「ニ◯リに出没したウサミン星人」





北条加蓮「なかなか思うのも見つからないなー……おや、あれは」
安部菜々「〜♪」
加蓮「菜々さん?」
菜々「え……げえっ!? 加蓮ちゃん!?」
加蓮「げえって。何も18歳未満お断りな雑誌の前にいたとかじゃないんだから」
菜々「咄嗟にその例えが出てくる加蓮ちゃんにナナ驚きを禁じえませんよ?」
加蓮「で、ここで何やってんの? ウサミン星人代表の安部菜々さん」
菜々「うぐ」
加蓮「ねー? 何してんのー? 銀河の遥か彼方にお住まいの菜々さんには、地球のニ◯リなんて用はないと思うんだけどなー?」

――某ニ◯リ――
菜々「そそそれは、ほら、ウサミンはウサミンですからね! 地球の文明を的な、ほら、ね?」
加蓮「ぼろっぼろだよ菜々さん」
菜々「これでも変装してるんですからいいじゃないですかぁ!」
加蓮「うん、でも口ずさんでるのがメルヘンデビューって時点でバレバレなんだけど」
菜々「……ふ、ファンの方だって、そうするかもしれませんし」
加蓮「あれ鼻歌で歌う? もし見つけたら片っ端から私の歌に変えろって脅迫してやろ」
菜々「なんということを! 加蓮ちゃんの歌だってちょっと口ずさむのとは違いますよね!」
加蓮「じゃあ藍子の歌でいいや。で、ここで何してんの菜々さん?」
菜々「近くを通った時にちょっと鍋敷きとまな板がボロくなりだしたことを思い出しまして……ほ、ほらウサミン星のお店は今日ちょっと定休日なんですよ!」
加蓮「一斉にお店が休むのか……ん? 鍋敷きにまな板って……菜々さん、料理できるの?」
菜々「もちろんですよ! 1人暮らしの時は少ないお金で頑張ってやりくりしたものです、苦労の日々が懐かし――」
加蓮「1人暮らし?」
菜々「……な、ナナ、ウサミン星から来てますけど地球に住んでいたこともありますし」
加蓮「うまいこと誤魔化すなぁ」
菜々「そういう加蓮ちゃんこそ、ここで何を?」
加蓮「部屋のカーテンがボロくなったし、せっかく夏だから薄いのに買い換えようと思って。お母さんに頼んだら自分で選んできなさいって」
菜々「ほうほう。センスが問われますね!」
加蓮「選ぶの大変だからってさ。そんなに文句なんて言わないのに」
菜々「じゃあせっかくですから、一緒に探しましょうか!」
加蓮「ありがと。でも私は鍋敷きとかまな板とか見ても分からないよ?」
菜々「いえいえ、ナナは安物のでいいんです。加蓮ちゃんは料理しませんか?」
加蓮「私が料理できるように見えるか」
菜々「……見えませんねぇ」
加蓮「困らないしね。事務所に行けば誰かが持ってきてくれるし、家ではお母さんが作ってくれるし」
菜々「でもほら、いざ料理ができればアイドルとしての活躍の幅も広がりますよ!」
加蓮「そこで最初にその発想が出てくるあたり菜々さんだね」
菜々「お弁当なんて単語は出しませんからねナナは」
加蓮「ふふっ。料理かー……」
菜々「どうせならナナが教えてあげましょうか?」
加蓮「気が向いたらねー」
菜々「わーお、すっごく面倒くさそうに」

菜々「こんなのとかどうですかね。ライトグリーンで清涼感マシマシですよ!」
加蓮「んー」
菜々「じゃあこっちのパープル! 加蓮ちゃんらしいオトナの雰囲気に!」
加蓮「んー」
菜々「スカイブルーなんてどうですかね。クールグループですし、イメージカラーとしてもバッチリですよ!」
加蓮「……ダメだ、なーんかピンと来ないんだよねぇ。ごめんね菜々さん」
菜々「いえいえ。こういうのは悩みますよねぇ」
加蓮「とかいって鍋敷きもまな板も一瞬で決めたじゃん菜々さん」
菜々「使う物にはこだわりませんねえ。こう、直感でビビッと」
加蓮「ウサミン的な電波が?」
菜々「ウサミン的な電波が!」
加蓮「いーなー。私もウサミン星人になれたらビビっと決められるかな」
菜々「加蓮ちゃんならいつでも大歓迎ですよ! ほらっ、せーのっ、うっさ」
加蓮「ここお店」
菜々「……ナナしょぼーん」
加蓮「ん〜〜〜。ピンと来ないし、いっそ思い切ってイメージ変えよっかなぁ」
菜々「今まではどんなカーテンを使っていたんですか?」
加蓮「真っ白の。冬は暖かかったんだけど夏が地獄でねー。まあクーラー使うからいいんだけど」
菜々「最近のクーラーはスゴイですよねぇ。スマホで遠隔操作できたりとか」
加蓮「そだねー」
菜々「イメージチェンジとなると……こんなのはどうですか!」
加蓮「うわ、ケバっ」
菜々「ケバ!?」
加蓮「あ……ごめんごめん。す、すっごくピンクで可愛いけど、私には合わないかなぁ、あはは」
菜々「ケバいって言われた……加蓮ちゃんに似合うって思ったのにケバいって言われた……」
加蓮「メンタルが豆腐すぎでしょ、もう。気に入ったなら菜々さんが買いなよ」
菜々「ナナもここまでキツイ色のはイヤですねぇ」
加蓮「じゃあなんで薦めた」
菜々「いっそお店を変えてみるのもアリですね。加蓮ちゃんは専門店の方が似合ってますよ?」
加蓮「そう?」
菜々「むしろ部屋一式オーダーメイドとか言われてもナナびっくりしません」
加蓮「私、これでも庶民派アイドルなんだけどな」
菜々「…………」
加蓮「真顔でこっち見ないで」
菜々「ごほん。いざとなれば通販とかもありますし」
加蓮「なんだろう、菜々さんの口から通販とか言われるとちょっと違和感が」
菜々「ナナそこまで老けてませんよ!? 確かに最近のパソコンはなんでもできてすごいなぁとかナナが学生の頃にあったらよかったなぁとか思いましたけど今もナナは学生ですね!」
加蓮「突っ走りおった。んー、いいや、帰ってPさんに相談してみる」
菜々「とか言って、Pさんとの時間が欲しいだけでしょ」
加蓮「うん」
菜々「そこは少しくらい建前を使ってみませんか!?」
加蓮「私、菜々さんと違って素直な人間だから」
菜々「どの口が言います!?」
加蓮「いいや、帰ってから帰ってから。菜々さん、他に買う物がないなら会計してきたら?」
菜々「あ、はいっ。じゃあちょっと待っててくださいね!」
加蓮「はーい」

――店外――
加蓮「うわ、暑いなぁ」
菜々「ぐえぇ。クーラーが恋しくなりますねぇ……」
加蓮「事務所に帰ったら冷たい物でも飲もっ」
菜々「あれ、家ではなくて事務所? 加蓮ちゃん今日はオフですよね」
加蓮「うん。お母さんにはメールしといたし、Pさんの顔も見て行きたいし」
菜々「相変わらずですねぇ。なんなら藍子ちゃんのレッスンでも見に行きます?」
加蓮「それもいいね。ついでに涼んでいって、アイスでも食べちゃお。ふふっ、やっぱり夏はクーラーがないとね♪」
菜々「あー、それなんですけど、なんか事務所の節電とかなんとかで、クーラーひかえめにってPさん言ってましたよ」
加蓮「は?」
菜々「いやナナに凄まれても。やっぱり電気代ってバカになりませんからねぇ」
加蓮「ちょっと事務所に戻ってPさんに直談判してくる。ふざけんなって言ってくる」
菜々「とか言って、Pさんとの時間が――」
加蓮「今度はマジ! ほら、行くよ菜々さん!」
菜々「わ、ちょ、引っ張らないでくださいよ、こける! こける!」
加蓮「菜々さんからも言ってやってよ! ハタチオーバーの体力の為にとか言ったら聞いてくれるだろうし!」
菜々「誰がじゃー!! 加蓮ちゃんの方こそ体力の無さを武器にしたら勝てるんじゃないですかねね!」
加蓮「ハァ? 好きで体力からっけつになってる訳じゃないんだけど!」
菜々「ナナだって好きでにじ……ゅうななさいです、はい、ナナは17歳です」
加蓮「ほら、早く!」
菜々「わー! もう、ちょっと待ってくださいってばー!」


掲載日:2015年7月12日

 

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