加蓮「で、実際のところ何歳になったの？」
菜々「ナナは１７歳ですっ！」
加蓮「菜々さんがそれでいいならいいんだけどね。ユニット組んでる以上、手伝えることがあるなら手伝いたいんだけど」
菜々「その"さん"付けも！　前は菜々ちゃんって言ってくれてたじゃないですか」
加蓮「あれはユッコがいたからね」
菜々「加蓮ちゃんの恐ろしさを垣間見た気がします……！」
加蓮「ふふん」

菜々「手伝うって言われても、加蓮ちゃんにも限界ってあるじゃないですか」
加蓮「まあ……そうだけどさ。ほら、口先だけは回る方だって自覚してるから」
菜々「確かに、加蓮ちゃんのトークはいつも面白いですね！」
加蓮「菜々さんがいたら盛り上がりも跳ね上がるよね。いい反応してくれるから」
菜々「……最近じゃすっかりコント芸人みたいに言われてますよ」
加蓮「ウサミン星にはそういうのないの？」
菜々「え、えーと、ウサミン星にはですね、その、あ、そうだ、年に１度だけ開かれる芸人の大会が……」
加蓮「"あ、そうだ"って」
菜々「う、ウサミン星にはいっぱいの秘密があるんですぅ！」
加蓮「……まあ、その方が面白いからいいんだけどね」

藍子「はぁ〜、疲れました……」
加蓮「お疲れー」
菜々「お疲れ様です！」
加蓮「……」
菜々「……」
藍子「あ、あれ？　２人とも、なんで私をじいっと……？　あの、なにかついてます？」
加蓮「……いや、藍子に体力で負けるのはまだいいんだけどさ。２Ｘ歳の人に負ける自分って何なんだろうなーって」
菜々「それ誰のことですかね！？」
加蓮「少なくとも藍子ではない」
藍子「あはは……」
菜々「やめてくださいよ！　ナナは１７歳なんですっ！」

加蓮「あ、先に言っとくけど、藍子は知ってるからね」
菜々「え」
藍子「あ、あはは……ええと、その、い、いつもお疲れ様です？」
菜々「……うわ〜〜〜ん！　気遣う目が痛い！」
加蓮「ちなみに私が教えた」
菜々「何してるんですか！」
加蓮「さて、そろそろ第二ラウンドいってみようかな」
藍子「もう大丈夫なんですか？」
加蓮「ん。いつまでも休んでる訳にもいかないから。ふふっ、菜々さん、一緒にやる？」
菜々「もちろんですっ！　加蓮ちゃんにも藍子ちゃんにもついていけるところを見せてあげますよ！　現役ＪＫですからね！　現役・Ｊ・Ｋ！」
加蓮「……こうやって大げさに言うから変なこと言われるのにね」
藍子「そ、そんなこと言ってあげないで」

加蓮「もーむり」
藍子「あ、お疲れ様です、加蓮ちゃん」
加蓮「藍子さ、私らの耐久レッスンずっと見てたでしょ。面白い？」
藍子「みんなでレッスンをすることも、あまりありませんから」
加蓮「だねー。なのにユニット仕事は入ってくる」
藍子「私は、加蓮ちゃんと菜々ちゃんとライブができて、すごく楽しいですよ？」
加蓮「……それ以上、私に言わせる？」
藍子「はい、次は加蓮ちゃんの番ですよ。どうぞっ！」
加蓮「ふたりとらいぶができてすごくたのしいです」
藍子「むー、加蓮ちゃんは今日も意地悪です」
加蓮「だって私だし。体力、回復した？」
藍子「はい。でも、菜々さんがまだやってるから……」
加蓮「一緒にやればいいのに。その方があっちもやる気が出るんじゃない？」
藍子「……それもそうですね！　じゃあ、行ってきます！」
加蓮「いてらー。……はー……１時間ももたないとか、ホントに……はぁ」

菜々「ぜ、ぜー、ぜー……」
加蓮「お疲れー。菜々さん、すごい顔になってるよ」
菜々「ち、ちょっとやりすぎちゃいました、キャハッ……☆」
加蓮「キレがないよーウサミン星人」
菜々「ごく、ごくごくごくごく、ぷはーっ！　あ゛ー、生き返るぅ゛ー……」
加蓮「セリフが既におっさんだね。ホントに２０代？」
菜々「最近はすっかり疲れてばかりで、自分でも老けた感じが……ハッ！　な、ナナはイケイケの１７歳ですから！」
加蓮「あーうんそうですね」
菜々「ついに敬語になりました！？」
加蓮「敬語で喋った方がいい？　年上だし」
菜々「ナナはＪＫですから気にしなくていいですよ、ＪＫですから」
加蓮「や、設定通りでも一応は先輩じゃん。私１６歳、菜々さん１７歳」
菜々「あ。……って、設定通りって何ですか！」
加蓮「そういえばＰさんが地酒の美味しい店がどうこうって言ってたけど、お酒ってそんなに味が違うの？」
菜々「それはもう！　味わい深いものから身にしみるもの、疲れた時に呑みたいものとか――ハッ！」
加蓮「…………早苗さんでも呼んでこよっかな」
菜々「わーストップストップ！　今ここに呼ばれるといろいろとマズイ！」
加蓮「飲み友達だって暴露されるから？」
菜々「ちーがーいーまーすー！」
加蓮「違うって言ってたって早苗さんに伝えとこ。きっとヘコむだろうなーあの人。最近は忙しくて呑み友達が減ったとかぼやいてたし」
菜々「ちょ、ちょおおおお！　……か、加蓮ちゃん、その、そろそろ勘弁してくださいマジで……」
加蓮「何を買ってくれる？」
菜々「うう、今月はちょっとピンチで……呑みの回数を減らさなきゃ……ハッ！」
加蓮「……私と関係なく自爆してんじゃん」

藍子「また加蓮ちゃんが意地悪をやっていたんですね」
菜々「そうなんですよ〜聞いてくださいよ藍子ちゃん、加蓮ちゃんってばひどいんですよ〜！」
加蓮「うん。まあ、私だし」
藍子「またそうやって……。あんまり、菜々さんをいじめないであげてください」
加蓮「はーい」
菜々「藍子ちゃんは優しいですね……ううう」
藍子「そんなことないですよ。加蓮ちゃんだって、とっても優しいです」
加蓮「そろそろメガネでもかけてみる？　春菜なら似合うの選んでくれるでしょ」
藍子「メガネ……？」
加蓮「……目が曇ってるんじゃないかって皮肉」
藍子「ああ、なるほど。だって、私には加蓮ちゃんがそう映るんですから」
菜々「はいっ！　ナナの目にもそう見えます！」
加蓮「……さっきまでいじめられてた人が言うことかなぁ」
藍子「それに加蓮ちゃん、昨日までずっと悩んでたんですよ」
菜々「悩んでた？」
藍子「菜々さんの、お誕生日プレゼント」
加蓮「ちょ、藍子、それはナイショ――」
藍子「ねっ。これがいいかな、あれがいいかな、って。私もたくさん悩みましたけど、加蓮ちゃんは私よりも悩んでました」
加蓮「こら、いらないこと言わないの……じゃなかった、これ嘘だからね、そんな悩んだり私が」
菜々「――わああああ〜〜〜ん、加蓮ちゃん、ありがとうございばずぅ〜〜〜！」
加蓮「涙腺弱っ！　ちょ、汗だくで抱きついてこないでっ！」
菜々「この歳になると、もう"おめでとう"って言ってくれる人も少なくて、ううっ、ナナ、すっごく嬉しいです〜〜〜！」
加蓮「この歳とか言うなっ１７歳！　藍子も！　笑ってないで助けて！」
藍子「だって加蓮ちゃん、なんだか嬉しそうで」
加蓮「アンタの目がどうかしてるのはもういいから！」

菜々「……ずびっ。ふう、落ち着きました」
加蓮「落ち着いたところで、耐久レッスン、もう一周いっとく？」
菜々「うーん。今日はやめておきます。なんだか今日は久々に、思いっきり遊びたくて。若者らしく！」
藍子「じゃあ、どこかに行きますか？　お散歩とかっ！」
加蓮「散歩って若者らしい遊びなのかな……」
藍子「それなら、ゲームセンターとか」
加蓮「あ、そっちは高校生っぽい。……でも意外だな、藍子の口からゲーセンなんて言葉が出るなんて」
藍子「よく、未央ちゃんが連れて行ってくれるんです。あと、茜ちゃんも」
菜々「ゲーセンですか〜。なんだか不良のたまり場ってイメージがあって、ナナはちょっと苦手ですね」
加蓮「その考えが既に……いやゴメンもういいや」
藍子「じゃあ、別の場所にしますか？」
菜々「いえ！　せっかくだから写真とか撮っちゃいましょう！」
加蓮「プリクラかー。最近は撮ってないな。じゃあゲーセンにしよっか」
藍子「はいっ。あ、でも、おふたりはシャワーを浴びてからの方が……」
加蓮「あー、誰かさんが色々ベタベタつけてくれたからねー」
菜々「ううっ、つい感極まって……」

加蓮「あ、そうだ。ついでに菜々さんに何か買ってあげよっか、藍子」
藍子「いいですねっ」
菜々「な、ナナにはそこまでずうずうしく言えません！　プレゼントをもらえるだけでも嬉しいのに……」
加蓮「まあまあ。私が素直に言ってるんだよ？　超レアいよ？」
藍子「自覚があるならもっと素直になればいいのに……」
菜々「うう……っ。加蓮ちゃんも藍子ちゃんも、やっぱりいい子すぎて、ナナにはまぶしいっ」
加蓮「嘘ついてるから？」
菜々「な、ナナはなにも嘘ついてないですよ？　後ろめたいことなんて何もないですよ？」
加蓮「……って、わっ、もうこんな時間！」
菜々「またしても藍子ちゃんのゆるふわ空間が発動してましたっ！？　電車に乗り遅れ……はしませんけど！」
加蓮「ごめん、その自爆は高度すぎて意味わかんない」
藍子「ご、ごめんなさい」
菜々「藍子ちゃんが謝ることはないですよ！　加蓮ちゃん、急いでシャワーを浴びて支度しましょう！」
加蓮「うん、そうだね。ごめん藍子、ちょっとだけ待ってて」
藍子「はい。菜々さんに買いたい物を、ゆっくり悩んでおきますね」
加蓮「せっかくの誕生日だからね。お祝いできるだけ、お祝いしなきゃ」
藍子「はいっ。菜々さん、お誕生日、おめでとうございますっ」
加蓮「おめでとう、菜々さん」
菜々「うう〜〜、ナナ、感激です！　これからもよろしくお願いします、加蓮ちゃん、藍子ちゃん！」