「ブルーハワイとメロンソーダ」





――事務所の談話室――
かき氷を作るレトロちっくなアレ(家庭用) <ヤァ

安部菜々「また懐かしい物を置いていますねぇ。小さい頃はどうしてもこれが欲しくて、お母さんが買ってくれた時にはもう踊って喜びましたね!」
北条加蓮「菜々さん、開始早々に地雷をぶち抜いていくのやめよっか」
菜々「ハッ! わ、我が家はほらレトログッズが豊富っていうかお母さんが捨てられないで溜め込んでいるっていうか……じ、じゃなくて、ナナはウサミン星人ですからね! 地球の文明について知るのは重要なんですよ、ハイ」
加蓮「ウサミン星人の理由を先に持ってきなさいよ……」

加蓮「あー、かき氷おいしい。最近なんか急に暑くなったよね」シャクシャク
菜々「そろそろ梅雨が明けて、夏が来ますねぇ……むむ、ナナにとっての戦いの季節ですよ」シャクシャク
加蓮「……? なんかあったっけ」
菜々「……Pさんが、今年こそ水着を着ろって何度も何度も」
加蓮「あー」
菜々「ナナはそういう露出の多い系のモデルはNGですからね!」
加蓮「肌年齢でバレるから?」
菜々「ウサミン星人は地球人にお腹を見せちゃダメなんですぅ!」
加蓮「お、詰まらずに返してきた。さてはその言い訳、練習してるね?」
菜々「な、なんのことですかね?」シャクシャク
加蓮「メロンソーダもそろそろ飽きてきたなぁ。ハワイアンブルーとか美味しいよね」シャクシャク
菜々「ナナはストロベリー一択ですねー。でもかき氷を食べていると、何か飲み物が欲しくなりません?」シャクシャク
加蓮「藍子は今いないから自分で取りにいってね」シャクシャク
菜々「加蓮ちゃんは取りにいってくれないんですか」シャクシャク
加蓮「やだ。めんどくさい。――うっ、イタタ、頭がキーンとなったキーンって」
菜々「そういうこと言うからですよ。まあいいです、たまにはナナが持ってきて――」>ガチャッ
高森藍子「おふたりとも、お疲れ様ですっ。ただいま戻りました!」
菜々「お疲れ様です!」
加蓮「おー、いいタイミング」
藍子「?」
加蓮「菜々さんが、ちょうど飲み物ほしいって言ってたところなんだ」
藍子「そうなんですか? じゃあ、私が持ってきますね。カルピスでいいですか? 私も、ちょうど飲みたいと思っていて……」
菜々「あ、はい」
藍子「ふふっ。じゃあ、加蓮ちゃんの分も一緒に持ってきちゃいますね。ちょっと待っててください」テクテク
菜々「…………」
加蓮「……ってか、菜々さんって一応メイドとか名乗ってたよね?」
菜々「あー、ほら、アイドルのメイドですからね。ご主人様はファンの皆さんですよ」
加蓮「うまいこと言うなぁ」

藍子「お待たせしましたっ」
加蓮「ありがと。やっぱり外は暑い?」
藍子「そうですね……もうすっかり夏ですね。ちょっと歩くだけで、すぐへろへろになっちゃいます」ハイナナサン
菜々「あー、分かります。コンビニとかに入るとつい声を出しちゃいますよねぇ」ドウモ
加蓮「かき氷、食べる?」
藍子「はいっ! パイナップルのシロップ、ありますか?」
加蓮「藍子はパイナップル派だったか」
菜々「じゃあナナもお代わりしますね!」
加蓮「私はもういいかな、体もしっかり冷えたし」
藍子「あ、ホントだ、加蓮ちゃん、すっごく体が冷たくなってます」ピト
加蓮「……」
藍子「……」
加蓮「……」
藍子「……ぎゅー♪」
加蓮「暑っ。しかも汗い」
菜々「汗い? 最近はそういう風に言うんですか?」
加蓮「今作った」
菜々「あーそうですかー」
藍子「あはっ、こうしてると冷たくて気持ちいいです……♪」
加蓮「私は体も心も冷たいからね、夏の間は重宝するよ?」
藍子「そんなことないですよ。心は、すっごくあったかいですっ」
加蓮「……マジトーンで言わないで。照れるから」
菜々「おお……こういう時は若者っぽくキマシタワーなんて言ってあげた方が」
加蓮「やめなさい」

菜々「藍子ちゃんの分のかき氷も作っちゃいますね。がーりがーり」
藍子「ふわ……♪」
菜々「はい、完成しましたよー。……ナナはお邪魔ですか?」
藍子「そんなことないですよ……ありがとうございます、菜々さん」ヒョイ
加蓮「あ」
藍子「〜〜おいしいっ♪」シャクシャク
菜々「加蓮ちゃん、残念そうな顔してますねえ」
加蓮「……見間違いでしょ。ほら、菜々さんも抱きついてきていいよ? クールな北条加蓮ちゃんが待ってるよ?」
菜々「いやぁナナは遠慮しておきますよ。心なしか藍子ちゃんからの目が熱いですし」
藍子「?」シャクシャク
加蓮「ん〜〜〜、っと。私もおかわり、もらっちゃおうかな」
菜々「じゃあナナが作っちゃいますね!」
加蓮「藍子にメイドの立場を持ってかれたこと、まだ根に持ってる?」
菜々「ナナには何のことやら」ガーリガーリ
藍子「はぁ。やっぱり私は、冷房の涼しさよりかき氷のひんやりの方が好きですっ」
加蓮「私をぎゅっとしてるよりも?」
藍子「そ、それはちょっと別ですっ」
菜々「できましたよー」
加蓮「ありがと、お母さん」
菜々「いくらウサミン星人でもはっさ……1歳の時から子供なんて産めませんよ!?」

加蓮「うぐ、また頭がキーンってなった」
藍子「わ、加蓮ちゃん、大丈夫ですか? もう、そんなにたくさん食べてたら体によくないですよ?」オデコニピト
加蓮「大丈夫大丈夫……うん、でもかき氷はちょっと休憩で」
藍子「ブランケットか何か持ってきましょうか? あっ、冷房の温度を上げてもらってきても――」
加蓮「大丈夫だってば。……でもごめん、やっぱかき氷はもういらないかも」
藍子「じゃあ私が代わりに食べておきますね?」
加蓮「うん、お願い」
菜々「美味しい物も過ぎると毒ですねぇ。ナナも仕事終わりに飲むのは好きですけどやり過ぎると次の日がもうホント地獄で――」
加蓮「…………」ジトー
藍子「……」エッ?
菜々「って、ええと事務所の誰かが言ってましたよ! 誰かが! 少なくともナナじゃないですね! ええ!」
加蓮「他に一人称がナナって人とかいたっけ」
藍子「さ、さあ……」
菜々「ナナミさんとかナナコさんとか探せばいるんじゃないですかね!」
加蓮「誰だ。……もうさ、どっちかにすればいいのに。17歳を貫き通すか開き直って2X歳を晒すか」
菜々「ナナにもプライドというものがですね! あとナナは17歳ですし!」
藍子「あくまでそっちの路線なんですね……」
加蓮「……なんかさー、その割に菜々さんってあんまり自分の考えとか押し付けないよね」
菜々「加蓮ちゃん?」
加蓮「いやほら、藍子とかさっきみたいに鬱陶しいくらい過保護にしてくるけどさ」
藍子「うっとうしい!?」ガーン
加蓮「菜々さんからそういうのないなーって思って。いやなくていいんだよ? 鬱陶しいから」
藍子「2回も!?」ガガーン
菜々「はあ。特に深い意味はなさそうなのでナナは流しておきますね」
加蓮「そういうところも」
菜々「……あの、ナナには加蓮ちゃんが何を言いたいのかホントにサッパリ」
加蓮「ごめん、何の意味もないんだ。いつもブルーハワイを選んでるのにたまにメロンソーダを選んだらついハマっちゃったことくらいに」
菜々「屋台とかで食べ慣れた焼きそばよりもたこ焼きが美味しかったりしますよね!」
加蓮「そういう感じ」
藍子「うっとうしい……加蓮ちゃんにうっとうしいって言われた……」ブツブツ...
加蓮「あー……」
菜々「ナナは知りませんよーだ」
加蓮「ああうん、もう、藍子、変なところでネガらなくていいって。ね? ほら、もう」
藍子「あうぅ…………」
菜々「先を読んであのセリフを言っておきましょうか」
加蓮「なに?」
菜々「キマシタワー」
加蓮「違うってば」


掲載日:2015年6月29日

 

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