけど元気にしてた?」
藍子「はいっ。そういう夕美さんは――」
夕美「私はいつでも元気だよっ」
藍子「でも今日の夕美さんは、特に元気そう……」
夕美「分かる? 実は今朝、育ててたひまわりがぜんぶ綺麗に咲いたんだ! つい写真を撮って来ちゃった♪」
藍子「写真ですか?」
夕美「うん、これこれっ。どう? 丹念に育てたんだ。元気に咲いてくれて嬉しかったなぁ……♪」
藍子「本当。すっごく綺麗ですっ」
夕美「えへへっ。……あれ?」チラッ
加蓮「……ん」チラッ
藍子「あ、そういえば、加蓮ちゃんは夕美さんと会うのが初めてでしたっけ」
加蓮「見たことくらいはあるけどね……えっと、なんだっけ……」
夕美「はじめましてっ。あなたが加蓮ちゃんだね? 相葉夕美ですっ」
加蓮「んーっと……」
藍子「加蓮ちゃん?」
加蓮「えーっと……あ、思い出した! ウサミンの免許証を見た人!」
藍子「ぶっ」
夕美「へっ? ……あ、あはは、そういえばそんなこともあったね……」

<へくちっ! 誰ですか菜々の噂をしているのは!

加蓮「北条加蓮。あなたがってことは、私のこと知ってるの?」
夕美「もちろんだよっ。私、ついこの間にCDデビューすることになったんだ。だからよろしくお願いしますっ、加蓮先輩♪」
加蓮「あ、あはは……えっと、何歳だっけ」
夕美「私? 18だよっ」
加蓮「私さ、16歳なんだけど」
藍子「でも、加蓮ちゃんのことを先輩って言いたくなる夕美さんの気持ち、私、分かっちゃいます」
加蓮「アンタに至ってはデビュー歴すら私より前でしょうが……」ジロッ
藍子「ま、まだそれ気にしてたんですか?」
加蓮「うん。今後一生ずっと言い続けるつもり」
藍子「ええっ!?」
夕美「あははっ、藍子ちゃんが言う通りの人なんだね」
加蓮「やな性格してるでしょ?」
藍子「もう、加蓮ちゃん。自分でそういうこと言っちゃ駄目ですよ」
加蓮「はーい。ま、私は雑誌に集中してるから、他の写真も見せてもらってればいいよ藍子。まだ仕事まで時間もあるし」
藍子「えー。加蓮ちゃんも一緒に見ましょうよ。夕美さんは、たくさんお花を育てているんです」
夕美「事務所にもいくつか持ってきてるんだ。加蓮ちゃんは、お花に興味はある?」
加蓮「……"薄荷"」
夕美「花言葉は『貞淑』とか『迷いから晴れる』だったかな?」
藍子「加蓮ちゃんにピッタリですねっ」
夕美「うんうんっ、綺麗な加蓮ちゃんに似合ってると思うなっ」
加蓮「ステレオで褒めても何も出てこないよ。花は……興味、ちょっとだけ。なんか花を愛でるって大人っぽい感じがしない?」
夕美「そうかなー。私、まだまだ子供だよ。Pさんからもよくからかわれるし」
加蓮「まあ確かに、18歳って感じはしないけど……むしろ」チラッ
夕美「あ、分かる分かる!」チラッ
藍子「……??」
加蓮「花って言えばもう1つあった。"芙蓉"」
夕美「フヨウは確か……えっと、『美人』とか、『おしとやか』って意味だったかなっ」
藍子「わああ……!」
加蓮「ごめん、今のは分かってて言った」
藍子「加蓮ちゃん、前に芙蓉の花を衣装に使ったって」
加蓮「その時にね。ちょっと調べて。花言葉っていっぱいあるんだね。よく覚えられるね」
夕美「お花が好きなんだっ。好きなことだったら、いっぱい覚えられない?」
加蓮「まあね」
夕美「加蓮ちゃんは何が好きなのかなっ?」
加蓮「私はー……なんだっけ、藍子」
藍子「私に聞かれても……」アハハ
加蓮「好きって言ったら……ヘアアレンジとファッション、あとポテトくらい」
夕美「ぽてと?」
加蓮「ジャンクフード」
藍子「加蓮ちゃん、たまに私達のPさんに連れていってもらっているみたいです」
夕美「へぇー。なんだかイメージと違うな。あ、じゃあ、店長さんとかやったことあるのっ?」
加蓮「あったっけ?」
藍子「いや、だから私に聞かれても……」
夕美「加蓮ちゃんと藍子ちゃんって本当に仲良しなんだね!」
加蓮「それは藍子から聞いてないんだ」
夕美「聞いてたけど、見てみるのとは違うよっ。私とも仲良くしてくれると嬉しいな?」
藍子「加蓮ちゃん、ひねくれちゃってる子ですけど、お願いしますっ」フカブカ
加蓮「アンタは私のお母さんかっ」
藍子「だってさっきから自分のことを私に聞くから、こうしてほしいのかなって……」
夕美「ふふっ」
加蓮「夕美……夕美でいいや。夕美は? 花の仕事とかやったことあるの?」
夕美「おかげさまでっ。テレビで解説するのももう慣れちゃった。お花が好きになる人が、1人でも増えるといいな」
藍子「きっとたくさん増えてますっ。夕美さんの説明、本当に分かりやすいんですよ」
加蓮「そっか。じゃ、今度テレビで見てみよっかな」
夕美「育てたくなったら言ってね。アドバイスするよ!」
加蓮「この事務所っていろんなプロがいるよね。新しいこと、いっぱいできそう」
藍子「そうですね。私も、夕美さんから習ってみよっかな……♪」
夕美「あ、そうだ、加蓮ちゃん! ちょうど加蓮ちゃんに伝えておきたいことがあったんだっ」
加蓮「ん? 何、改まって」
夕美「えっと、まだオフレコなんだけど……ごほんっ」

夕美「私、相葉夕美は、北条加蓮さんに宣戦布告します!」

加蓮「……は?」
藍子「……え?」
夕美「今度CDデビューできることになったから、先にデビューした子とLIVEバトルすることになったって……聞いてない?」
加蓮「ぜんぜん。そっか、総選挙上位組だったよね……で、私? え、なんで私」
夕美「それでねっ。LIVEバトルに、藍子ちゃんも協力してほしいんだ」
藍子「え、私もですか!?」
夕美「うんっ。楽しいLIVEにできたらいいな♪」
加蓮「……ちょっと……いくら乗りに乗ってるって言っても、CDデビュー組2人に宣戦布告って、さすがに無茶なんじゃ――」
夕美「あ、違う違うっ。えっとね、実は、藍子ちゃんには私側に来てほしいんだ!」
藍子「……え……?」
加蓮「ってことは、夕美と藍子の2人相手に私が1人?」
夕美「ううんっ。歌鈴ちゃんと」
加蓮「歌鈴? なんでここであのドジ巫女の名前――っ! 待って、それってもしかして!」
夕美「うん。やっぱり加蓮ちゃん、聞いてるよねっ。今度、加蓮ちゃんと歌鈴ちゃんがLIVEやるって聞いたから、そこに乱入させてもらうことにしましたっ♪」
加蓮「な――!」
夕美「それで、2対2って感じで藍子ちゃんにはこっちに来てほしいなって。どうかなっ。そうしたら、すっごく楽しいLIVEができると思うんだ♪」
加蓮「…………」
藍子「……私が、加蓮ちゃんや歌鈴ちゃんとLIVEバトルを……?」
夕美「できたらでいいよ。でも、藍子ちゃんとはちょっと前にユニットを組んだばっかりだし、私のPさんも是非って言うから。考えておいてくれる?」
加蓮「……返答はいつまで?」
夕美「明後日くらいかな……ううん、できたら明日。また別の人も探さないといけないもんね。でも、」
夕美「私と藍子ちゃん、対、加蓮ちゃんと歌鈴ちゃん。条件は完全に対等だよねっ?」
加蓮「っ……」
夕美「加蓮ちゃんには是非受けてほしいんだけどな……あっ、ごめんね! 私、次のミーティングがあるから! 加蓮ちゃんも藍子ちゃんも、考えておいてねっ♪」

(バタン)



掲載日:2015年7月21日

 

第66話「「私を手伝ってください」」へ 第68話「いたずらで噛み付いた子のブラがズレた」へ

二次創作ページトップへ戻る

サイトトップに戻る

inserted by FC2 system