「衣替えとデートの季節っ」
――事務所の仕事部屋――
北条加蓮「おはようございまーす」 <じゃあ今回は、あずきの衣替え大作戦っ♪ <あっそれ面白そう! アタシも新しい衣装が欲しいな! 加蓮「おー……」チラッ 高森藍子「おはようございます、加蓮ちゃん♪」 加蓮「おはよ、藍子。あ、そのオーバーオールもう引っ張りだしたんだ」 藍子「はいっ。今日、外に出たらすごく寒くて……ついタンスから。どこにあるか分からなくて、探すの苦労しちゃいました」 加蓮「ホント、急に寒くなったよね。私もほら、見て見て。カイロ持ってきちゃった」 藍子「わぁ……。今年もこういうのが恋しくなる季節になりましたね」 加蓮「だね。そろそろストーブを出さなきゃ」 藍子「あ、私の家はもう、先週末に出しちゃったんです」 加蓮「そなの? じゃあ私も、お母さんに出してもらうように頼んじゃお」 加蓮「それに本格的に衣替えしなきゃね。流行りの冬服、まだあるかなぁ」 藍子「でも加蓮ちゃん、冬服はいっぱい持っていませんでしたか? ほら、いろいろな方からもらってるって、前に聞いたような……」 加蓮「うん。持って"た"よ」 藍子「え?」 加蓮「(小声)……ほら、柚にぜんぶ破壊されちゃったし」 藍子「(小声)あ……」 加蓮「まぁそんな訳でまた柚と買いに行くつもり。即興でお母さんが買ってきたんけど微妙にダサくてさー、でも学校とかアイドルとかで忙しくてなかなか行けなくて」 藍子「ふふっ♪」 加蓮「今ちょっと柚がLIVE控えてて忙しいって言うから……そうそうこの日。藍子も一緒に行く?」 藍子「その日は確か……午前はお仕事なので、午後からでよければ」 加蓮「お昼の方が暖かいし私もその方がいいよ。じゃ、一緒に行こっか」 藍子「はいっ♪ 加蓮ちゃんとお買い物なんて久しぶりだから、すっごく楽しみです!」 加蓮「ふふっ。藍子に似合いそうな服、いっぱい探そっと」 藍子「えーっ。加蓮ちゃんの服を探しに行くんじゃないんですか? 私、いっぱいコーディネートしてあげますねっ」 加蓮「いやいや、私より藍子の方が」 藍子「加蓮ちゃんの方ですーっ」 <新しい衣装! あずきも欲しいっ。みんなでお揃いの! <フリルドスクエアお揃い衣装、第……何弾だっけ? 加蓮「……で、あっちのプロデューサーさんはなんでカメラ回してる?」 藍子「フリルドスクエアで、イメージビデオを撮るそうなんです。普段の事務所でどういう風に過ごしているのか、ファンの皆さんにお見せしたいって」 加蓮「そっか」 藍子「加蓮ちゃんも撮ってきてもらいましょうよ♪」グイグイ 加蓮「いや私フリルドスクエアじゃないし。……ネタに困ったらプライベート暴露するのってどうなのよ」 藍子「そ、そういうのじゃないと思いますけれど……」アハハ 加蓮「そおかなー」 藍子「ほら、柚ちゃんのことが好きな方々は、きっといろいろな柚ちゃんを見たがっていますから。私だってそうですよ?」 加蓮「藍子も?」 藍子「はいっ。柚ちゃんのプロデューサーさんも、そういうことを言ってました」 加蓮「そっか」 加蓮「…………」 加蓮(…………ん?)チラッ <6弾? 7弾だっけ? 穂乃香ちゃんが詳しいから聞いてみよう! <よーし、穂乃香チャンに聞いてみよう大作戦、開始だね! <あっそれあずきのパクリ〜 加蓮「……ま、いっか。そういえば藍子、冬服の話なんだけどさー」 藍子「はいっ、何ですか?」 <ワイワイ <ワイワイ ――同日夕方 賑やかな街中―― 喜多見柚「あっ、あそこ! いつもアタシが食べてるクレープ屋サン! 加蓮サン加蓮サン、寄ってこっ」 加蓮「前に柚と来たところだね。で、お財布はどっちが」 柚「加蓮お姉様〜」ゴロニャーン 加蓮「だよねー。鬱陶しいから離れなさいっ」グイ 柚「きゃうっ」 加蓮「もー。すみませーん。ビターチョコと……柚は何?」 柚「ブルーベリーっ!」 加蓮「で、お願いします。はーい。……珍しいね、柚がこういうの食べるなんて」 柚「たまにはオトナっぽく。柚だってれでぃーだっ」 加蓮「ブルーベリーを食べたらレディーって言えるのか……?」 柚「うまーっ。加蓮サン加蓮サン。あーん♪」 加蓮「あーん」 柚「どお? どお?」 加蓮「……………………柚」 柚「うんっ」 加蓮「チョコとブルーベリーは混ぜちゃ駄目だ。辛党への暴力にしかならない」 柚「だめだったかーっ。あむあむっ。あれっ? ねえねえ加蓮サン加蓮サン、あれ」クイクイ 加蓮「今度は何を見つけたの?」 柚「アレ、菜々サンじゃない? おーい、菜々サーンっ!!」ブンブン <ミミン!? 加蓮「ああ、菜々さんだね。……って柚! 街中でアイドルの名前を叫ぶな!」 柚「え?」 加蓮「そんなことしたら――」 <なな? <菜々さんって、あのメイドアイドルの? <あっ、あのメイド服じゃないか!? <あれはまさしくあべななさんじゅうななさい! <ウサミンキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 安部菜々「誰がさんじゅうななさいじゃー! ナナは17歳ですよ、現役JKですじぇー・けー!」 加蓮「アンタも何叫んでんの馬鹿! ……ああもう騒ぎになりだしてる! 柚、菜々さん、走るよ!」 柚「は、はいっ」 菜々「え、あ、ちょっと待ってくださいよ加蓮ちゃん!」 ――街外れの静かな道―― 菜々「ぜーっ、ぜーっ……」 加蓮「ハァ、ハァ、こ、ここまで来ればへーき、よね……」 柚「ふうっ。アイドルだってバレて思いっきり走るなんて、すっごくアイドルって感じ♪」 加蓮「そりゃアイドルだからねぇ……!」 菜々「き、急に走ったから、息、息が、ゲホッ」 加蓮「…………ハァ」 柚「菜々サン菜々サン! これ、クレープなんだけど食べる!?」 菜々「それじゃあちょことだけ……おおお! 美味しいっ! 柚ちゃんこれどこのですか!?」 柚「へへっ♪ さっきの道のね、いつもやってる露店のなんだ。場所は……えーと……加蓮サンっ場所どこだっけ!?」 加蓮「反省してんのかこの2人……?」ヒクヒク 菜々「ああ、なんとなく見当つきましたよ! 今度また食べてみますね♪」 柚「うんうんすっごくオススメ! 菜々サンもきっとやみつきだっ」 菜々「ところで2人は今日は?」 加蓮「お仕事帰り。たまたま柚と一緒になってさ」 柚「加蓮サン優しいんだよ! アタシにクレープおごってくれたっ」 菜々「ほうほう」ニヤニヤ 加蓮「……何」 菜々「いえいえ。いいお姉さんですねぇって思っただけですよ。藍子ちゃんに嫉妬されても知りませんよ?」 加蓮「なぜここで藍子の名前が出てくる……。そっちは?」 菜々「ナナは……って、ギャー! ナナ、メイドカフェの宣伝してる途中でした! あ、2人ともよかったらこれを!」つチラシ 加蓮「ああ、それでメイド服なんだ」ウケトリ 柚「へーっ、ここが菜々サンがメイドしてるとこなんだ! 今度みんなに教えてあげよーっと」ウケトリ 菜々「で、できればお手柔らかに〜! それじゃあナナは宣伝に戻りますね! 1人でも多くの人、いえっ、ご主人様とお嬢様を癒やさなきゃ!」 <また事務所でー! 加蓮「行っちゃった」 柚「そっかー、菜々サンはメイドサンだったよねっ。すごいなー」 加蓮「うん。アイドルやりながらだもんね……どこにそんな体力あるんだか」 柚「菜々サンはすごいなー……」 加蓮「…………柚」 柚「あ! あはっ、大丈夫♪ もー、もー、加蓮サンは心配性なんだからっ♪」 加蓮「私を心配性にさせるだけのことやっただろーが、アンタ」 柚「柚は昔を思い出さない! ささっ、加蓮サン姫。お城に帰りましょう♪」サッ 加蓮「城って。じゃ、帰ろっか」 柚「うんっ」 |
掲載日:2015年10月17日
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