「またぁーっ!」





――事務所――
北条加蓮「……すー」zzz
高森藍子「くふぁ……(読書中)」
藍子「……」パラパラ
藍子「……」チラッ
藍子「……」ツンッ

道明寺歌鈴「おはようございま――あーっ! またぁーっ!」

藍子「わっ」ホンヲオトス
歌鈴「またですか加蓮ちゃん! いっつもいっつも加蓮ちゃんばっかり藍子ちゃんに! ズルです!」
藍子「あの、歌鈴ちゃん?」
歌鈴「あっ、藍子ちゃんおはようっ! ですっ!」
藍子「う、うん、おはよう」
歌鈴「起きなさい加蓮ちゃんーっ!」
藍子「ほら、加蓮ちゃん、今は寝てるから……ね?」
歌鈴「いいんですっ、今日こそ言うんですからぁ!」ユッサユッサ
藍子「うぅ、そんなにしちゃ加蓮ちゃんが起きちゃ――」
加蓮「んぅ……? うっさい……」ペタッ
藍子「え?」ペタン
歌鈴「」
加蓮「んん゛ぅ……んー」ホッペタ
藍子「ひゃっ」
歌鈴「」
加蓮「あ……こっちの方がやわらか……♪ ……zzz」
藍子「」ブチッ

<ごんっ!

加蓮「〜〜〜〜〜!!??」
藍子「はい、おはようございます、歌鈴ちゃんっ♪」サスサス
歌鈴「お、おはようございます! 藍子ちゃん、いえ藍子さん!」
藍子「?」
加蓮「〜〜〜ったあ! おもいっきり殴ることないでしょ、おもいっきり!」
藍子「ごめんなさい加蓮ちゃん、つい」
加蓮「ついって!」
歌鈴「あ、加蓮ちゃんっ! 歌鈴、見ましたよ! また藍子ちゃんの膝の上で!」
加蓮「ん? あ、いたんだ、ドジ巫女」
歌鈴「私はドジじゃないです、もう卒業じっ!」
加蓮「……」
藍子「……」
歌鈴「噛んだ……ごほんっ! もうドジは卒業したんですっ!」
藍子「あの、歌鈴ちゃん、大丈夫ですか?」
歌鈴「は、はい……」
加蓮「なんだっけ。膝の上? まあ、あそこは私の特等席だからねー。膝枕をしてもらったのも1度や2度じゃないし、そうだねー、もう100回くらいはしてもらったかな」
歌鈴「ひゃ、ひゃく!? ずるいですー!」
加蓮「普段がんばってることへの報酬だね」
歌鈴「私だって頑張ってますー! 誰かさんみたいにへばってなんてないですー!」
加蓮「ほ、ほぉう? 今なんて言った? ん?」
藍子「あわわ……」
歌鈴「加蓮ちゃんの体力なしー! よぼよぼー!」
加蓮「ほ、ほっほーう……3歩進んだら転ぶドジがなんて?」
歌鈴「3歩歩いても転ばなければいいんですね! いーですよ、やってみせますから! いち、に……きゃあっ!」
藍子「わわ、大丈夫ですか歌鈴ちゃん!?」
歌鈴「あいたた……」
加蓮「ほー。確かに体力はないけど限界を超えて頑張ってる私とー? ちょっと歩くだけで転ぶアンタとー? どっちがエライのかな? ん?」
藍子「ちょ、ちょっと加蓮ちゃん……!」
歌鈴「むむむ……私は確かにドジですけど、転んだからってステージ降りたりしません! どこかの誰かさんと違って!」
加蓮「ぐさっ」
歌鈴「え? なんでしたっけ? 加蓮ちゃんだから仕方がない? 私はドジでもやりきって『よくやった!』って言われちゃいますからねぇ?」
加蓮「ぐさっぐさっ……ふー。いや、いやいや、昔の話を蒸し返すなんて女々しいだけだと思うけど?」
歌鈴「ぐぬぬ……」
加蓮「ぐぎぎ……」
藍子「も、もう、2人とも少し落ち着いてくださいっ……」

P「おっす。おお、もう揃ってるか」

加蓮「あ、Pさん!」
歌鈴「あ、Pさん!」
加蓮「ちょっと聞いてよ、歌鈴が」
歌鈴「聞いてくださいよ、加蓮ちゃんが」
加蓮「ひどいんだよ!」
歌鈴「ひどいんでふっ!」
P「……えっと、今日も仲が良さそうでよろしい」ハハハ
加蓮「どこをどう見たらそうなるかな!?」
歌鈴「私と加蓮ちゃんなんてぜんぜん仲良しじゃありません!」
加蓮「転んでばっかのドジ巫女なんて願い下げなんだけど?」
歌鈴「転ばなくったって、性悪な人にはなりたくないです!」
加蓮「ぐぬぬ……」
歌鈴「ぐぎぎ……」
P「……えーっと……藍子?」
藍子「いつものケンカです……もう。加蓮ちゃんも歌鈴ちゃんももっと落ち着けばいいのに……Pさんも手伝ってくださいっ」
P「お、おう。あー、ゴホン。とりあえず落ち着いて仕事の話をだな。ほら、今度のLIVEの話だぞー?」
加蓮「……」ピタリ
歌鈴「……」ピクリ
P「うん、お前ら実は仲良しだろ。とりあえず次のLIVEが5日後に決まっ――」
加蓮「ちょっと待ってPさん。私のライブの話ならPさんと2人でいいよね? ほら、会議室に行ってゆっくり話しあおうよ。1時間でも2時間でも……ね?」
歌鈴「待ってください! Pさんは私のライブの話をしてるんですよね!? 歌鈴、Pさんの為に、今日こそドジを無くしますからっ!」
加蓮「いやいや、私のライブのことなんだから歌鈴は関係ないでしょ?」
歌鈴「加蓮ちゃんこそ、会議室にそんなに長くいて何するつもりですか?」
加蓮「お? 客席にすってんころりんするアイドルが何だって?」
歌鈴「は? 私はそれでも這い上りますから。誰かさんみたいに諦めたりしませんから」
加蓮「ぐぬぬ……」
歌鈴「ぐぎぎ……」
藍子「もうっ、なんですぐにそうなるんですか!」
P「あー、なんかすっげえ申し訳ないんだけどな。次のLIVEはお前ら2人でなんだ」
加蓮「……え?」
歌鈴「……へ?」
P「お前ら2人で。加蓮と歌鈴で」
加蓮「……」ミアワセ
歌鈴「……」ミアワセ
P「いやあ、そろそろこの組み合わせはお披露目しようって思ってたんだが、なんだかんだスケジュールが詰まっててな。でも今度、ようやくユニットとして披露できるようになった。まだ仮だがユニット名は――」
加蓮「いや、いやいや、ちょっと待ってPさん。歌鈴が相手? 冗談でしょ? ステージが成立しなくなるよ」
歌鈴「なっ! それはこっちのセリフです! 転んでも私は立ぢっ……立ち上がります! あとドジは今度こそ卒業します!」
加蓮「するするって言ってしない奴がいちばん面倒なんだよね」
歌鈴「面倒だって言ってやる前から何もしないよりマシじゃないですか!」
加蓮「はあ? 私はこれでもランニングとかやってるんだけど。すっごい不本意だけどね」
歌鈴「トレーナーさんが言ってました、加蓮ちゃんの態度はよくないって。私はドジだけど真面目にやってますぅ!」
加蓮「ぐぬぬ……」
歌鈴「ぐぎぎ……」
P「……とりあえず伝えたからな? 30分後に会議室でミーティングだからちゃんと来いよー?」バタン
藍子「ああっ、Pさん、この状況で出て行かないでくださいっ! ……も、もう、2人も、めーっ!」

……。

…………。

加蓮「はぁ……しょうがない、行くかぁ……」
歌鈴「ぜーっ、ぜーっ、こうなったらステージで勝負でふっ! ……勝負です! 藍子ちゃんとPさんを賭けて!」
藍子「えっ」
加蓮「ほぉー。勝てない勝負に挑んで何が面白いの? でもいいよ、今日こそはっきりさせておかないとって思ってたんだよね」
歌鈴「負けませんからねっ!」
加蓮「ふふっ、何度でもかかってきなさいよ。何度でも勝ってあげるから」
藍子「えっ、あの、ちょっと、私を賭けるって――」
<ヤイノヤイノ...
藍子「行っちゃった……」
安部菜々「あの2人、今日もケンカですか」
藍子「そうなんですよ……って菜々さん?」
菜々「うっさみーん。たまたま給湯室にいたんですが、言い争っているから何事かと見ていたら」
藍子「うっさみーん。あの2人、いっつもああなんです。どうしてなんでしょう……2人とも、すごくいい子なのに」
菜々「まぁ加蓮ちゃんはどう見てもわざとやってますよね、あれ」
藍子「え?」
菜々「あれ、藍子ちゃんなら気付いているとてっきり」
藍子「ああいえ……歌鈴ちゃんの方は半分くらい……でも加蓮ちゃんも?」
菜々「なんだかんだ仲良しなんでしょうかねえ。ナナにはサッパリ」
藍子「ううん……で、でもっ、喧嘩ばっかりっていうのはやっぱりよくないです!」
菜々「そうですねえ。ブレーキは藍子ちゃんに任せちゃいましょう! 加蓮ちゃんも歌鈴ちゃんも、きっとその方がいいですよ!」
藍子「うぅ、なんだかプレッシャーですっ」


掲載日:2015年7月16日

 

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