「ウサミン星人の侵食」





加蓮「……」ベシャ
菜々「……」ベシャ
藍子「ただいま戻りまし……た?」
加蓮「あ、おかえり……」
菜々「おつかれさまでーす……」
藍子「な、なんだかいつもよりお疲れ様です」
加蓮「ちょっとねー……」
菜々「レッスン上がりです、キャハッ……」
藍子「それで……あはっ、ソファにべちょってなるくらい疲れちゃったんですか?」
加蓮「意地張った……」
菜々「ナナ後輩に負ける訳にはいかないんですよぅ……」
藍子「…………」ジトー
菜々「なんだか視線が痛いですよ藍子ちゃん」
加蓮「ああ、うん、それいつものこと」
藍子「もう。加蓮ちゃんも菜々さんも、あんまり体力がないなから無茶しちゃダメですよ?」
加蓮「藍子には言われたくない」
藍子「お散歩するだけでバテちゃう加蓮ちゃんは大人しくしてましょうね」
加蓮「はーい……」
藍子「あっ、お飲み物、持ってきますね。何がいいですか?」
加蓮「コーラ……」
菜々「ナナは水でいいです……」
藍子「はーい。ちょっと待っててください」パタパタ

加蓮「……」
菜々「……」
加蓮「……」
菜々「……」
藍子「お待たせしまし……本当にお疲れなんですね」
加蓮「うん……」
菜々「ハイ……」
藍子「コーラ、コップに入れておきますね。菜々さんも、はい、お水です」
菜々「ありがとうございます……ぷはーっ! ウサミン星人、華麗に復活ですよ!」
加蓮「はや」
菜々「いつまでもソファに倒れていられなあ痛たたたた!」
加蓮「わ、大丈夫? 腰?」
菜々「膝がァ……!」
藍子「た、たいへんっ。すぐ包帯を持ってきますっ」パタパタ
菜々「お願いします藍子ちゃぐおおおおお……」
加蓮「年なんだから無理しないでよ……野太いうめき声をあげるウサミン星人とか見てて痛々しいんだけど」
菜々「か、加蓮ちゃんは平気なんですか? その、体とか」
加蓮「体力がないってだけだからね。そろそろ動けるかな……ん、コーラおいし」
藍子「はい菜々さん。湿布と包帯、あと痛み止めのお薬も、どうぞ」
菜々「恩に着ます……。うぅぅ」
藍子「お疲れなら、たまにはゆっくりと横になっていてくださいね」
加蓮「そうするー」
藍子「お水、おかわりいりますか?」
菜々「お願いしちゃってもいいですかね?」
藍子「はーい。ちょっと待っててくださいね」パタパタ
菜々「ふー、落ち着いてきました」
加蓮「手馴れてるね。湿布を貼るの」
菜々「そりゃもう、アイドルを始めてからは心の友で……まあナナは17歳ですけどね!」
加蓮「何も言ってないよ……」

加蓮「ねえ、ウサミン星人ってそんなに面白い?」
菜々「面白いとかじゃないですけど……あっ、それなら加蓮ちゃんもやってみましょう!」
加蓮「え、私が?」
菜々「ウサミン星人はいつでも新しい住民を募集していますからね!」
加蓮「そういうもの?」
藍子「お待たせしましたっ。はい、コップ出してください」
菜々「ありがとうございます……ぷはーっ!」
藍子「加蓮ちゃん、ウサミン星人になるんですか?」
加蓮「ならないから。ごくごく」
菜々「えーっ。似合うと思うんですけどね、加蓮ちゃんも」
加蓮「似合わない」
藍子「似合うと思いますよ?」
加蓮「藍子まで……ウサミミつけてミミミンミミミン言ってろって? 明らかに私のキャラじゃないでしょ」
藍子「ちょっとやってみたらどうですか?」
菜々「わくわく!」
加蓮「じゃあ……よいしょ。せーのっ、ミミミンミミミンウーサミンッ!」
藍子「かわいい!」
菜々「ナナに強力ライバルが登場!?」
加蓮「……やるんじゃなかった」
藍子「えー、すっごくかわいかったのに」
菜々「じゃあ次は藍子ちゃん!」
藍子「わ、私ですか?」
加蓮「……! そうよねぇ、ここまでやって藍子だけやらないっていうのは不公平よねぇ?」
藍子「そ、そんな目で見ないでください……もうっ!」
菜々「はい、ウサミン用のウサミミです!」
加蓮「ついでにはいこれ。ニンジンのおもちゃ。似合うでしょ」
藍子「準備万端ですか!? え、ええと……」カポッ
菜々「おお……」
加蓮「似合うね、ウサミミ」
藍子「う、ううう、お恥ずかしい……せ、せぇのっ、み、みみ、みみみんみみみん、うーさみんっ……」
加蓮「ヤバイ持ち帰りたい」
菜々「ナナは今、アイドル最大のピンチに立たされている……っ!」
藍子「うううううう、も、もう勘弁してください……っ!」
加蓮「ひゅー、顔真っ赤ー」
藍子「言わないでくださいいい……」
菜々「加蓮ちゃん加蓮ちゃん、マジな話、ナナ大ピンチなんですけどどうしたらいいですかね」
加蓮「うーん、諦めたら?」
菜々「もうちょっと前向きに検討を」
加蓮「別キャラを探してみるとか。例えばネコミミとかイヌミミとか」
菜々「なるほど、その手がありました! ってことで藍子ちゃん、どうぞ!」
藍子「ええっ!? 私がやる流れだったんですか!?」
加蓮「お、いいところにイヌミミが。凛が持ってた奴かな」
藍子「ちょうどよくないですっ」
菜々「え? 今、衝撃の事実が明かされませんでした?」
加蓮「かぽっ、そんでもってこっち、かぽっ」
藍子「きゃあっ」
加蓮「おー、これまた似合うね。忠犬ハチ公ならぬ、忠犬アイ公」
菜々「ウサミミのみならずイヌミミまで似合うなんて……藍子ちゃん、恐ろしい子……っ!」
藍子「わ、私を着せ替えにするのはやめてくださぃぃ……」
菜々「兎のナナに、わんちゃんの藍子ちゃん……これはもう、」
加蓮「あ、ごめん奈緒と約束してたの思いだしたんだ、じゃあ私はこれで」ガシッ
藍子「ふふ……逃がしませんよぉ加蓮ちゃぁん……」
加蓮「怖っ!」
藍子「菜々さんっ、控え室からっ!」
菜々「行って来ますっ!」
加蓮「ま、待って、ね、ほら、私のキャラじゃないからさ、ほら」
藍子「あ、菜々さんを待つまでもないですね、私のイヌミミをこうして」
加蓮「わっ」カポッ
藍子「うん、可愛い!」
加蓮「犬っていうより猫でしょ私は!」
藍子「……? ネコミミの方がいいってことですか?」
加蓮「そうじゃなくて!」
菜々「お待たせしました! ネコミミしかなかったですけどいいですか?」
藍子「……!」キュピーン
加蓮「最悪だから! 最悪のバッドタイミングだから! ちょ、こっち迫ってくるな、こらーっ!」

――10分後――
加蓮「…………」
藍子「…………」
加蓮「藍子のせいだ」
藍子「加蓮ちゃんが可愛いのがいけないんです」
菜々「……Pさん、年甲斐もなくはしゃいでいましたね」
加蓮「『クリスマスメモリーズの次はアニマルメモリーズだ!』だって。どうすんのこれ」
藍子「……どうしましょうか」
菜々「……」
加蓮「……藍子が犬をやるなら考える」
藍子「……加蓮ちゃんが猫ちゃんをやるなら考えます」
菜々「アイドルは度胸です! やりましょう二人とも!」
加蓮「……そだね」
藍子「あはっ。こうなったら楽しんじゃいましょうか」
加蓮「そだねー。じゃあまず藍子、犬の気持ちになってみてよ」
藍子「いえいえ、ここは加蓮ちゃんがまず猫さんみたいになってください」
加蓮「私は元から猫っぽいからいいの。ほらほら藍子」
藍子「意地悪な猫さんじゃなくて可愛い猫ちゃんを見せてください」
加蓮「可愛い猫なんていくらでもいるでしょ、私がやっても誰も得しないって」
藍子「動物の真似ってやったことないんです、加蓮ちゃんがお手本を」
加蓮「まあまあそう言わず」
藍子「まあまあそう言わず」
菜々「……問題なさそうですね。ナナは今からステージが楽しみです!」



掲載日:2015年5月18日

 

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