「7月3日はソフトクリームの日です」







――事務所――
安部菜々「ソフトクリームの新商品CMですか」
高森藍子「はいっ。7月3日はソフトクリームの日で、いろいろな放送局でCMを流し始めるみたいです」
北条加蓮「そういう時期が来たんだねー。で、藍子がそのCMに出ることになったと」
藍子「はいっ! 実は、もう撮影もだいたい済ませてしまってて」
菜々「テレビで藍子ちゃんが見られるんですね。ナナ楽しみに待ってますよ!」
加蓮「しばらくは録画番組のCMを飛ばせないな。ふふっ、変な顔してたら笑ってやろ」
藍子「う……だ、大丈夫だと思います、うん、大丈夫」
加蓮「そこはもっと胸を張りなよ。アイドルなんだからさ」
菜々「そーですそーです。加蓮ちゃんの言うことなんて気にせずに!」
加蓮「……ん? それだと私のアドバイスもなかったことにならない?」
菜々「加蓮ちゃんのイジワルなんか気にせずに!」
藍子「あはは……。それで、いくつかの企業でCMに出させてもらったんですけど、その時に、新商品の試供品をいっぱいもらっちゃって」
加蓮「おー」
藍子「私1人では食べきれないから、いっしょに食べてくれますか?」
菜々「もちろんですっ! ちょっとお得な気分ですね!」
加蓮「アイドルの特権だね。ん? アイドル仲間の特権?」
藍子「えっと、このクーラーボックスに、よいしょ」
加蓮「わお、本当にいっぱいある。重そー。よく持って帰れたね」
藍子「Pさんに運んでもらって……だからPさんには、先におひとつあげちゃいました」
加蓮「負けた」グヌヌ
菜々「そこで張り合ってどうするんですかねえ……。お、ナナこの『パチパチストロベリー』に興味アリですよ!」ビリッ
加蓮「じゃ私はこの『パチパチメロンソーダ』に。同じシリーズかな?」ビリッ
菜々「(ぱくっ)」
加蓮「(もぐっ)」
菜々「……」
加蓮「……」

「「パチパチするうううううう!!」」

藍子「あはっ……♪」(←ちゃっかりメイプルストロベリーを食べてる)

――3分後――
菜々「次はこの『パンプキンアイス』に挑戦ですよ! シンデレラと言えばかぼちゃの馬車ですからね、ナナ達には縁起の良い名前です!」ビリッ
加蓮「私は……これにしてみよ。『ぱんのアイス』。パン? パンってハンバーガーとかのパンかな?」ビリッ
菜々「(ぱくっ)」
加蓮「(もぐっ)」
菜々「……」
加蓮「……」

「「もっさりするうううう!!」」

藍子「あはは……」(←まだメイプルストロベリーを舐めてる)

――3分語――
菜々「……『チョコミント』で」ビリッ
加蓮「『レモンミント』なら大丈夫かな……ミントだもんね、ミントって言えば私だもんね……」ビリッ
菜々「(ぱくっ)」
加蓮「(もぐっ)」
菜々「……」
加蓮「……」

菜々「あbbbbbb」加蓮「あ、スッキリしておいしいっ」

菜々「……」チーン
加蓮「藍子もこれ食べてみなよ。口の中が爽やかになれるよ」
藍子「あの……ごめんなさい加蓮ちゃん。私、ミントはちょっと苦手で。それは同じ企業の方がついででって」アハハ...
加蓮「…………」ジー
藍子「あ、あうぅ……ひ、一口だけでいいですか?」
加蓮「しょーがないな。はい、あーん」
藍子「えいっ。〜〜〜〜〜〜っっっ! く、口の中がすーすーしてっ、すーすーしてぇっ!」
加蓮「ま、刺激は強めだもんね。しょうがないっか」
菜々「(恨みがましい目)」
加蓮「……日頃の行い?」
菜々「ナナが何をしたと言うんですかね!?」
加蓮「ファンのみんなに嘘をつき続けているから天罰が下ったんだよ」
菜々「微妙にリアルなこと言うのやめてくれませんか!?」

――5分後――
加蓮「で、菜々さんの分のミントも私が食べましたっと。はーっ、そろそろお腹いっぱいだよ」
菜々「ナナもですねぇ。どっちかというと心のお腹がいっぱいですけど」
藍子「どうしましょうか。まだ、いっぱい残ってますね」
加蓮「アイスって賞味期限がないってよく言うけど、どうする? 冷凍庫にでも入れとけば誰か食べてくれるかもよ」
藍子「でも、せっかくですから、いろんな人に直接、渡したくて……」
菜々「事務所にいれば誰かいるかもしれませんし、待ってみましょうか! その間にナナとメルヘンデビューの練習でも――」
加蓮「待って。確か今の時間だと……うん、やっぱりだ。あの子達のレッスンがちょうど終わる頃だからさ、差し入れついでに持っていかない?」
藍子「いいですね! 私も、ついていきますっ」
菜々「ナナしょぼーん」
加蓮「……今度、カラオケ付き合ってあげるからさ。ね?」
菜々「はーい」

――レッスンスタジオ――
喜多見柚「なつ! あつい! アイス!」
工藤忍「なんでカタコト……?」
柚「柚はアイスを所望するー!」
工藤忍「そこで転がっててもアイスは出てこないと思うよ。事務所まで戻らないと」
柚「忍チャン、ここでアイスの出前だっ!」
忍「そんなのないよ……」
加蓮「お、ちょうど終わったところかな?」
柚「あー! 加蓮サンだっ!」
忍「……」ドモ
加蓮「……」ア、コチラコソ
加蓮「ふふっ。北条加蓮ちゃんからのアイスの差し入れだよ」
柚「アイス! やったー! 加蓮サンだいすきー!」
忍「ホントに出前が来た!」
菜々「まさにグッドタイミングってヤツですね!」
加蓮「新商品をいっぱい持ってきてるからね」
藍子「私たちだけでは食べきれないので、いっしょに食べてくださいっ」
柚「やったー! 柚はこれ! 『ゆず味』! ほらほら柚だよ、柚味だよ!」ビリッ
柚「(ぱくー)」
柚「柚だー!」ペカー!
忍「アタシはこれにしよ。『ストロベリーソーダ』」ビリッ
忍「(もぐ)」
忍「うん、おいしいっ♪ 本当に熱くて参ってたところだよ。ありがとう、みんな」
藍子「はいっ」
加蓮「2人を見てたら私もまだまだ食べたくなっちゃった」
柚「はいはい! 加蓮サンはミントが似合うよきっと!」
加蓮「もう食べたよ」
柚「ガーン!」
加蓮「甘そうなのしかないなぁ……『ビターチョコ』ならいけるかな?」
藍子「じゃあ私は、こっちの『カカオチョコ』を……わ、苦いっ」
菜々「今日はダンスレッスンですかね」
忍「うん。柚ちゃんと。柚ちゃん、すごくトリッキーな動きが多いから、合わせるのに苦労したよ」
柚「くるくる回るー、柚はくるくる回るー、ふぎゃ!」ビターン
加蓮「はいはい、アイス持って回ってたら危ないよ」スッ
柚「へへっ。失敗しても許される系アイドル、目指してるんだっ」
忍「…………」
加蓮「せめて反省くらいしなさ――」
柚「アタシも加蓮サンのそれ食べたい! オトナって感じがする!」
加蓮「……。はいはい、どおぞ」
柚「ぱくーっ! にがー! 柚はまだまだ子供だった! 忍チャンはどうかな、オトナかな?」スッ
忍「え、ビターチョコを食べられたら大人なの……?」パクッ
加蓮「どう?」
忍「うん、普通にいけるよ。アタシ、辛いのとか苦いのとか得意だから」
柚「忍チャンが忍サンって感じがする……! アタシも負けてられるかーっ!」パクー!
忍「あ、こら」
柚「むりー!」ダダダッ
加蓮「……何がやりたいんだか」
忍「柚ちゃんだからねぇ」アハハ
菜々「いやあ、レッスンの後のアイスほど美味しい物はありませんよね!」
加蓮「おさk……いやなんでもない」
藍子「私も、撮影帰りでクタクタだったから、アイスがとっても美味しいですっ」
柚「おかわりー! うまうまっ、レッスンがんばってよかったー」
忍「……あ、アタシもおかわり、いい?」
藍子「まだまだありますから、いっぱいどうぞっ」

――数日後――
菜々「ナナしょぼーん」
加蓮「……どしたの? なんかPさんにやたら怒られてたけど」
菜々「……アイス食べ過ぎて、体重計が……」メソメソ
加蓮「あーあ……」


掲載日:2015年7月3日

 

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