「空気 ←」





――事務所の休憩室――
北条加蓮「……zzz」ニヘラ
高森藍子「あはっ……」ナデナデ
藍子「んー……」
藍子「ふわぁ……」
藍子「ふふっ……」

喜多見柚「やっほー!」

藍子「ひゃあっ! あ、柚ちゃん、えっと、しーっ、しーっ!」
柚「んん? 藍子サン? それに加蓮サン?」
藍子「ほら、加蓮ちゃんが起きてしまいますから、ね?」
柚(おっとっと、柚しーってしてるね!)
藍子「あ、あの、口をパクパクしているだけじゃ何を言っているのか分かりません……」
柚「えーっ。コイツ直接脳内にっごっこやりたかったのに」
藍子「ご、ごめんなさい……?」

柚「加蓮サン、気持ちよさそうに寝てるねー」
藍子「はい。とっても気持ちよさそうです」
加蓮「んん……ぅ……」
柚「藍子サンの膝枕ぱわーカナ?」
藍子「あはっ、そうだったら嬉しいんですけど」
柚「むぅ……」ジー
藍子「……あの、加蓮ちゃんを起こしちゃだめですよ?」
柚「ぶー。つまんないの。静かにしといた方がいい?」
藍子「1度眠ったらしばらくは起きませんから、普通にお喋りするなら……」
柚「そっか」
藍子「加蓮ちゃん、いつもお疲れですから……ゆっくりできる時は、ゆっくりして欲しいな……♪」ナデリナデリ
加蓮「……にへ……」
柚「お、おおお……藍子サンが大人だ、いや女神だ!」
藍子「そんなっ。そこまで言われたら照れちゃいます」
柚「女神様〜」
藍子「やめてくださいよ〜」テレテレ
柚「そうだっ。柚、何か手伝えることないかな? 加蓮サンの疲れをいやして柚に代わってもらお!」
藍子「うーん……あ、それだったら、私の鞄を持ってきてもらえますか? 加蓮ちゃんの寝顔、撮っちゃいたいから!」
柚「あいあいさー! あとで加蓮サンに見せちゃうんだね! 加蓮サンを照れさせちゃおう大作戦だね! おおっとこれはあずきチャンの真似だっ」ドタドタ
藍子「あ、あの、お静かに……」
加蓮「んひ……」

柚「……」
藍子「おかえりなさ――あれ? 鞄は……」
柚「……藍子サンの鞄って、どんなんだっけ」
藍子「あ、あはは、説明していませんでしたね。えっと、猫さんのキーホルダーがある、オレンジ色の――」

柚「とったどー!」
藍子「もうっ、柚ちゃん、静かにっ!」
柚「おっとっと。……でも加蓮サン、ぜんぜん起きないねー」
藍子「そうなんですけど、やっぱり静かな方が眠りやすいと思いますから……ね?」
柚「了解ですっ隊長」ビシッ
藍子「鞄、ありがとうございます。ええと、カメラは確か……」
柚「んー……」ジー
柚「……」
柚「ふにふに」
藍子「ありました……こらっ、柚ちゃん。加蓮ちゃんをツンツンしないでくださいっ」
柚「実は藍子サンもやりたかったり?」
藍子「それは、その……か、勝手にやるのは良くないですよ、こういうのは」
柚「加蓮サンなら気にしないと思うんだけどなー。わ、カッコイイカメラだ! これ藍子サンの?」
藍子「はいっ。ちょっと奮発しちゃいました」
柚「おおーっ。あれっ、鞄の中に別のカメラがある」
藍子「こっちのカメラは、綺麗な写真を撮りたい時に使うようにしているんです。準備が、ちょっぴり大変で……」
柚「藍子サンがプロの顔だ……!」
藍子「そんなことないですよ〜」ガチャガチャ
柚「写真できたら、柚にも見せてね。部屋に飾っちゃうんだ♪」
藍子「あはっ。じゃあ、私もそうしちゃいましょう。……そうだ。せっかくですから、柚ちゃんも撮っていいですか?」
柚「えー、柚はいいよー。照れちゃう」クネクネ
藍子「残念。……よし、準備ばっちりです! じゃあ早速――」
加蓮「うんん……んん? ふわぁ……」
藍子「あっ」
柚「あっ」
加蓮「んぅー、あふ。ん、藍子、おはよー……膝枕ありがとねー……」
藍子「……お、おはようございます、加蓮ちゃん♪」アセッ
加蓮「ん? なんで目ぇ逸らす……かめら……あーっ! ちょっと、また寝顔を撮るつもりだったんでしょ!」
藍子「ご、ごめんなさい〜! ついっ、そのっ、これは柚ちゃんが!」
柚「アタシ関係ないよ!?」
加蓮「柚ぅ? んな訳ないでしょ、こんな提案するの藍子でしょうがどうせ!」
柚「おー、さすが加蓮サン、分かってるぅ」
藍子「バレちゃってます……! だって、寝顔がとっても綺麗で可愛かったから、その、えと、ね?」
加蓮「嫌な物は嫌だってば! 前にも言ったでしょ、もうっ!」
藍子「あうぅ、許してください。ね? ほら、コーヒー淹れてきてあげますからね? ね?」
加蓮「んー、ふふっ、藍子。ごめんね〜、今日は自分で淹れたい気分なんだ」
藍子「ええっ!?」
加蓮「柚も何か飲む?」
柚「メロンソーダ! あっ、柚もついていくよ!」
加蓮「いいって……持ってきてあげるから、そこで人の寝顔をつついたことを反省して正座でもしてなさい」
柚「バレてたっ!?」

加蓮「ただいまー。はい藍子、レモンティーでいい? 柚にはメロンソー……ホントに正座してるよこの子」
藍子「ありがとうございます……♪」
柚「加蓮さま〜、足が、柚もう足が限界っ。何とぞお慈悲を〜!」
加蓮「まだ5分もしてないでしょ、どんだけ正座が苦手なの……。はい。もう正座はいいから、メロンソーダでも飲みなよ」
柚「やったー!」ピョコン
藍子「あ、そんなにすぐに立ち上がると――」
柚「いただきまーぎゃふんっ! 足、足が! しびれれれれれれ」
加蓮「……つんっ♪」
柚「らららららららっららららら!? かか加蓮サンっ!? それは柚をいくらなんでもいじめすぎだよぅ!」
加蓮「お返し。はー、コーヒーおいし」
藍子「……だ、大丈夫ですか、柚ちゃん?」
柚「大丈夫じゃななななな……アレッ? 大丈夫だ」
加蓮「ほんのちょっとつついただけだってば」
柚「柚ふっかーつ! メロンソーダうまーっ。あ、そうだ加蓮サン! すっごく気持ちよさそうに寝てたね!」
加蓮「……もう1回つついてあげようか」
柚「あわわっごめんなさい! えっと、それでね、是非とも〜、柚も藍子サンのっていうか、ね? その〜、ほら〜?」
加蓮「ん……?」
柚「きゃー、じっと見ないで、柚をじっと見ないでー!」テレテレ
加蓮「……? ごめん、寝起きで頭がにぶいから柚の言ってることがよく分かんない」
柚「アタシも藍子サンの膝に頭を乗っけたいってこと! 分かってよ加蓮サン!」
加蓮「それならそうと最初から言ってよ。嫌だけど」
柚「やっぱり! ケチー!」
加蓮「それをやるためには、そうだね、加蓮ちゃん検定3級くらいは必要だね」
藍子「加蓮ちゃん検定……?」
加蓮「うん、検定。藍子は2級だよ。1級になったら加蓮ちゃんのプロデュース権利が与えられます。頑張ってね」
藍子「は、はあ」
柚「アタシは! アタシは何級!?」
加蓮「え? 圏外」
柚「そんなっ!」
加蓮「ふふっ」
藍子「もう、加蓮ちゃん。私ならいいですから、ね?」
加蓮「むぅ……まあ藍子が言うならいっか。うん、許可するよ」
柚「やったー! ささっ藍子サン、さささっ、お願いします!」
藍子「はいっ。あの、膝が硬いからあんまり気持ちよくないかもしれませんけど……」
柚「えいっ!」ドシャ
藍子「きゃっ」
柚「……んふ〜、これはいいものですなぁ。加蓮サンのぜいたくものーっ」
加蓮「贅沢ものかー、そっかー」

――4分30秒後――
柚「……たいくつだー!」ピョコッ藍子「あ、ちょ、きゃっ!」ゴチーン柚「あぶっ!」ゴンッ!
加蓮「……あーあ、いきなり飛び上がるから」
藍子「い、いたたたた……大丈夫ですか、柚ちゃん?」
柚「おおおおおお……ご、ごめん藍子サン、ぐぬぬぬ……」
加蓮「やっぱり5分も持たなかったか、さすがパッションタイプ」


掲載日:2015年7月1日

 

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