「岡崎泰葉、最大の課題?」
――事務所――
アホP(以下「P」)「ただいまー! 夕美、泰葉ー。いるかー?」 岡崎泰葉「…………」テクテク P「おっ、泰葉! ただいま! あのな、泰葉に1つ仕事を持って来――」 泰葉「…………」テクテクギュ P「!!??? やややや泰葉サン!? 何!? 何急にぎゅってしてきてんの!? え、泰葉サン!?」 泰葉「…………」スリスリジー P「すりすりからの上目遣いぃぃぃ!? ああああああああのええと泰葉様これはどうされて、どう、ど…………」 P「…………据え膳食わぬは男の!」 <ごちーん! 相葉夕美「はーっ、はーっ、な、何してるのかな2人とも!?」ガバッ 泰葉「あっ」 P「な、何をする夕美!」アタマサスリ 夕美「こっちのセリフだよ泰葉ちゃんに何させてんのPさん!? いつも冗談ばっかりだったけどホントにそういうことする人だとは思わなかったよ!」 P「待って待って夕美、いや夕美様! 違うんだ、俺じゃない!」 夕美「ミステリードラマの犯人ってたいていそう言うよね。えっと、警察の番号は……」ピッポッ P「スタアアァァァ――ップ! ……や、泰葉も! なんか言ってくれ!」 泰葉「…………」ウーン 泰葉「……あ、はい。何ですかPさん? ごめんなさい、少し考え事を……」 P「わー、考え事に夢中で周りに目が行っていない泰葉は可愛――」 夕美「あ、もしもし警察の方ですか? 実は今、」 P「何にもしてませんっ!!! 間違い電話です!!!」ツカミカカル 夕美「きゃ」 P「ぜー、ぜー」 夕美「……や、やだなぁPさん。ホントにかけてる訳ないじゃんっ♪」 P「お、お前さっき画面タップしてただろ……! こう、1、1、0、って3回タップしてたじゃねえか!」 夕美「あはは、あれは1、1、7ってやっただけだよ?」 P「時報っ!?」 夕美「それより、どうせPさんが変なこと言ったんでしょ? もー、泰葉ちゃんも。Pさんの言うことになんて付き合わなくていいよっ」 P「だから俺ホント何もしてねえんだって!」 泰葉「…………」ウーン P「ああまた考え事しちゃってるこの子……。おーい、泰葉ー? 泰葉ちゃーん? プロアイドルの泰葉さーん?」 泰葉「…………?」 P「いや、あのね? 相手が俺だからよかったもののああいうことは他の人にやっちゃ駄目だぞ? 野郎は単純なんだからちょっと優しくしただけでコロッと行くんだからな? いいか? 駄目だぞ?」 夕美「Pさんみたいにっ?」 P「そうそう俺みたいに年齢=彼女いない歴どっせーい! 何を言わすか!」 泰葉「そうなんですか?」 P「そこを的確に質問するのやめよう、泰葉……」 夕美「でも、ってことは泰葉ちゃんから? あの……泰葉ちゃん? 悩みがあるなら聞くよっ?」 P「ほんのちょっとでも俺への好意からって可能性は考えないのな、夕美……」 泰葉「悩み……悩みと言えば悩みです。実は――」 夕美・P「「実は??」」 泰葉「実は――」 泰葉「普通の女の子、という物がよく分からなくて……」 夕美「へっ?」 泰葉「これ、今日渡された台本なんです。ドラマの撮影の」 P「Sさんとこのか。見学したいんだけど忙しくてなー、仕事なんて滅んでしまえ」 夕美「お仕事が滅んだら泰葉ちゃんのドラマもなしになっちゃうと思うけど……」アハハ P「泰葉、どうだ、撮影は順調か?」 泰葉「撮影自体は順調です。ただ、渡された台本にこんなページが」パラッ 夕美「どれどれー?」 「私も、ずっとあなたの側に……」←普通の女の子らしく P「確か、なかなか学校に通えなかった女の子が学校に行って先輩に恋する、って話だったよな」 夕美「泰葉ちゃんがメインヒロインのドラマだよねっ!」 泰葉「はい。ただ、普通の女の子らしくというのが――」 P「くっそ今からでも相手の男役に事故が起きてオーディションやり直しにならねえかなぁ、そうしたら俺が行くのに」 夕美「いや何言ってるの!? Pさんはプロデューサーさんだよねっ!?」 P「実は泰葉がオーディションに出た次の日、俺も相手役のオーディションに出たんだ」 夕美「ホント何してんの!?」 P「追い返されたけどな! くそっ、やっぱ偽名と変装が必要だったか……! あの事務所め、人の顔を知っているからって!」 夕美「ちょっと前に演技の本を読んでたと思ったらそういうことだったんだ……」 泰葉「あの、Pさん」クイクイ P「おっとすまない。ええと、普通の女の子? だっけ?」 泰葉「はい。私、昔からずっと芸能界にいるから……普通の女の子というものが、よく分からなくて」 夕美「泰葉ちゃんって子供の頃からモデルしてたんだよねっ」 泰葉「はい」 夕美「うーん……クラスメイトを参考にしてみるとかは? ほらっ、泰葉ちゃんがアイドルってことを知ってる子もいるだろうし!」 泰葉「……その、あまり学校に行くことがないので、よく話す友達とかは……」 夕美「あ、そうなんだ……」 P「泰葉、やっぱ高校は行こうぜ? いや分かる、そりゃ分かるよアイドルが大切なのは。でもさ、やっぱ高校は重要だと思うんだ。卒業すればいいって考えも分からなくはないけど、こう青春とか――」 泰葉「私、できる限りPさんと一緒にアイドルをしていたくて。……だめ、ですか?」ジー P「いいですとも! 学校なんてクソ食らえだ!」 夕美「…………」ジトー P「お、俺は悪くない」 夕美「うーん。普通の女の子かー……藍子ちゃん達もアイドルだから普通とはちょっと違っちゃってるし……」 夕美「……あれ? ところで、なんで普通の女の子について分からなくなったらPさんに抱きつくってことになったの?」 泰葉「それは……ドラマの台本も同じような内容で。試しにやってみたら何か分かるかと思いました」 夕美「そっか。どうだったっ? こう、ドキドキしたり……?」 泰葉「なんだか、心がほっとしました。Pさんの温かさがあって……♪」 夕美「そ、そっか。なんだか聞いてるだけでこっちがドキドキしちゃうね……」テレテレ P「…………」モジモジ 夕美「……なんでPさんまでモジモジしてるの?」 P「俺、こういう話、耐性、ない」 夕美「カタコトになるくらいなんだね……。普段はあんなに嫁だとか可愛いだとか言ってるのに」 P「それとこれとは別、俺、思う」 泰葉「あ……もしかしたら、ドラマのヒロインも同じ気持ちなのでしょうか」 泰葉「好きな人に抱きつくと、温かくてホッとする……そういう気持ちなのかもしれませんね」 夕美「あっ、解決しちゃった感じ?」 泰葉「はい。何か、見えた気がします。ありがとうございます、Pさん、夕美さん」ペコッ 夕美「ううんっ♪ 撮影頑張ってね、泰葉ちゃん! 私も応援しに行くよっ」 泰葉「ふふっ、楽しみにお待ちしております」 P「俺、行く、泰葉、アイドル」 夕美「Pさんはそろそろ復活しよっか」ネコダマシッ P「はっ! あ、あれ? 俺もしかして寝てた? うわぁ恥ずかしい、夕美と泰葉がいるところでうたた寝とか!」 夕美「あははっ♪ ……あれっ?」 夕美「Pさんに抱きついて、恋するメインヒロインの気持ちが分かるって……それって、泰葉ちゃん、Pさんのことが好きって言ってるようなものなんじゃ……」 P「」プシュー 夕美「だ、駄目、駄目だよ泰葉ちゃん! 相手はプロデューサーさんだよ! 泰葉ちゃんはアイドルだよ!?」 泰葉「私、Pさんのこと普通に好きですよ?」 P「」ボンッ 夕美「Pさんが爆発したー!? や、泰葉ちゃん泰葉ちゃん、その、もうちょっと、もうちょっとだけ考えよ? Pさんだよ!? もうちょっと真剣に考えていいと思うな!?」 泰葉「…………?? アイドルとして、素晴らしいプロデューサーさんを好きになるのは普通だと思いますが……」 夕美「へっ?」 泰葉「いつもお世話になっていますから。ありがとうございます、Pさん。……ふふっ、改めてお礼を言うとちょっと照れちゃいますね」フフ 夕美「あ、うん、そっちか。……そっちかぁ」 P「」ポスポスポス |
掲載日:2015年11月3日
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