「暑いから、暑くなろう」






――事務所――
藍子「暑いですねえ……」
加蓮「暑いね……」
藍子「こうも暑いと、なかなか外に出られなくなっちゃいます……」
加蓮「なんか意外。藍子ならこんな暑さでもてくてく歩いてそうだけど」
藍子「ちょっと厳しいです……」
加蓮「何か涼める方法があるといいんだけどね」
藍子「あ、そうだっ。アイスとかはどうですか? 今なら美味しく食べられそう♪」
加蓮「お、いーね。藍子、買ってきてよ」
藍子「えー。たまには加蓮ちゃんが行ってきてくださいよ」
加蓮「む。体力ない子に炎天下を歩かせるつもり?」
藍子「たまには私がお願いしてもいいと思うんです」
加蓮「だからこそ今回も藍子にお願いしてるんだけど」
藍子「むー」
加蓮「うー」

菜々「あ、2人とも、ここにいたんですか」
加蓮「ん、探してた?」
菜々「たいした用事はないんですけどね。いやあ暑いですねぇ。さすがのウサミンも参りましたよ」
加蓮「外回り?」
菜々「挨拶回りですよ」
藍子「お疲れ様です、菜々さん。タオルとお飲み物、持ってきますね」パタパタ
菜々「いつもありがとうございます、藍子ちゃん!」
加蓮「……うっわ。私がアイス買ってきてって言った時にはさんざん渋ったのに」
菜々「そりゃ誰でも渋りますよ……」
藍子「お待たせしました。はい、菜々さん。加蓮ちゃんも、よければどうぞっ」
菜々「感謝感激雨あられです!」
加蓮「ありがと藍子」
藍子「さすがに、アイスを買ってくるのは無理ですけど……」
加蓮「ちぇ」
菜々「ごくごくごくごくぷはーっ! そんなに言うなら、加蓮ちゃんも一緒に行ってあげたらいいじゃないですか」
加蓮「えー、アイドルだよ? コンビニに行くだけでも騒ぎになっちゃうよ?」
菜々「いや藍子ちゃんもアイドルなんですケド。ごくごくごくごく」
加蓮「ごくごく……にしても、ホント暑いよね。なんにもやる気が起きないよ」
藍子「扇風機、探してみようかな……?」
菜々「お二人とも情けないですねぇ。それでもアイドルですか?」
加蓮「うっわ、すぐバテる人がなんか言い始めたよ」
藍子「うう、暑いものは暑いんです」
菜々「むむむ。ナナ前々から思っていたんです。暑いからクーラーをつけるだの扇風機に頼るだの! 最近の若い人は情けないって!」
加蓮「…………えー」
菜々「そこで2人に提案があります! 今日の夜、空いていますか?」
加蓮「私は空いてるけど……。藍子は?」
藍子「私も、そんなに遅くならないなら」
菜々「それならナナについてきてください! とっておきの場所にご案内しますね!」

――某有名なスパワールドのサウナルーム――
加蓮「…………馬鹿だ、本物の馬鹿がここにいる」
菜々「暑いならもっと暑くなれ! ってPさんが言ってたので来てみたんですが、ついハマっちゃって」
加蓮「だから、そういう根性系は私のキャラじゃないんだって」
菜々「それにここ、美肌効果も抜群らしいですよ。3歳、いえ5歳の若返りも夢じゃない!」
加蓮「12歳にでもなりたいの?」
菜々「12歳ってことは(ピーッ)年前ですねえ。その頃といえば――」
加蓮「おかしいよね? 17歳の(ピーッ)年前って言ったら(バキュン)歳だよね?」
菜々「……じ、(ピーッ)年前は、ナナは(ドドドド)歳でした。ウサミン星の(アチョー)に(ミミミン)してました」
加蓮「ん、よろしい。……ところでさ、アレ」
菜々「? ……ああ、ええと」

藍子「にゃぅ……にゃう? あは、加蓮ちゃん、どうしたんですかぁ……?」

加蓮「…………」
菜々「…………」
藍子「そんなにじいっと見ても、なんにもでませんよお?」
加蓮「……ねえ、確かパッションの女子寮ってサウナルームあったよね」
菜々「……ほら、藍子ちゃんは実家組ですから。ナナと同じで」
加蓮「実家」
菜々「あ、も、もちろんウサミン星ですよ?」
藍子「にゃぅ?」
菜々「なんだかお酒に酔っているって感じがしますねえ」
加蓮「どうしよう。可愛い」
菜々「や、真顔で言われても」
藍子「えへへぇ」
加蓮「わ、ちょ! 汗だくでひっついてくんなっ!」
藍子「加蓮ちゃんだぁ。私の大好きな加蓮ちゃんだあ」
加蓮「私のことが好きなら離れろ!」
菜々「おお……これが今の若者の間で流行っている『キマシタワー』ってヤツですか」
藍子「すりすり……えへぇ」
加蓮「離れ……はぁ、まあいいや」
菜々「あれ、今日は大人しいんですね加蓮ちゃん」
加蓮「たまにはね……」
藍子「すりすりー」
加蓮「……我に返った時に顔を真っ赤にするがいい」
菜々「加蓮ちゃんが悪い顔してる……!」
藍子「えい」モミッ
加蓮「ひゃうっ!?」
菜々「おお!?」
藍子「んむー、私と同じ身長でー、体重なのにー、なんでこんなに違うんですかもー」モミモミッ
加蓮「し、知らないわよ! さすがにそれは駄目だってば、コラ!」
菜々「な、ナナなーんにも見てません。見てませんからね!」
藍子「加蓮ちゃんががんばってるから、私まで、気にしちゃうじゃないですかあ。もー」
加蓮「……」
藍子「加蓮ちゃんのばかあー」
加蓮「……決めた。週1くらいでここに連れてくる」
菜々「加蓮ちゃんは優しいですねえ」
加蓮「菜々さんのオゴリで」
菜々「なんで!?」
藍子「ばかー」

……。

…………。

――お風呂あがり――
藍子「…………………………ゴメンナサイ」
加蓮「ごくごく。わ、ホントだ。コーヒー牛乳すごくおいしい」
菜々「でしょっ! 銭湯上がりのコーヒー牛乳って昭和時代の良き伝統ですよね!」
加蓮「お母さんかな?」
藍子「………………あの、加蓮ちゃん、その」
加蓮「ん? あれ、藍子、コーヒー牛乳を買ってないの? 美味しいよ、これ飲む?」
藍子「…………うん」チビチビ
菜々「加蓮ちゃんはお姉さんって感じですね」
加蓮「妹の悩みを聞くのも姉の努めでしょ」
菜々「加蓮ちゃん的にはナナは何になりますか?」
加蓮「え? 近所の話が長いババア」
菜々「あーっ! あーっ! いけないこと言ったぁ! その言葉はウサミン星の法律で禁止されてるんですからね!」
加蓮「ちょ、こらこら、牛乳瓶で殴られたら私でも死ぬって」
藍子「…………うう」
加蓮「いっそ事務所に置いてあるお酒でも飲ませてみるとか」
菜々「あ、それいい……よくないですよ! ナナは17歳ですし加蓮ちゃんは未成年!」
加蓮「17歳(週末に居酒屋で一杯)」
菜々「そうなんですよ〜、仕事終わりの一杯をこうくいっとやって、この為に仕事をやっているんだ! なんて……ってPさんがね? Pさんが言ってたんですよ、困っちゃいますよね〜ナナまだお酒なんて飲めないのに」
藍子「あ、あの、加蓮ちゃん」クイクイ
加蓮「藍子」
藍子「は、はい」
加蓮「藍子はどこ所属? こういう時こそ言おうよ」
藍子「……パッション、です」
加蓮「言い張らないと、菜々さんにその立場を持っていかれるよ?」
菜々「それどういう意味ですかね!?」
加蓮「え? 菜々さんって頭がパ……パッションアイドルじゃなかったっけ」
菜々「誰の頭がパッションだぁーっ!」
藍子「私はパッション、私はパッション……はいっ、私はパッション、ですっ」
加蓮「ん。また行こうね、サウナ」
菜々「サウナと言えばパッションアイドルの特権ですよね!」
藍子「はいっ。次はフラフラにならないように、頑張りますね♪」
菜々「また一緒に来ましょう。お肌もツルツルピカピカですよ!」
加蓮「や、私まだ16歳だし」
菜々「なんでそれわざわざ言うんですかねぇ! ああもう、藍子ちゃんへの優しさをちょっとだけでいいのでこっちにも向けてくださいよーっ!」



掲載日:2015年5月27日

 

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