「不明と未知の関係」
――夕方――
工藤忍「ねえ加蓮。この後って予定入ってる?」 北条加蓮「ううん、ミーティングも終わったしホテルに戻るだけ。なんで?」 忍「じゃあ、ちょっとだけアタシに付き合ってよ!」 ――ゲームセンター―― 忍「よっ」カン 加蓮「ほっ」カン 忍「えいや!」カン 加蓮「むっ」カン 忍「うわっ!?」 加蓮「やたっ」 忍「ぐぬぬ……まだまだこれから!」 加蓮「ホッケーなんていつ以来だろ。久々だよ」 忍「行くぞぉ!」カン 加蓮「やっ」カン 忍「加蓮ってプリクラ撮ってばっかなイメージっ」カン 加蓮「そう?」カン 忍「そうっ」カン 加蓮「言われてみればそうかも」カン 忍「やっぱり?」カン 加蓮「忍はこういうとこ来るの?」カン 忍「フリルドのみんなとねっ」カン 加蓮「へーっ」カン 忍「最初は穂乃香ちゃんとだったっ」カン 加蓮「えやっ」カッ 忍「あとは柚ちゃんとかあずきちゃんとかっ」カン 加蓮「こういうとこ好きそうな面子だね!」カn 忍「こうやってよく勝負するよ!」カンッ 加蓮「うわっと」 忍「よしっ。これで同点だね、加蓮」 加蓮「やるね……えやっ」カン 忍「加蓮は藍子ちゃんや菜々さんとは」カン 加蓮「どっちもここ来るタイプじゃないんだ」カン 忍「そうなのー?」カン 加蓮「お互いに行きたいとこに行く感じ!」カン 忍「加蓮らしいっ」カン 加蓮「好き勝手にやってる」カン 忍「藍子ちゃんもそうなんだ!」カン 加蓮「ああ見えて振り回してくるよ」カン 忍「今度聞いてみるねっ」カン 加蓮「わ……」ヨロ 忍「よしっ♪」 加蓮「…………ごめん忍、ちょっと休憩」 忍「えー!? ホッケーでバテるって体力なさすぎない!?」 加蓮「や、LIVEの疲れが今頃……。ほら、ジュース買ってあげるから、そこのベンチで……」 忍「はいはい……アタシ、りんごジュースね」 加蓮「はーい」 加蓮「つっかれたー……ってか忍、こういうとこよく来るんだ。実は行き慣れてたり?」 忍「ううん。地元にはこんな大きなゲーセンなんてなかったよ。実は最初、穂乃香ちゃんに誘われたんだ」 加蓮「じゃあその時が忍のゲーセンデビューなんだ」 忍「そんな感じ。アタシ1人じゃ行きにくい場所いっぱいあるし……それをみんなが教えてくれた感じ」 加蓮「そんなもんかなー」 忍「加蓮は昔から東京なんだっけ?」 加蓮「うん。だから忍の気持ちはちょっと分かんないかも」 忍「今度アタシの地元に来てみる? びっくりするくらい何もないんだ。加蓮だったら1日で退屈だって言うんじゃないかな」 加蓮「退屈にさせるの分かって言うのかアンタは」 忍「たははっ」 加蓮「私は遠慮しとくよ。それよりフリルドスクエアのみんなでも誘いなよ」 忍「またそういうこと言う。アタシは加蓮を誘ってるんだけど?」 加蓮「……めんどくさいなー」 忍「じゃあホッケーでアタシが勝ったら」 加蓮「やだ。疲れてるし」 忍「…………」ジトー 加蓮「……やっぱさ、そこんとこよく分かんないんだよね。私でいいの? って感じで」 忍「アタシは加蓮のそういうとこが分かんないんだけど。いいって言ってるんだからいいんじゃないの? 加蓮ってちょっと深読みとかしすぎなんじゃないかな」 加蓮「自覚はしてるー。いや、昔さ……ほら言ったじゃん。入院してたことがあるって。ああいうとこの大人って誰も本音で喋らないんだよね。子供の患者相手にさえも。ずっと周りを騙し騙されな場所にいたらどうなると思う?」 忍「…………さっき加蓮がアタシに言ったのと同じ」 加蓮「うん?」 忍「アタシは、その加蓮の気持ちが分かんない」 加蓮「だよねー。そこで分かってもらおうって思いもしないのが私で、」 忍「分かりたい、分かってほしいって思うのがアタシ。……で、いい?」 加蓮「正解っ」 忍「はー。面倒くさいヤツ」 加蓮「自覚はしてるー。プリクラ撮ってく?」 忍「いいよ。あ、でも落書きは待って! 加蓮に任せたら何書かれるか分かんないし!」 加蓮「ひどっ。せいぜい努力馬鹿って書くくらいしか思いつかなかったよ」 忍「それもそれでひどいって!」 加蓮「じゃあ落書きは無し――」 忍「いや、アタシと加蓮でやればいいじゃん。せっかく一緒に撮るんだしさっ♪」 加蓮「……それもそっか」 ――プリクラ撮影後―― 加蓮「結局、りんごやらネイルやら描いて訳分かんなくなったプリクラになったね……」 忍「これ、見せたら絶対に何があったらこうなったって聞かれるよね……」 加蓮「盛り上がったらこうなったってことにしよっか……」 忍「そだね……」 加蓮「次は何する? 時間は……まだ大丈夫か。せっかく地方に来たんだし、ちょっとその辺ぶらついてみようよ」 忍「あ、それ賛成! っていうかアタシ最初にそれ言うつもりだったんだ」 加蓮「へー。じゃあなんでゲーセン?」 忍「ちょっとゲーセンが目に入っちゃって……あと加蓮と勝負してみたかったんだ」 加蓮「そっか」 <テクテク <テクテク ――小さな公園―― 加蓮「子ども達が遊んでるね。……あの中に私を見てくれる子っているのかな。ほら、テレビでも何でも」 忍「そういえば加蓮って、子ども好きなんだっけ」 加蓮「うん。ちょっとだけね……いてくれると嬉しいな」 <テクテク <テクテク ――川沿いの道―― 忍「東京だとこういう道がないから、なんかこういうのいいな」 加蓮「これ、桜の木じゃない? 来る季節をちょっと間違えたかなー」 忍「春になったらまた来たいってPさんに言う?」 加蓮「いいかも」 <テクテク <テクテク ――少し汚い裏路地の入り口―― 忍「……こ、ここはパスで」 加蓮「危ないとこに行ったなんてバレたらどんだけ説教されることか……」 <テクテク <テクテク ――人通りの多い商店街―― 加蓮「ごめん忍。ちょっと疲れた」 忍「肩かそっか?」 加蓮「忍に頼るくらいならここでぶっ倒れてやるー」 忍「何そのプライド!?」 加蓮「あ、見てこれ柚子味の羊羹だって。柚に持って帰ったら面白そうっ」 忍「そのネタはアタシ達が毎回やってる」 加蓮「ちっ」 忍「そして柚ちゃんは毎回大げさにリアクションしてる」 加蓮「だって柚だし」 忍「よし。買って帰ろっと」 加蓮「柚がどんなリアクションしたか教えてね?」 忍「いや加蓮も一緒に見るんだってば」 加蓮「うーん」 <テクテク <テクテク ――宿泊しているホテル―― 加蓮「つっかれたー」 忍「アタシもちょっと疲れたな……今日はお互い、ぐっすり眠れそうだっ」 加蓮「寝れる寝れる。起きたらお昼だよ」 忍「新幹線って朝の10時だよね!?」 加蓮「今日は忍ん部屋で寝よっかな。それで忍に起こしてもらう」 忍「アタシはいいけど……どこで寝るの? 床で寝たら風邪を引くんじゃ」 加蓮「もちろん私がベッドを占拠して忍をその辺に転がす」 忍「逆! 普通は逆! 図々しいなあ!?」 加蓮「あはは、冗談冗談。それともベッドの占拠権を賭けて何かバトルでもしてみる?」 忍「……朝起きたら電話してあげるから、普通に自分の部屋で寝てよ」 加蓮「じゃあ私が起きたら忍を起こしてあげよう」 忍「でも加蓮って朝起きるの早いんじゃなかったっけ。柚ちゃんが言ってた気がする」 加蓮「こんだけ疲れてたら分からないよ。忍こそ、早起きしてジョギングしてるって聞いたけど?」 忍「アタシだって疲れてるし」 加蓮「まあ、お互い様ってことで」 忍「次にこういう時があったら――」 加蓮「ベッドを奪って忍を床に転がそう」 忍「……次にこういう時があったらツインルームにしてもらおっか」ジトー 加蓮「え? 枕投げしたいの?」 忍「どうしてそうなる!?」 |
掲載日:2015年11月9日
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