「おふたりとも、長期ロケお疲れ様ですっ by藍子」






喜多見柚「先手は柚! じゃーんっ!」
高森藍子「これは……うに、ですか?」
柚「うに!」
北条加蓮「……なんか微妙に動いてない?」
柚「触るとうねうね〜って動くんだって。地方ロケの時に買っといたんだっ」
藍子「は、はあ」
柚「……柚スベった?」
加蓮「大転倒だね」
柚「ぐわーっ」

加蓮「じゃあ次は私。はいこれ、「激辛の挑戦」シリーズ第5弾、題して人の物とも思えない唐辛子」
柚「うわっ、赤い。これ赤いよ加蓮サン! 食べたらファイアーとか吐けるかなっ」
藍子「待ってください待ってください! 私、辛いのは苦手だっていつも言ってますよね!?」
加蓮「藍子」
藍子「は、はい!」
加蓮「何事も、挑戦だよ」
藍子「いいポーズされても無理な物は無理ですっ。前だって、挑戦したら一口でもう無理だったもんっ」
柚「おー、藍子サンはチャレンジャーだ」
加蓮「まあその後、どうしても無理って言うから私が代わりに食べたんだけどね」
柚「加蓮サンもチャレンジャーだったっ」
加蓮「そしてその後、そこにいた全員からそれって女の子としてどうなのかという視線を受けました」
柚「おおう……。加蓮サンの乙女じゃない姿はあまり見たくないカナ」
藍子「……どうするんですか、これ」
加蓮「好きそうな人にでもあげちゃっていいよ」
藍子「じゃあ、加蓮ちゃんには悪いですけど、そうします」

柚「気を取り直して第2ラウンド! 次はねー、これっ。おみやげの定番、木刀!」
加蓮「おー」
藍子「温泉街とかでよく見ますよね」
柚「ささっ、遠慮せずにどうぞっ」
藍子「わっ。見た目より重たいんですね、これ」
加蓮「へー、様になってるじゃん。次の仕事は女剣士役かな?」
藍子「そ、そうですか?」
加蓮「ちょっとポーズ取ってみてよ」
藍子「はいっ。――すぅ」
柚「お、おおお」
藍子「『高森藍子、参ります。とやーっ!』……ど、どうでした?」
柚「藍子サンかっこいい! これは柚もナイトとして負けてられませんなぁ」
加蓮「前にLIVEロワイヤルでやったんだっけ。見たけどカッコ良かったよ」
柚「やたっ」
加蓮「藍子と言えば魔法使いってイメージがあったけど、剣士もいいね」
藍子「ありがとうございますっ」

柚「ふふふ、加蓮サン、これはアタシが大幅リードですかな?」
加蓮「ふふっ、ナメちゃ駄目だよ。私が用意したのは……これだっ!」
藍子「これは……マグカップ?」
柚「あ、柚これ知ってる! 『猫じゃら島』のおみやげだよねっ」
加蓮「猫ばっかりいる島のね。TVロケで行ったんだけど、藍子に似合うと思ってさ」
藍子「これ、マグカップに猫さんの足あとがプリントされているんですね。かわいい……♪」
柚「むー、加蓮サン、ずっこい!」
加蓮「相手の趣味嗜好に合わせて立ちまわるのはプロとして常識だよ、常識」
柚「はやっ、加蓮サンがプロの眼差しだ! どうやったらできるんだろう、むむむむ、こんな感じ?」
藍子「……ゆ、柚ちゃん? あの、私の顔をじーっと見て、何かついてます……?」
加蓮「はい残念でした」
柚「ぎゃふん!」
加蓮「このマグカップの足あとってね、商品によって違うんだ。実際に猫に足跡をつけてもらってプリントするんだって」
柚「おーだーめいどってヤツですな!」
加蓮「あー、うん、ちょっと違うかもしれないけど、そんな感じ」
藍子「すてき……ありがとうございます、加蓮ちゃん!」
柚「ぐぬぬ、このままだと柚は負けちゃうっ。柚は今月ピンチなのですよ、加蓮サンのオニー!」
加蓮「いや別にたかるつもりはないし想像で勝手に鬼にしないでもらえる?」
藍子「そうですよ柚ちゃん。加蓮ちゃんはどっちかっていうと、悪魔さんの方ですっ」
加蓮「……フォローになってないし普段アンタがどういう目をしてんのかよーく分かったわよ」
藍子「あ、ち、違うんです、今のは小悪魔って意味でっ。ほらっ加蓮ちゃん意地悪だから!」
柚「うんうん、加蓮サンはイジワルだよねー。柚知らないケド」
加蓮「そこの天然ボケはほっとくとして、はい次、柚の番だよ」
柚「むむっ、よかろう加蓮サン、その挑戦、この喜多見柚が受けて立ってしんぜよう!」
加蓮「何キャラだ」

柚「柚のとっておきは……これだーっ!」
加蓮「……」
藍子「……」
柚「……」ドヤア
加蓮「……いやこれただのメイド服だよね」
柚「…………ネタ切れですっ……!」
加蓮「あちゃー」
藍子「これ、どこから持ってきたんですか? なんだか見覚えがあるような」
柚「うん、これね、穂乃香チャンが使ってたヤツなんだ。なんとなく持ってきてみたっ」
加蓮「しかも使い回し……」
柚「藍子サンに似合うと思ってっ。どうかな、どうかなっ」
藍子「え、ええと……その、前に菜々さんにメイド服を選んでもらったから、その……い、今はいいかな、なんて」
柚「うわーん!」
加蓮「ドンマイ。まあそういうこともあるって」ポンッ
柚「加蓮サンが余裕の笑み! オトナだ! でもなんかやだっ」
加蓮「ふふっ」
柚「む、むーっ。あんまりじっくり見ないで、柚照れちゃう」キャーキャー
加蓮「はいはい。これはもう私の勝ちで決まりだね」
藍子「加蓮ちゃんはあと1つ、何を持ってきてくれたんですか?」
加蓮「うん。はいこれ、『ゴシックロリータ服』」
柚「発想が柚と大して変わらない!?」
藍子「……あー」
加蓮「甘い、甘いよ柚。藍子にメイド服なんて誰もが思いつく道。現にあのにじ……じゃないや、ウサミン星人ですら辿り着く発想だからね。ここは1つ、同じ衣装でも意外性を持たせなきゃ」
柚「ぐ、ぐぬぬ」
加蓮「想像してみてよ。これ、藍子が着たらすごくかっこよくなると思わない?」
柚「確かにっ! オトナっぽい藍子さんがもっとオトナに!」
加蓮「今の藍子には足りていないアダルトな雰囲気もバリバリだよ」
柚「バリバリに!」
加蓮「もうこれはファン爆増だね。遠いところに行っちゃうね。今からサインをもらわないと損するね」
柚「アタシ色紙取ってくるっ」
藍子「あ、あの!」
加蓮「ん?」
柚「お」
藍子「ええと、その、あのね? そのー……ご、ごめんなさい加蓮ちゃん、私、これも、持ってて」
加蓮「……は?」
柚「およっ」
藍子「前に美穂ちゃんが蘭子ちゃんからもらって、そうしたら私に貸してくれて、ええと、今は私のタンスの中で……それに美穂ちゃんは蘭子ちゃんから2着目をもらっていたみたいだから、その、だから、……ね?」
加蓮「……」
柚「……」
加蓮「…………」
柚「…………」
藍子「……ご、ゴメンナサイ」
加蓮「……ぷっ」
柚「あははっ」
加蓮「なーんだ、じゃあ引き分けだね」
柚「勝負は次回に持ち越しっ。またやろうね加蓮サンっ」
加蓮「次こそは藍子の持っていない物を持ってこなきゃ」
柚「柚も!」
藍子「あ、でも、木刀とマグカップはすごく嬉しかったから……ありがとうございますっ♪」
柚「いいってことよー」テヘテヘ
加蓮「言ってることと顔がぜんぜん違うよ、柚。ふふっ」

柚「で! 藍子サンはなにかないのカナ?」
藍子「え。……え、だって、これ、加蓮ちゃんと柚ちゃんがおみやげを持ってきてくれるってお話」
加蓮「ほー、もらうものだけもらっといてさよならするって? さすが藍子、魔女だね。悪女の魔女」
藍子「え、違、私そんなつもりはっ」
加蓮「あーあ、私、長期ロケから帰りながら、藍子がどんな喫茶店に連れて行ってくれるかなってずっと楽しみにしてたのになー」
藍子「えええっ」
柚「これはもう……おしおきだーっ」
藍子「え、えっと、あの、つ、次の時までにはたくさん見つけておきますから、そのっ」
加蓮「柚。やっちゃえ」
柚「あいあいさー!」
藍子「待って、ちょっと、待っ――ひゃあああああああっ!」



掲載日:2015年6月1日

 

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