「誕生日の次の日」





加蓮「案外、さっぱりしてるもんだね」
菜々「? なにがですか?」
加蓮「や、誕生日が終わった訳だけど、いつも通りの菜々さんだなって」
菜々「それはもちろんですよ! ナナもプロのアイドルですからね! こういうのは切り替えが大切ですからっ!」
加蓮「はー、さすが菜々さん」
菜々「人生経験豊富ですからね……ハッ!」
加蓮「ごめん、導火線が遠すぎて今のは分かんなかった」
菜々「加蓮ちゃんは、12月から『あけましておめでとう』って言うことにいつ慣れましたか?」
加蓮「うーん、割とすぐ慣れたかな。表情を作るのは得意なんだ」
菜々「それは加蓮ちゃんの人生経験があってのことですよ。それと同じです!」
加蓮「で、私は何も言ってないんだけど」
菜々「き、キャハッ☆」

加蓮「ちょっと自信がないことがあるんだけど」
菜々「なんですか?」
加蓮「昨日の誕生日プレゼント」
菜々「自信がないなんて。ナナはすっごく嬉しかったですよ!」
加蓮「考えすぎかなー。ほら、菜々さんはプレゼント渡された時に泣きまくってたけどさ」
菜々「そ、そのことは忘れてください……」
加蓮「それってたぶん、プレゼントを渡されることが嬉しかったんだろうなって」
菜々「とっても嬉しかったですよ! この歳にもなってお祝――」
加蓮「いちいち自爆されると話が進まないからストップね」
菜々「うう、めんぼくないです……」
加蓮「だからさ。悩みすぎてたことが、ちょっとアホかなって」
菜々「そんなことないですよ。だって藍子ちゃんが言ってましたよね、いっぱい悩んでくれたって」
加蓮「まあね……」
菜々「ナナとしては、その気持ちがすっごく嬉しいですよ!」
加蓮「そっかー」
菜々「それに、ちょっと意外だったんですよ? 加蓮ちゃんがプレゼントをくれたこと」
加蓮「え、私ってそんなに冷たく見える?」
菜々「いえいえそうじゃないです! ほら、前に加蓮ちゃん、誕生日が嫌いって言ってたじゃないですか」
加蓮「あー」
菜々「だから、プレゼントをもらえてナナはすっごく嬉しかったですよ!」
加蓮「あ、だから神経質になりすぎてたかも。今、自分で思った」
菜々「加蓮ちゃんの誕生日の時は期待しててくださいね!」
加蓮「……90年代のグッズとか渡されても反応できないからね、私」
菜々「う、ウサミン星は今レトロブームですからね! これを機に加蓮ちゃんにも知ってもらおうと」
加蓮「菜々さんに聞いたら詳しくなれそうだね」
菜々「バーコー◯バトラーの必勝法でもゴイスーなおまじないでも何でも教えられますよ!」
加蓮「……地雷原を猪突猛進されるくらいなら自分で調べるよ、うん」

加蓮「菜々さんって、ホントにそれが素なんだ」
菜々「な、ナナは何もウソついてませんよ? ホントですよ?」
加蓮「別に嘘つきって言ってないし……それに、嘘をつくことと素であることは関係ないでしょ」
菜々「?」
加蓮「奈緒と……あと藍子だったかな。私といると、変に身構えなくて済むって」
菜々「ああ、なんだか分かる気がします」
加蓮「だから菜々さんも……って思ったけど、いつもPさんに接するように話してくるからさ。そっかー、って」
菜々「加蓮ちゃんはいろいろ考えるんですね」
加蓮「そういう生き方だからね」
菜々「ナナはもう、1日1日のことでせいいっぱいで」
加蓮「目の前のことに一生懸命になれるっていいじゃん。私は羨ましいな」
菜々「そ、そうですか? 照れちゃいますね〜」
加蓮「でも菜々さんって、演技とか苦手そう」
菜々「あー、Pさんからもよく言われます」
加蓮「ドラマ撮影の仕事とか来ないでしょ」
菜々「あ、アニメのアフレコなら……」
加蓮「クリスマスメモリーズでドラマ撮るとか面白いかなーって思ったけど、ドラマじゃなくてドキュメンタリーにしかなりそうにない」
菜々「その悪い顔が、とっても嫌な予感がするんですけど」
加蓮「今度、私のラジオにでも来てみる? 何があっても割と許される場所だし」
菜々「諦めたらそこで試合終了ですよ!」
加蓮「スラダン?」
菜々「あ、通じてよかったです……ホッ」
加蓮「どうだろ……奈緒がよくネタにしてるから、たまたま私が知ってただけかもしれないし」
菜々「……そのー、ぶっちゃけた話、最近ってどんなマンガが流行ってるんですかね?」
加蓮「いろいろやってるからねー、これだ、っていうのはないかも。マンガもアニメも」
菜々「あー、昔からアニメはたくさんやっていますからね。学校に行ってた頃はアニメを見るのも大変……い、今も学生ですけどね?」
加蓮「……なんか藍子とは違う意味で調子が狂うなぁ」

加蓮「そういえば次の誕生日って誰になるんだろ」
菜々「うちの事務所だと……頼子ちゃんでしょうか」
加蓮「18日だっけ。んー……話したことないなぁ」
菜々「ナナもですね」
加蓮「よく話す子で近いって言ったら……駄目だ藍子しか思いつかない」
菜々「輝子ちゃんが6月じゃなかったですっけ」
加蓮「CD同期組って言ってもなかなか話さないからねー。どうしても奈緒とよくつるむもので」
菜々「でも『毒茸伝説』歌ったじゃないですか」
加蓮「……」
菜々「ナナは何も言ってませんよ! キャハッ☆」
加蓮「他人の地雷はすぐ回避できるのに自分の地雷を踏みまくるのってどうなのよ」
菜々「き、キャハ……」
加蓮「いや地雷とかでもないけどね? もう2度とやらないってだけで」
菜々「ナナがやったらぶっ倒れそうですねー」
加蓮「そゆこと」
菜々「じゃあ、結局は藍子ちゃんの誕生日ってことになるんでしょうか」
加蓮「実は最初からそのつもりで話題を振ったんだよね、今」
菜々「加蓮ちゃんの恐ろしさを垣間見ました……!」
加蓮「それ昨日も言ってなかった?」

藍子「おはようございます〜」
加蓮「あ、来た。おはよー藍子」
菜々「おはようございますっ! 今日も元気にウッサミ〜ン♪」
藍子「うっさみ〜ん♪ 何のお話をしていたんですか?」
加蓮「ん、藍子の誕生日のサプライズプレゼントについて」
藍子「なるほどー、私の誕生日の……え?」
加蓮「抱きまくらとスニーカーのどっちで驚かせよっかなーってところまで話した」
藍子「そ、それってサプライズになるの……?」
菜々「え、そんな話してましたっけ」
加蓮「ダメだよー菜々さん、空気読まなきゃ」
菜々「あっ! な、ナナ失敗っ☆」
藍子「あはは……。あの、菜々さんはそろそろ、バラエティ番組の収録のお時間では」
菜々「え? わあっ、もうこんな時間!? Pさんに叱られるぅ!」
加蓮「恐るべし藍子。遠距離魔法まで使えるとは」
藍子「さすがに私のせいじゃないですよね……?」
菜々「こうしちゃいられませんっ! 急いで準備を……うん! ナナ、行って来ますっ!」
加蓮「はーい、行ってらっしゃーい」
藍子「頑張ってくださいね〜」
加蓮「今日こそ永遠の17歳(笑)とか言われないようにねー」
菜々「任せてください! ナナはプロですから!」
(バタン!)
加蓮「……」
藍子「……」
加蓮「……ツイッターで『wwwww』って言われるにジュース一杯」
藍子「わ、私は逆に賭けてあげよっかな……」



掲載日:2015年5月16日

 

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